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思い違いと嫉妬の熱
※六話
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とっくに日が落ちきって薄暗くなった部屋の中、涙で滲んだ視界にはランプのオレンジ色がわざとらしく揺らめいている。時間の感覚なんて、そんなものとうの昔になくなった。
ただ体が溶けてどろどろになるような快楽ばかりを与えられ、そのたびに何度も精を吐き出すだけだ。
「うっわぁ、とろっとろだね」
「~~~~っ、は、ぁ……ぅ、っ、ふ~~──」
くぱァっ 押し開かれた隙間から空気が入って粘膜に触れる。その刺激すらも堪らなくて、逃げるように目を閉じ体をぶるりと震わせた。
もう疲れた、このまま眠ってしまいたい、泥に沈んでいくかのように意識は段々と揺らいでいく。一度まぶたを閉じてしまえば、その暗闇の心地よさに抗うことなどできはしない。あぁ、やっと……
ごぢゅッッ!!!
「ちょっと、寝ないでよ」
「ぁ"……~~~っ、が、?!」
いきなり腹の奥を襲った衝撃に、わけも分からず目を見開く。引き攣った喉から不自然な空気の塊が漏れて、はくはくと無為に唇を動かした。──あつい、お腹の中が、あつい。
「──……は、アキのなかあったかいね」
耳にどろりと注がれるのは吐息混じりの重たい声。感じたことのない圧迫感と熱量が、その言葉の意味を何よりリアルに伝えていた。
「ね、ちゅうしよ。あき、あき……」
「はっ、……ちゅ、ん、……ふ、ぁ」
「こっち向いて。もっと俺のこと見てよ」
瞬きに合わせて張り詰めていた涙が落ちていく。朧げな思考でそれでも必死に浅い呼吸を繰り返していれば、レイは甘える子どもみたいに、何度も何度も唇を寄せた。
「れい、……っは、ぁ、ぬい……ぬい、て、ぇ」
「かぁ~わい。でも駄目だよ。今日はどろっどろに抱き潰して俺に依存させるって決めたから」
「そ、な──~~ッ、や、まって、待っで、ぇ、ひッ、動かないで……!」
「しっかり解したから痛くはないでしょ?」
その言葉に、これでもかというほど首を振る。確かに痛くはない。痛くはないのだが────
「あ、もしかして苦しいよりも気持ちいいの方が大きいのかな?」
呑気な声と共に、猫目がにんまり細まっていく。嘘だ、なんでバレて───体中の血がサーッと引いていくような感覚に、慌てて訂正を試みる。
「まっ、ちが……! ~~~ひッ、ぁ、や、っそこ、やだ、ぁ……!!」
「うんうん、アキはここが弱いもんね。いっぱい苛めてあげるからセックスが気持ちいいことだって覚えよう」
「ぎ、もちくない! まっで、ね、ぇ……~~! っ、ひ、ぅ、ァ、ぁ"~~、っ!」
張り出たカリが何度も何度も弱いところばかりを擦っていく。気まぐれに強く押し潰されれば、ようやく纏まりかけていた思考はあっという間に霧散した。
気持ちいいね、気持ちいいね、そう何度も耳元で声がする。まるで脳髄に染み込ませるような声音すら、グズグズと腹の奥を苛んでたまらない。
涎を垂らしながら頷けば、よく出来ましたとばかりに髪を優しく撫でられた。
「あ~かわいいなぁ。好きだよ、大好き、ずーっと好き。だから俺のことも好きになって」
「ぁ、ァ、あ"……~~~~っ、!!」
無意識に逃げを打つ腰を掴まれ、思いっきり深く穿たれる。脳の血管全部が熱さで焼き切れているんじゃないか。そう思ってしまうほど、馬鹿みたいに気持ちがいい。
「ひ……ぃ"! ~~ッちゃ、いぐっ、イっちゃ……ッ、か、らぁ"──……!!」
「っは、……うん、一緒にイこうね」
律動は段々と早くなり、その度にぞわぞわとした快楽が体中を駆け巡った。ああどうしよう。どうすればいい。
何が何だかわからないまま、目の前の体に爪を立てる。気づけば体ごと溶けてぐちゃぐちゃになっているんじゃないかと、本気でそう思うくらいに怖かった。
「……~~~~っ!!!」
性器から僅かな白濁がびゅくっ、と飛び散る。
声もなくのけぞっていれば、喉元に思いっきり歯を立てられて、そのまま飛沫を注がれた。
息を整えている間にも、吐き出した白濁を塗り広げていくかのように、中のものが動きだす。
「や、うご……っくな、ぁ」
「ねぇ、俺のこと好きになった?」
両頬を掴まれて、せっかく逸らしていた顔を無理やり前に向かされる。藍鼠色の瞳は戸惑うように揺れていた。
「っ、す……~~! ……は、ばっかじゃねぇの。あり得ないだろ」
震える声で思ってもない台詞を吐く。
好きになったかどうかなんて、そんなの、とうの昔に死ぬほど悩んで考えてんだ。……わかってるから嫌なんじゃないか。
「そっか、じゃあもう一回やろう。アキが俺のこと好きになってくれるまで、何回でも」
やけに淡々とした声が耳を打つ。灰色のような青のような不思議な色、レイの瞳はもう揺れてなどいなかった。
ただ体が溶けてどろどろになるような快楽ばかりを与えられ、そのたびに何度も精を吐き出すだけだ。
「うっわぁ、とろっとろだね」
「~~~~っ、は、ぁ……ぅ、っ、ふ~~──」
くぱァっ 押し開かれた隙間から空気が入って粘膜に触れる。その刺激すらも堪らなくて、逃げるように目を閉じ体をぶるりと震わせた。
もう疲れた、このまま眠ってしまいたい、泥に沈んでいくかのように意識は段々と揺らいでいく。一度まぶたを閉じてしまえば、その暗闇の心地よさに抗うことなどできはしない。あぁ、やっと……
ごぢゅッッ!!!
「ちょっと、寝ないでよ」
「ぁ"……~~~っ、が、?!」
いきなり腹の奥を襲った衝撃に、わけも分からず目を見開く。引き攣った喉から不自然な空気の塊が漏れて、はくはくと無為に唇を動かした。──あつい、お腹の中が、あつい。
「──……は、アキのなかあったかいね」
耳にどろりと注がれるのは吐息混じりの重たい声。感じたことのない圧迫感と熱量が、その言葉の意味を何よりリアルに伝えていた。
「ね、ちゅうしよ。あき、あき……」
「はっ、……ちゅ、ん、……ふ、ぁ」
「こっち向いて。もっと俺のこと見てよ」
瞬きに合わせて張り詰めていた涙が落ちていく。朧げな思考でそれでも必死に浅い呼吸を繰り返していれば、レイは甘える子どもみたいに、何度も何度も唇を寄せた。
「れい、……っは、ぁ、ぬい……ぬい、て、ぇ」
「かぁ~わい。でも駄目だよ。今日はどろっどろに抱き潰して俺に依存させるって決めたから」
「そ、な──~~ッ、や、まって、待っで、ぇ、ひッ、動かないで……!」
「しっかり解したから痛くはないでしょ?」
その言葉に、これでもかというほど首を振る。確かに痛くはない。痛くはないのだが────
「あ、もしかして苦しいよりも気持ちいいの方が大きいのかな?」
呑気な声と共に、猫目がにんまり細まっていく。嘘だ、なんでバレて───体中の血がサーッと引いていくような感覚に、慌てて訂正を試みる。
「まっ、ちが……! ~~~ひッ、ぁ、や、っそこ、やだ、ぁ……!!」
「うんうん、アキはここが弱いもんね。いっぱい苛めてあげるからセックスが気持ちいいことだって覚えよう」
「ぎ、もちくない! まっで、ね、ぇ……~~! っ、ひ、ぅ、ァ、ぁ"~~、っ!」
張り出たカリが何度も何度も弱いところばかりを擦っていく。気まぐれに強く押し潰されれば、ようやく纏まりかけていた思考はあっという間に霧散した。
気持ちいいね、気持ちいいね、そう何度も耳元で声がする。まるで脳髄に染み込ませるような声音すら、グズグズと腹の奥を苛んでたまらない。
涎を垂らしながら頷けば、よく出来ましたとばかりに髪を優しく撫でられた。
「あ~かわいいなぁ。好きだよ、大好き、ずーっと好き。だから俺のことも好きになって」
「ぁ、ァ、あ"……~~~~っ、!!」
無意識に逃げを打つ腰を掴まれ、思いっきり深く穿たれる。脳の血管全部が熱さで焼き切れているんじゃないか。そう思ってしまうほど、馬鹿みたいに気持ちがいい。
「ひ……ぃ"! ~~ッちゃ、いぐっ、イっちゃ……ッ、か、らぁ"──……!!」
「っは、……うん、一緒にイこうね」
律動は段々と早くなり、その度にぞわぞわとした快楽が体中を駆け巡った。ああどうしよう。どうすればいい。
何が何だかわからないまま、目の前の体に爪を立てる。気づけば体ごと溶けてぐちゃぐちゃになっているんじゃないかと、本気でそう思うくらいに怖かった。
「……~~~~っ!!!」
性器から僅かな白濁がびゅくっ、と飛び散る。
声もなくのけぞっていれば、喉元に思いっきり歯を立てられて、そのまま飛沫を注がれた。
息を整えている間にも、吐き出した白濁を塗り広げていくかのように、中のものが動きだす。
「や、うご……っくな、ぁ」
「ねぇ、俺のこと好きになった?」
両頬を掴まれて、せっかく逸らしていた顔を無理やり前に向かされる。藍鼠色の瞳は戸惑うように揺れていた。
「っ、す……~~! ……は、ばっかじゃねぇの。あり得ないだろ」
震える声で思ってもない台詞を吐く。
好きになったかどうかなんて、そんなの、とうの昔に死ぬほど悩んで考えてんだ。……わかってるから嫌なんじゃないか。
「そっか、じゃあもう一回やろう。アキが俺のこと好きになってくれるまで、何回でも」
やけに淡々とした声が耳を打つ。灰色のような青のような不思議な色、レイの瞳はもう揺れてなどいなかった。
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