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第三十話【めでたし。めでたし。ですわぁ~~~~~~~~!!!!】

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数日後。

アナスタリアと金髪のエルメラルダが目覚めたという知らせが入り、ヒスイとエルメラルダは王城へ

赴いた。

「エルメラルダ様…。」と黒髪のエルメラルダが呟く。

「エルメラルダは貴女ですわぁ!!ワタクシの事はルディとお呼び下さいまし。」と言ってエルメラルダの手を取って握るルディはとても幸せそうな笑みを浮かべていた。

「ヒスイ、すまなかった。ありがとう。」とアナスタリアはヒスイを見て微笑む。

「別に。この国の聖女制度はどうにかしないといけないと思ってはいましたから。まだ応急措置の段階ですけどね。」とヒスイは少し照れ臭そうに目を逸らす。

「うん。どうにかしないといけないね。俺達がティファニールを支えないと。」

「まだ、色々と自分の中で考えがまとまっていないんです。聖女が悪いのか、自分達が我慢すべきなのか。今の聖女を見ていると勝手にこの世界へ来たと思えば不遇ばかり。自分はどちらも幸せになれるような道を探さなければいけません。」と言って拳を握るヒスイ。

「らしくないな。ヒスイ。どうした?」とヒスイの顔を覗くアナスタリア。

「自分に感情というものが芽生えたのはエルと出会ってからです。なので、どうする事が双方にとって平等なのか…だとか考えてもイマイチしっくりくる答えが出ないと言いますか。」とヒスイ。

「ヒスイ、お前は確かに天才だ。誰よりも優れている。だからと言って一人で考える必要はないと思う。ヒスイが一人で悩んで出した答えが必ずしも善とは限らない。こういうのは全員で考えて負担を減らせば良いんだ。その為のヒトだろ?俺らはお前のペットか何かなのか?」とアナスタリア。

「違い…ます。そうですね。いつの間にか全て自分でやらないといけない気になっていました。」とヒスイは少し自分自身の行動や思考に驚く。

「俺はいつもヒスイと比べられて、力の無さを実感してきた。だけど、その度に友達が家族が力を貸してくれたんだ。お前もそうだろう?一人で生きていけないからエルメラルダ嬢が必要なんだろう?」と優しくヒスイを諭すように話すアナスタリア。

「兄上の仰る通りですね。」と言って顔を上げるヒスイ。

「ヒスイ、お前はゴチャゴチャと考えすぎだ。とりあえず今はエルメラルダ嬢との結婚式の事で頭を一杯にすればいい。時間は沢山ある。」

アナスタリアはヒスイの頭をクシャクシャ撫でた。

「ワタクシ、ずっとずーーーっと空から見ておりましたわ!!お二人を見ていて、とってもハラハラしてキュンキュン致しましたわぁ~~~!!!」と空気をぶっ壊してくるルディに皆が一瞬真顔になって大声で笑った。





そして…また数か月が過ぎて。

ヒスイとエルメラルダの結婚式。多くの人々が参列し祝った。

エルメラルダのお腹は少しだけ大きくなっており、マタニティウェディングとなった。

「すみません、お腹が大きくなる前にと思っていたのですが、一応一国の王子という立場もあり、どうしても時間がかかってしまいました。体調は大丈夫ですか?」と心配そうな顔をするヒスイは白いタキシードに身を包まれており髪型も半オールバックだ。

「大丈夫。しんどくなったら言うから。」と幸せそうに微笑みながらお腹をさするエルメラルダ。

「それより、ヒスイどうして目を合わせてくれないの?」

「…へ?いや、その…エルが神々しくて直視できないといいますか。」

「ふふっ。何よ。ヒスイらしくない。」

「自分も一応人ですから。」

額をピタリとくっつけて幸せそうに笑いあう二人。





後日、サルバトーレ邸にて。

「お義兄様よろしくお願いします。」と真面目な顔をしてエルメロイに頭を下げるヒスイ。

「誰がお義兄様だ。俺から全て奪いやがって!!王族なら城で良いだろ!!」とエルメロイ。

ヒスイはエルメラルダの婿養子となりヒスイ・サルバトーレとなった。

「自分が奪ったみたいな言い方やめてもらえますか?当主の座を奪われたのはお義兄様が妹さんより魔力が弱かったからで、自分には何の関係もないはずですよ。」

王族が婿養子に入ったという前例は無い。エルメラルダがサルバトーレ家の中で一番雷の属性魔力が強かったから当主となった。古くからそういうシキタリだ。それは強い属性魔力を保ち残していく為のシキタリ。

「ほんっとにクソだな!!!」と怒るエルメロイ。

「まぁ、まぁ。自分に一生仕えたいんなら良いじゃないですか。」と半笑いのヒスイ。

「で、本当にあそこへ行くのか?」とエルメロイ。

「はい。どうしても伺っておかないといけません。長い付き合いになりそうですから。自分もアンタも。」と真剣な顔をするヒスイ。



二人はワープを使った。行先は氷属性の筆頭貴族。クルト・クラリアス辺境伯の元へ。

凄まじい吹雪がクラリアス邸の敷地外を覆っていた。

「滅茶苦茶だな。普通の人には辿り着けないぞ。」とエルメロイ。

敷地の内には氷で造られた薔薇が沢山咲いており、ほぼ全ての飾りが氷で作られていた。

「…あ。自分とした事が…玄関から入らず堂々と庭園内に入っちゃいました。」とヒスイ。

「おい!!なんて失礼なんだ!!やっぱお前当主の座を返せ!!」とエルメロイ。

「当主の座を持ってるのはエルですってば。」と言ってエルメロイをなだめるヒスイ。



「煩いぞ。小僧共。」と重低音が静かに響き渡った。



「あ、どうも。クラリアス辺境伯。お久しぶりです。母上と兄上が暴走した時は大変お世話になりました。」とヒスイは影のある笑い方をする。

「何用だ。」と呆れたような口調でため息交じりに問うクルト・クラリアス。

「貴方が王宮の神官へ指示をだしている大ボスですよね。ってのはさておき、ただ、今後の聖女対策にお力添え頂けないかと。」と薄ら笑いを浮かべるヒスイ。

「俺に何の得がある。」

「友達になります。」と笑うヒスイ。

「は?……クックックッ…小僧が何様のつもりだ。天才殿は発想力も天才のようだな。」と微笑するクルト・クラリアス。

「ずっとこんなところに引きこもって。退屈ですよね?暇ならちょっとくらい良いじゃないですか。」とヒスイが言えばクルト・クラリアスはヒスイの胸倉を掴んだ。

「粋がるなよ。不老不死がどれほど苦痛で…どれほど孤独か。何の苦労もせず育った王族風情が!」

と胸倉を掴んだまま高く持ち上げる。

「自分は神に会ってきましたよ。それから祖先にも…それから異世界・地球へも行ってきました。長い長い時空を超えて。気が遠くなるほど遠かった。全てが無の状態で。それに比べてアンタは腹も減るし、感情だってある。退屈しのぎの道具なんていくらでもある。無を前にして 飽きた 等と言った贅沢を言うつもりですか?」とヒスイが言えば手を離すクルト・クラリアス。

「地球へ行ったのか。どんなだった。ここと比べてどうだ。」

「自分が存在した時点では平和でした。少なくともここよりはずっと。ですが、そうですね。妻にも言われた事がありますけど…あの星はいずれ深刻な資源不足に陥るでしょうね。気候も上手く調節できてないようでしたし。ですが発展力はあっちの方が上でしたね。」

「そうか。いつの間にか現状で満足してしまっていたようだな。」とクルト・クラリアスは薄っすらと笑う。

「もう一度良いですか?退屈しのぎに少し手伝ってもらえませんか?この星をより良く発展させていく為に。」と言って手を差し出すヒスイ。

「俺にとっては一瞬だろうが。まぁ良いだろう。天才児とやらに免じてな。退屈させるなよ。」と言ってヒスイの手をとるクルト・クラリアス。

「もちろん。」
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