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第五話【王様からのお呼び出しですわ~~~~~!!】
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ヒスイは柄にもなく目を大きく見開いて口をいの字にして驚きながら「はい?今の状況でどうしてそんな発想に…。」とエルメルダに問う。
「今の状況だからです。二人にとってあまりにも良いとは言えないと思ったからです。どうですか?魅力を感じませんか?」と自信ありげに提案するエルメラルダ。
「魅力ねぇー…。」と頬杖をついて様々な事を考える。
(自分は一生を添い遂げれたらそれでいい気がするんだけどなぁ。発展を望んだってまぁ、世界にとって良いのか悪いのか。人がダメになってしまう気もするしなぁ。ある程度苦労した方がマシって気もしますけどねぇ。まぁでも、いるものいらないもの選別するのは悪くないかぁ。)
「それと、忘れてるかもしれませんけど、2年後にヒロインが現れて謎の強制力によって、その今の気持ち、無くなるかもしれないんですよ。」
「謎の強制力ねぇ…。ふぅーむ。」
「2年後、ヒロインが現れても私への気持ちに変わりなかったら、そしたら監禁でも結婚でもなんでもして下さい。」
「なるほど。良いでしょう。」と言ってヒスイがパチンと指を鳴らせばエルメラルダの手首にかせられていた手錠がゴトンと音を鳴らして床に落ちた。
「さて、ディナーでもいただきますか。」と言ってヒスイは茶色く濁りのあるスープをすする。
「ちょっと冷めちゃってますね。」とエルメラルダ。
「いや…こんなに美味しいもの初めて食べました。」と言ってニコリと笑う。
なんとか自室に帰ってこれたエルメラルダ。
そしてあんな事を言ったエルメラルダだが…こっちはこっちでヒスイ王子の屈託のない笑顔にあてられて悶絶していたのであった。
「どうせ逃げても捕まるなら、とことんスチル回収してやろうじゃない!!」と意気込むエルメラルダだった。
次の日の朝。
(エルメラルダは窓から差し込む朝日を浴びて目覚めた。なんて気持ちが晴れやかなんだろうか…。
どうして隣にヒスイ王子が寝ていらっしゃるんだろうか…。)
・・・・・・・・・
ヒスイとエルメラルダは朝食をとる為に厨房へ来ていた。本来ならちゃんとした席で朝食をとるべきなのだが、エルメラルダの作る料理が特別すぎる事もあり、作ってすぐに食べれるカタチをとっていた。
「酷いじゃないですか。王子を叩くなんて不敬罪です。」と少し赤くなった自分のおでこを擦りながら朝食を食べるヒスイ。
「不敬罪の前にセクハラですよ!!」と怒りながら朝食を食べる。
「いったい今日は何をしたんです?」とコックのエドウィルは王族の朝食を作りながら問う。
「ヒスイ王子がいつの間にか私の部屋に侵入して同じベッドで寝ていたんです。」
同じベッドにヒスイが入っていて、驚いて思いっきりおでこをペチンと叩いてしまったのだ。
「婚約してるんですから問題ないじゃないですか。」
「問題大ありです。王族の方なんですから!」
「じゃあ王子なんてやめます。」と拗ねたように口を尖らすヒスイ。
「ハハハ。ヒスイ殿下、この国の王族は王族辞めますって言って辞めれるような仕組みじゃないでしょう。」とエドウィルは陽気に笑う。
「そうなの?」とキョトンとした顔を見せるエルメラルダ。
「まぁ…その通りです。前にチラっと言いましたけど、魔法を全属性扱えるのは王族のみ。魔法というのは非常に危険で危ないものです。魔法を使えるというだけで爵位が与えられてしまう仕組みなんです。逆に魔法がなければ一生爵位はとれません。その代わり、他国へは行きたい放題です。まぁ、魔法が使えない民にとっては戦争に駆り出される事もないし他国より裕福に生きていけるから出て行こうとは思わないでしょうけどね。」とヒスイ王子はつまらなさそうに説明する。
「そうなんだ。私も何か使えるの?」とエルメラルダ。
「え!?あのかの有名な名門サルバトーレ侯爵家ですよ!?使えるに決まってますよ!!」とエドウィルが食い気味にエルメラルダに近寄った。
ヒスイはそれを阻止するかのように間にわって入ってる。
「ヒスイ王子?」と何もわかってないエルメラルダはキョトンとした顔をして首をかしげる。
「近い。エルメラルダは今まで兄上様のケツを追っかけるのに必死で何も学んでこなかったようですから。そりゃぁ自分が何の力を使えるかとか知らなくて当然です。」と言ってエルメラルダを見つめながら目を細めて薄っすら怪しく微笑むヒスイ。
「う゛っ。」と痛いところを突かれて顔を青くするエルメラルダ。
「そういえばそうですね。エルメラルダ様といえば第一王子にゾッコンで、四六時中追いかけ回してるイメージがありますね。」と近くにいたメイドさんが言った。
突然コンコンと厨房の壁をノックする音が響く。全員が音のした方を振り向いた。
燕尾服を着たモノクルをつけた執事らしき人が立っていた。
「団欒だんらん中失礼します。国王陛下がエルメラルダ様とお会いしたいとおっしゃっておりますが。」
「は?」とヒスイらしからぬ低い声を出す。
「こ、こ、国王陛下!?」と慌てるエルメラルダ。
「エルは体力が乏しいので、自分が直々にお連れしましょう。」と言って立ち上がるヒスイ。
「いえ、それがエルメラルダ様お一人でとの事ですので…不敬にならぬよう。全王子で全力で止めさせていただきます。」と言ってモノクルをクイッと上げれば第一、第二、第三、第五王子達がゾロゾロ入ってきてヒスイ王子を羽交い絞めにした。
「なっ!!何すんだ!!このクソ兄弟ども!!」と声を荒げて必死にエルメラルダに手を伸ばすヒスイ。
「なんて口の利き方だ!!弟よ!!」と言ってヒスイ王子の頭にゲンコツをお見舞いする第二王子。
激しい兄弟喧嘩が勃発していた。
「さ、エルメラルダ様此方でございます。」とエルメラルダは執事に丁寧にエスコートされるが、ヒスイをチラリと見てしまう。
「エル!!行くな!!エル!!!」と必死に叫ぶヒスイ。
「エルメラルダ嬢!行くんだ!!王族の命令だ!」と第一王子が言った。
「は、はい。」とエルメラルダは申し訳なさそうな顔をして厨房を後にする。
(あ~めちゃくちゃ緊張する。どうしよう…国王に呼び出されるなんて…エルメラルダの記憶はどうしてこんなにも乏しいの…一生第一王子のケツ追っかけて…。それを言うと…どうして攻略最難関で不可能のヒスイ王子に捕まっちゃったんだろう?…あれだけ何度もやり込んだオミドーさんを生で見ても…ヒスイ王子が何故か気になって…。)と色々考えているうちに国王陛下の待つ部屋についてしまった。
生唾をゴクリと飲んで、コクリと頷けば執事の方がノックし「サルバトーレ侯爵家、エルメラルダ・サルバトーレ侯爵令嬢をお連れ致しました。」と言って扉が開かれた。
中には王様と王妃様、その隣にはエルメラルダの父である宰相がいた。
「よく、よく来てくれた。」と涙ぐむ王様。
「ほんとに…貴女が…。」と涙を流す王妃様。
「娘よ…よくぞ思い直した。」と宰相。
エルメラルダは完全にポカーンとしていると椅子に座るように執事に促されたので座った。
「えっと…その…えっ謁見させて頂きありがとう存じます。こっ…皇帝陛下、並びに皇后陛下にご挨拶致します。」と声を震わせながら挨拶をするがぶっちゃけエルメラルダにそんな教養微塵も頭にのこっておらず、前世の記憶の方がまだマシレベルで、なんとか言葉を見繕って挨拶をしてみたが、お父様が頭を抱えて大きなため息をついたのを見て顔から血の気が引いていくのを感じた。
「良い、教養等良いのだ。時期に本当の家族になる。それよりも重要な事だ。我が息子、第四王子が笑うようになったのはソナタの功績だ。あやつが何もしなくなって10年だ。たまに息をする事すら辞めてしまい何度か死にかけておる。」と涙ぐみながら自分の髭を触る国王陛下。
「そんなにやる気なかったんですか!?」とつい驚いてしまうエルメラルダ。
「こら!口の利き方に注意せんか!!馬鹿娘!!」とサルバトーレ侯爵。
「良い、良いのだ。直にワシの娘になる。この状態だからこそ第四王子が好いとるのかもしれん。息子を頼む。あのままだったら今頃…死んでおったかもしれぬ。」
「本当にそうですね。ヒスイは天才過ぎたのです。故に、死すらを恐れぬのです。そんなあの子に、貴女は愛を教えてくれました。」と王妃。
「うむ。愛だ。あの無頓着に愛を教えたのだ。礼を言いたい。そして、何としても結ばれねばならん!!式を早めよう!」と王。
「もういっそ明日にでも!!」と王妃。
(え?…何…何この状況。どうしてこんな事に!?私にどうしろと!!!ヒスイ王子ルートまじで意味わかんねーー!!!!!)とグルグル頭を回すエルメラルダであった。
「今の状況だからです。二人にとってあまりにも良いとは言えないと思ったからです。どうですか?魅力を感じませんか?」と自信ありげに提案するエルメラルダ。
「魅力ねぇー…。」と頬杖をついて様々な事を考える。
(自分は一生を添い遂げれたらそれでいい気がするんだけどなぁ。発展を望んだってまぁ、世界にとって良いのか悪いのか。人がダメになってしまう気もするしなぁ。ある程度苦労した方がマシって気もしますけどねぇ。まぁでも、いるものいらないもの選別するのは悪くないかぁ。)
「それと、忘れてるかもしれませんけど、2年後にヒロインが現れて謎の強制力によって、その今の気持ち、無くなるかもしれないんですよ。」
「謎の強制力ねぇ…。ふぅーむ。」
「2年後、ヒロインが現れても私への気持ちに変わりなかったら、そしたら監禁でも結婚でもなんでもして下さい。」
「なるほど。良いでしょう。」と言ってヒスイがパチンと指を鳴らせばエルメラルダの手首にかせられていた手錠がゴトンと音を鳴らして床に落ちた。
「さて、ディナーでもいただきますか。」と言ってヒスイは茶色く濁りのあるスープをすする。
「ちょっと冷めちゃってますね。」とエルメラルダ。
「いや…こんなに美味しいもの初めて食べました。」と言ってニコリと笑う。
なんとか自室に帰ってこれたエルメラルダ。
そしてあんな事を言ったエルメラルダだが…こっちはこっちでヒスイ王子の屈託のない笑顔にあてられて悶絶していたのであった。
「どうせ逃げても捕まるなら、とことんスチル回収してやろうじゃない!!」と意気込むエルメラルダだった。
次の日の朝。
(エルメラルダは窓から差し込む朝日を浴びて目覚めた。なんて気持ちが晴れやかなんだろうか…。
どうして隣にヒスイ王子が寝ていらっしゃるんだろうか…。)
・・・・・・・・・
ヒスイとエルメラルダは朝食をとる為に厨房へ来ていた。本来ならちゃんとした席で朝食をとるべきなのだが、エルメラルダの作る料理が特別すぎる事もあり、作ってすぐに食べれるカタチをとっていた。
「酷いじゃないですか。王子を叩くなんて不敬罪です。」と少し赤くなった自分のおでこを擦りながら朝食を食べるヒスイ。
「不敬罪の前にセクハラですよ!!」と怒りながら朝食を食べる。
「いったい今日は何をしたんです?」とコックのエドウィルは王族の朝食を作りながら問う。
「ヒスイ王子がいつの間にか私の部屋に侵入して同じベッドで寝ていたんです。」
同じベッドにヒスイが入っていて、驚いて思いっきりおでこをペチンと叩いてしまったのだ。
「婚約してるんですから問題ないじゃないですか。」
「問題大ありです。王族の方なんですから!」
「じゃあ王子なんてやめます。」と拗ねたように口を尖らすヒスイ。
「ハハハ。ヒスイ殿下、この国の王族は王族辞めますって言って辞めれるような仕組みじゃないでしょう。」とエドウィルは陽気に笑う。
「そうなの?」とキョトンとした顔を見せるエルメラルダ。
「まぁ…その通りです。前にチラっと言いましたけど、魔法を全属性扱えるのは王族のみ。魔法というのは非常に危険で危ないものです。魔法を使えるというだけで爵位が与えられてしまう仕組みなんです。逆に魔法がなければ一生爵位はとれません。その代わり、他国へは行きたい放題です。まぁ、魔法が使えない民にとっては戦争に駆り出される事もないし他国より裕福に生きていけるから出て行こうとは思わないでしょうけどね。」とヒスイ王子はつまらなさそうに説明する。
「そうなんだ。私も何か使えるの?」とエルメラルダ。
「え!?あのかの有名な名門サルバトーレ侯爵家ですよ!?使えるに決まってますよ!!」とエドウィルが食い気味にエルメラルダに近寄った。
ヒスイはそれを阻止するかのように間にわって入ってる。
「ヒスイ王子?」と何もわかってないエルメラルダはキョトンとした顔をして首をかしげる。
「近い。エルメラルダは今まで兄上様のケツを追っかけるのに必死で何も学んでこなかったようですから。そりゃぁ自分が何の力を使えるかとか知らなくて当然です。」と言ってエルメラルダを見つめながら目を細めて薄っすら怪しく微笑むヒスイ。
「う゛っ。」と痛いところを突かれて顔を青くするエルメラルダ。
「そういえばそうですね。エルメラルダ様といえば第一王子にゾッコンで、四六時中追いかけ回してるイメージがありますね。」と近くにいたメイドさんが言った。
突然コンコンと厨房の壁をノックする音が響く。全員が音のした方を振り向いた。
燕尾服を着たモノクルをつけた執事らしき人が立っていた。
「団欒だんらん中失礼します。国王陛下がエルメラルダ様とお会いしたいとおっしゃっておりますが。」
「は?」とヒスイらしからぬ低い声を出す。
「こ、こ、国王陛下!?」と慌てるエルメラルダ。
「エルは体力が乏しいので、自分が直々にお連れしましょう。」と言って立ち上がるヒスイ。
「いえ、それがエルメラルダ様お一人でとの事ですので…不敬にならぬよう。全王子で全力で止めさせていただきます。」と言ってモノクルをクイッと上げれば第一、第二、第三、第五王子達がゾロゾロ入ってきてヒスイ王子を羽交い絞めにした。
「なっ!!何すんだ!!このクソ兄弟ども!!」と声を荒げて必死にエルメラルダに手を伸ばすヒスイ。
「なんて口の利き方だ!!弟よ!!」と言ってヒスイ王子の頭にゲンコツをお見舞いする第二王子。
激しい兄弟喧嘩が勃発していた。
「さ、エルメラルダ様此方でございます。」とエルメラルダは執事に丁寧にエスコートされるが、ヒスイをチラリと見てしまう。
「エル!!行くな!!エル!!!」と必死に叫ぶヒスイ。
「エルメラルダ嬢!行くんだ!!王族の命令だ!」と第一王子が言った。
「は、はい。」とエルメラルダは申し訳なさそうな顔をして厨房を後にする。
(あ~めちゃくちゃ緊張する。どうしよう…国王に呼び出されるなんて…エルメラルダの記憶はどうしてこんなにも乏しいの…一生第一王子のケツ追っかけて…。それを言うと…どうして攻略最難関で不可能のヒスイ王子に捕まっちゃったんだろう?…あれだけ何度もやり込んだオミドーさんを生で見ても…ヒスイ王子が何故か気になって…。)と色々考えているうちに国王陛下の待つ部屋についてしまった。
生唾をゴクリと飲んで、コクリと頷けば執事の方がノックし「サルバトーレ侯爵家、エルメラルダ・サルバトーレ侯爵令嬢をお連れ致しました。」と言って扉が開かれた。
中には王様と王妃様、その隣にはエルメラルダの父である宰相がいた。
「よく、よく来てくれた。」と涙ぐむ王様。
「ほんとに…貴女が…。」と涙を流す王妃様。
「娘よ…よくぞ思い直した。」と宰相。
エルメラルダは完全にポカーンとしていると椅子に座るように執事に促されたので座った。
「えっと…その…えっ謁見させて頂きありがとう存じます。こっ…皇帝陛下、並びに皇后陛下にご挨拶致します。」と声を震わせながら挨拶をするがぶっちゃけエルメラルダにそんな教養微塵も頭にのこっておらず、前世の記憶の方がまだマシレベルで、なんとか言葉を見繕って挨拶をしてみたが、お父様が頭を抱えて大きなため息をついたのを見て顔から血の気が引いていくのを感じた。
「良い、教養等良いのだ。時期に本当の家族になる。それよりも重要な事だ。我が息子、第四王子が笑うようになったのはソナタの功績だ。あやつが何もしなくなって10年だ。たまに息をする事すら辞めてしまい何度か死にかけておる。」と涙ぐみながら自分の髭を触る国王陛下。
「そんなにやる気なかったんですか!?」とつい驚いてしまうエルメラルダ。
「こら!口の利き方に注意せんか!!馬鹿娘!!」とサルバトーレ侯爵。
「良い、良いのだ。直にワシの娘になる。この状態だからこそ第四王子が好いとるのかもしれん。息子を頼む。あのままだったら今頃…死んでおったかもしれぬ。」
「本当にそうですね。ヒスイは天才過ぎたのです。故に、死すらを恐れぬのです。そんなあの子に、貴女は愛を教えてくれました。」と王妃。
「うむ。愛だ。あの無頓着に愛を教えたのだ。礼を言いたい。そして、何としても結ばれねばならん!!式を早めよう!」と王。
「もういっそ明日にでも!!」と王妃。
(え?…何…何この状況。どうしてこんな事に!?私にどうしろと!!!ヒスイ王子ルートまじで意味わかんねーー!!!!!)とグルグル頭を回すエルメラルダであった。
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