救世主として転生させられたが余計なスキルのせいで快適な異世界生活どころじゃない。良かれと思ってだろうがスキル解除するまで世界は救ってやらない

takaoka

文字の大きさ
9 / 45

9話 旅立ち

しおりを挟む
試験から1週間程経ち、とうとう出発の日が訪れる。

「出発が決まってからはバタバタしてて忙しかったなぁ」

「これも必要な試練だと思え。一人で全部できないと駄目だからな。寧ろこれくらい余裕と言ってもらいたいよ」

「あらあら、貴方とあった頃は忘れ物やらなんやらでてんやわんやだったのに偉そうね」

「うるさい、その経験があるからこうやって教えてるんだ」

「へぇ、親父にもそんな時代があったんだ~」

「それくらいにしてあげましょ。別にいじわるしたいってわけじゃないし」

「うぅ・・・帰ってきたときちゃんとできてなかったら覚悟しておけよ」

(おぉ、怖い怖い)

親父をいじるのはこれくらいにしておこう。別れの場で険悪なのはよくないからな。

「大丈夫だよ、この世界で何が起きたのか見て回ってくるのにそんな頼りないままじゃ・・・ね」

「寂しくなるわねぇ、元気で帰ってくれればそれだけでいいわ」

「俺達の子だ。そんじゃそこらの奴には負けねぇよ」

「・・・ありがとう。俺は2人の子に生まれることができて幸せだ」

ガラにもなく目頭が熱くなる。前世の記憶はもちろんあるがこの両親も俺の親であることには変わりない。そんな2人から受けた愛情は計り知れない。

少し落ち着きを取り戻したので、いよいよ別れの時だ。もうお互い言いたいことは言い終わったので手を振り合うだけだ。

小さくなっていく我が家と両親を見ながら俺は進むべき方向へと足を進めていった。

あの地震のあった方角へと進んでいく予定なのだが、具体的にどこかまではわかっていない。しかし、遠く離れていたであろうこの地でも相当の揺れがあったことを考えると現地では壊滅的な被害が出ていることは想像に難くない。

(ま、とにかく近くに行って情報を集めねぇと分からねぇな)

俺の住んでいる村にはそういった情報は今のところ一切入ってきていない。元々他との交流が活発ってわけではないが流石に怪しいと言えば怪しい。

『時間が経てばわかることもあるんでしょうけど・・・この村に居続けていてはそれもかなり遅くなりそうですね』

(まぁこれも目的の一つではあるんだけど、やっぱり本命はこっちだよな)

両親には今回の地震の原因を探るためと言っているので情報集めをしないわけにはいかない。しかし、俺は早くこいつから解放されたい。その思いでいっぱいだった。

『なんだかんだ世界を救う羽目になりそうな感じがしてきましたが・・・』

うるせぇ、と頭の中で吐き捨てまずは最寄りの街へと向かっていく。俺達の住んでいる村とも交流があり、俺も両親に引かれて何度も訪れたことがある。

「こうやって見ても前通った時と変わったところはねぇなぁ」

『現在、貴方の過去の記憶と照合を行っています。多少負荷がかかっていますのでご了承ください』

(いつもはそんなことしないのに・・・やっぱり以前のような世界ではないのか?)

『わかりません、しかし警戒をするに越したことはないと判断しました』

(なぁ、俺の判断は介入する余地は無いのか?)

『貴方がやるなと言えばやめますが・・・どうします?』

(いや、続けてくれ)

『承知しました』

俺は普通に周りの景色を見ているだけだが疲れる。多少の負荷って言ってたけどこれは多少なのか?と文句も言いたくなる。

疲労に嫌気がさしてきたあたりでようやく処理が終わったようで途端に楽になる。

『今のところ大きな差はありませんでした。次の街までは特に問題は無いと思います』

(そうか、ありがとう。にしても思ったより疲れるな)

『それは慣れてもらうしかないですね』

(はぁ・・・照合はしばらく使う機会はなさそうだからいいけど)

その後は順調に進む事が出来、無事に目的の街カショーネにたどり着く。

「うーん、パッと見た感じは特に変わってないなぁ。まぁとりあえず聞き込みを始めようか」

そして街を行き交う人に対して聞き込みを開始する・・・が、闇雲に聞き込みをしても有効な情報はなかなか得られない。横着せずに情報が集まりそうな場所でやるべきだったかなぁ。

『・・・私は最初からこうすべきだと言ってたんですけどね。まぁこれも経験でしょう』

一々うるさい奴だ。全部こいつの言う通りにしてはどっちが主導権を持っているのか分からない。俺は俺のやりたいようにやるんだ。お前の意見は意見でしかないということは忘れないでくれ。

傲慢?そう思う人もいるかもしれない。だが実際に離れたくても離れれない存在というものは中々厄介なのだよ。

調査対象を変えてみたが少し手掛かりになりそうな情報はいくつかあれど核心に迫る情報は皆無だった。

「まぁここで情報が入るなら苦労しねぇよな、とりあえず手掛かりになりそうな情報を頼って進むしかないか」

ここで手に入った情報は主に2つ、一つは南東の方角の一部からの情報が入りにくくなっているらしいということ、もう一つはその辺りで出現する魔物の種類が変わっているということだ。

ついでにスキルに関する情報も集めてはみたがどれも聞いたことのある情報ばかりでこっちはさっぱりだった。

『ここからはあまり行き来したことの無い場所になりますが、これからも一人で旅をする予定ですか?』

うーむ、それだ。もちろん地図は持っているから旅をする分には困らない。だが、こいつとのある意味2人旅というのも難儀ではある。どうしようかな。そう思っていた時だった。

「あのぅ、地震のことを調べているというのは貴方ですか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

処理中です...