1 / 1
第3作 彼女の思いで
しおりを挟む「今日も掃除しておいてあげるね!」
優美は僕の家でデートするときは必ずトイレを掃除してから帰る。
別に普段汚くしているわけではないが、ピカピカにしてくれてとてもありがたいと思っている。
最初のうちは「いいよ!トイレ掃除は僕がやるから。」と言っていたが、最近は「いつもありがとう!」と掃除してもらうのが当たり前になってきた。
それにしてもどうしてトイレ掃除だけして帰るのかわからない。
お風呂は一緒に入ってもお風呂掃除はしてくれる気はないようだ。
たまに鏡が汚れて曇っていても何も言わない。
付き合い始めて3か月になるが、さすがに「ついでにお風呂もよろしく!」とも言いづらい。
だからどうしていつもトイレを掃除してくれるの?と聞きづらい感じがしていた。
「トイレを?」が「トイレだけ」に聞こえてしまうとなんか他も催促しているようでまずいと思う。
もちろん優美のことは大好きだから、余計な感情を抱かせて怒らせたくはないし。
しかし、何故トイレだけ掃除してくれるのか気になって仕方ない。
しかも、帰りがけにである。
もし仮に優美がすごく潔癖症なら、家に着いたらまず、僕のトイレの後の汚れがついている段階で掃除するはずだと思う。アルコール除菌なんかもするはずだ。
「よし、思い切って聞いてみよう!」
疑問が収まらない僕はついに今日のおうちデートの帰り間際に「しかし、一人暮らししてると家の掃除って大変だよなあ~。お風呂なんかほんとに面倒だよな。」と話かけた。
するとそれまで楽しそうだった優美は少しだけ顔つきを変えた。
普通を装っているが、明らかに気持ちの変化が起きてる顔だ。
「まずかったかな?、、、」そう後悔したがもう遅い。
胸騒ぎがして僕は心臓が少し縮んだように感じた。
なんで余計なこと言ったんだろう。俺もバカだよなあ。言わなくていいことを。
その気持ちを読まれたかもしれない。
優美は「そろそろ帰るね!」と言ってトイレに向かった。
いつもの帰り際の掃除のパターン。
「あぁ良かった!気分を害したと思ったけど気のせいかな。少し安心!」
しばらくして優美がトイレから出てきた音がした。
そして、続けて玄関のドアが開いた音がすると「さよなら!」と言って優美は出て行った。
「えっ!優美が帰ってしまった!やばい!絶対怒らせた。」
「優美は僕には最高の彼女だ。なんとか謝らないと!」
まずは落ち着かないと。そう落ちついてからLINEしよう。
残っていた赤ワインを飲みながら、LINEの文章を頭でシュミレーションしてみる。
まず、また会ってくれる程度の問題なのか、それともかなりまずいレベルなのかによって文章は違う。
「もしかしたらもう二度と会ってくれないかもしれない。いや、こんなことでそれはないよな!」
頭の中でぐるぐるいろいろなケースが回って動揺していることが自分でもわかる。
「ほんと、俺余計なこと言っちゃって、、、。くそ!くそっ!そうだ!そう言えば糞したくなった。」
ブゥー!「あっ、やべ!オナラの勢いで中身もでたかも」
こんな時なのにうんこがしたくなった俺は、トイレに駆け込んだ。
すると、便器の蓋が閉まっている。
普段はだらしないかもしれないがいつも開けっ放しにしていて、優美が掃除してくれてもそのまま開けていてくれている。
「あれ!今日は閉まってる!なんでだ!これまずいサインかな?」また今度は強い胸騒ぎが襲ってきて心臓が一段と縮んだように感じる。
「ごめんな、優美!」
僕はこの心からの謝罪の気持ちをテレパシーで精一杯優美に向けて送った。
そして、うんこをしようと便器の蓋を開けた。
すると、便器のノズルの出口の下の切り立った壁の部分にベットリとウンコが付いているではないか!
その時である。
優美からテレパシーが来た。
「もうお別れね。」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?
無色
恋愛
子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。
身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる