カミサマは新しいチートの楽しみ方をミツケマシタ

肉球は正義

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ヤット タビニデル

ミッション1-4 別行動

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さて、今日から本格的にカミサマの願いを叶えるために俺と妹は全力で行動を開始するわけだが。

妹は好奇心を取って今日は情報屋を探すと言って先に宿を出た。
俺は王子御一行の動向を探りつつ接触の機会を図るために、御一行が滞在している屋敷が見える位置にあったカフェで一息ついている最中。

丘の上にある屋敷から街までは一本道。ここで張り込んでいればほぼ出入りの把握は出来るはず、なんだけーどーねえ?

だっっれも降りてこねえじゃんかっ!!
本を読むフリしてコーヒー2杯飲み終えましたけど!街の視察はいつからだよ!

うぅ…空振りじゃなきゃいいけど…。


◆  ◆  ◆


「んー、この街に詳しい情報屋を探してます。って素直に聞きすぎたのかな?」
情報屋に会いたきゃココへ行きな。と赤ら顔のおじさんに言われて来たのは、酒場。
まだ昼だからクローズの看板が掛かっている、のだけど。中では人影が動き、お酒を飲んでいるように見える。
お得意様、というやつ?それともタチの悪いのに押入られて?
どんな理由にしろ、中に入ってみなければ始まらないのである。

ただ、ね。
私はいわゆる童顔。成人しても遊びに行ったゲームセンターで『この時間からは学生さんの入店はお断りしております』の連続攻撃を受けるのが常。
昼とはいえ、酒場に入って情報屋を探すことは可能なんだろうか?追い返されそうである。
「いやいや!とりあえずGO!行動だ!行動するんだ!そうしたらリスタートしたとしても経験が活きる!うん!…っ?!」

意気込んでいざ一歩!というところで、私はマントを引かれてつんのめる。
「ガキが何してる」
ザリザリと音を立てながら地面を滑りながら座り込む私。そして私のマントを引いた人物はその光景をただ見下ろしている。
「情報屋がココにいるって、聞いて」
「…で、真に受けてガキが1人で乗り込もうってか?」
私のマントをぐるぐると腕に巻き付けて距離を詰めてくる人物。
よく見ると、私好みのおじ様じゃないですか!
低くてイイ声♪そう、重低音♪囁かれたいね!顔は少し…痩せてる?頬がこけてる?全体的に痩身というやつである。あと不健康そう。
咥えたタバコがお似合いですが、ケムいので手を振って煙を追い払う。

あ、ニヤッと笑われた。
「ハハッ!やっぱガキじゃねえか!」
わざとらしく私に煙を吹きかけてきて、おじ様は楽しそうに笑っている。
えー。このケムさに耐えられるのは喫煙者でしょー。私はノットタバコ派なんですよ、おじ様!
「…とりあえず、ケムいです。それからマント、離してもらえます?」
私はミッションクリアに向けて、かつ兄の手助けや自分のできる努力をしたいのだよ!
「やなこった。テメーみてえなガキが酒場なんか入ったらどうなるか、分かってんのか?」
「酒臭いおっさんに絡まれるくらいなら覚悟済みなので」
マントをぐいぐいと引っ張ると、おじ様も負けじと引っ張り返してくる。
こ、このおじ様、見た目より腕力がある?!……神力使ってない私が非力、というのは、うん。普通すぎる予想なので無視だ。
「わりぃことは言わねえ。止めとけ。ここに情報屋がいる、なんてガセネタだ」
「それは、私が自分で確かめますので」

砂を払いながら立ち上がった私は、マントの留め具を外し、投げるようにしておじ様の視界を塞いで酒場に転がり込んだ。
「あっ!おい!」
巻き付けていただけあって、視界を塞いだマントを軽く払い、おじ様は私の後ろを追いかけて来た。

「んー??…おー、マスター♪今日の酒はソコのおチビちゃんになったのかい?」
ムワッと鼻や身体にまとわりついてきた酒の香り。色々な香りが混ざりすぎて、いっそ重い。もわっともする。
ついでに、ビールジョッキ片手にこっちを見てくるオジサンの目付きが気持ち悪いよ!

説明を求めようとおじ様に視線を向けると、マントを持ってない方の手で顔面を覆って思いっきりため息を吐いていた。
「………こいつは客だ」
そういうと、おじ様は私を肩に担ぎ上げて店の奥へ入っていく。ビールジョッキのオジサンはへらっと笑いながら手を振って、私?おじ様?を見送っていた。
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