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第六話 夏桜
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まだイジメがそれほど酷くなかった頃。僕は一人授業を抜け出して、障害者学級にいる空の授業風景をこっそり見ようと思っていた。今日はみんなの前で作文を読むらしいから、兄としては妹のそんな姿を見守ってやりたかった。毎晩シャーペンと消しゴムと格闘しながら空は作文を書いていたから、内容も気になって僕は自然と一人笑みを浮かべてしまう。
夏ということもあって、空のいるクラスの扉は開けられていた。空色の髪をした空の後姿が隠れながらでもよく見えた。
「はい、次は相原空さんの作文です」
障害者学級の担任の先生が空をあてる。
「わ、私の将来の夢。に、二年青組。あ、相原空です……」
緊張しながら椅子から立ち上がる空の後姿に、僕は思わず頑張れと祈っていた。
「私の将来の夢は大人になったら大好きなお兄ちゃんの灯と結婚することです。大人になれば私はきっと賢くなるので灯も喜んで結婚してくれると思います。結婚したら小さなお家に灯と一緒に住んで毎日おいしいごはんを作ってあげます。小さなお庭には犬と猫を飼いたいです。仕事から帰った灯の肩も揉んであげます。夜は眠くなるまで一緒に絵本を読みたいです。毎日が平和で幸せです。それが私の夢です。おわり」
(僕と結婚……兄妹で結婚は……)
きっと無理だと知らない空。
「はい。よく読めました。空さんは早く素敵な大人になりたいんですね。とてもいいことですよ」
担任の先生が空を褒めてくれる。否定的なことを言わないいい先生だ。
「えへー」
空はよほど嬉しいのだろう。右手で頭をかいた。
作文をちゃんと読めた空の姿。僕への思い。胸が温かくなって、嬉しそうな空をいつまでもずっと見ていたかった。
嬉しかった夏の日の夢を見終わっていた……それにしてもここはどこだろう……? 何度も瞬きをしながら僕は体を起こした……辺りを見回せば、そこはいくつもの行灯に照らされた大広間のような場所だった。こんな場所に足を運んだ覚えがないから、僕は半ば混乱してしまう。
「お目覚めですか? 砂浜でお倒れになっていたんですよ?」
いつの間には天音が僕のそばに立っていた。
「薄暗い夏町はいささか物騒なんですよ」
天音は笑う。妖しい笑みを浮かべて。何か企んでいるのかがわからない。そんな笑みだ。
「ここは私の夏屋敷。好きにくつろいでゆっくりなさってください」
天音はゆっくりと僕の前に腰を下ろすと、まるで誘惑するかのように浴衣から見える胸の谷間を強調しているかのようだった……
「あ、あの……天音は人間なの?」
天音の胸の谷間から視線を逸らしながら、僕はとにかく何でもいいから質問する。天音はそんな僕の心境を察したようで、「うふふ」と微かに笑い声を上げる。
「……確かめてみればいいじゃないですか……」
天音は僕に覆いかぶさる。美しい天音の顔……うっとりとした顔がすぐ目の前にある……
「……私は人間の男がそれは好きで好きで……灯のような男の子には、可愛らしさを覚えます……」
僕は何の抵抗もできずにただ天音の誘惑に身を任せていた……
「……触っていいんですよ……それに好きにしても……」
天音は僕の手を取ると、浴衣の胸元へと入れた……柔らかい感触があった……
「……灯はどんな怪物になるんですか……?」
囁く天音……彼女の綺麗な唇がゆっくりと僕へと近づいてくる……
「か、怪物って……?」
どんな怪物になる……その答えもわからないまま僕は天音に口づけされる……
そうか……このまま天音の体に溺れるのか……溺れてしまおう……そのほうが心地いい……
「……灯じゃなくなるよ……そんなのやだ……」
空の声が聞こえたから、僕は天音を払いのける。犯され死んだ空の姿が脳裏に焼け付くようにずっと浮かんでいた……
「うふふ……拒むんですか? 私を? 人のくせにずいぶんと無作法ですね」
手の甲で唇を拭う天音。笑みを浮かべてはいるが、怒っているのは確かだった。
「灯はせっかく可愛らしいのに残念です。私が両目を潰してあげます。その後は耳の鼓膜も潰してあげましょう。何も見えずに聞こえずに、この夏屋敷をさ迷うんです。とても楽しい僅かな余生ですよね?」
天音が本気でそうするとわかったから、僕は一目散に行灯が照らす大広間から逃げ出した。
大広間の外。そこは暗い廊下が続いていた。僕は無我夢中で走る。途中、天音が追ってきているのではないかと、後ろを振り向くが、そこは暗い木製の廊下が続いているだけだ……天音がいないだけで束の間の安心だと知りながらも、僕は足を止めることができた。
「灯。疲れたでしょ。もう歩いていいよ」
ふと前を見れば空が手を差し伸べてくれていた……
「ああ……空……そうするよ……」
僕は空の手を取り、夏屋敷を空と一緒に歩く。この場に空がいることに、不思議と何の違和感もない。僕は狂っているのだろうか……?
「なぁ、空……僕を恨んでいるか……?」
歩きながらこんな質問をしている。薄暗い夏町の砂浜でとてもできなかった質問。やはり僕は理性をどうかしている……
「恨むってよくわからない。灯のことは好きだから、だから許しているよ」
「イジメられるのが嫌でお前を差し出したんだぞ? それでもこんな僕を大切だと思うのか?」
空は歩みをとめると僕を見る。
「思うよー。それはずっと、ずっと、いつまでも」
夏屋敷の暗い廊下で、空は答えてくれる。頬は少し赤らめているらしく、僕が知っている空らしい笑みだと思った。
「ねぇ、灯。助けてあげようよ」
暗い中で空が誰かに指をさすのがわかった。きっと夏屋敷の下へと続く階段。何本ものロウソクが立てられている階段で、一人の少女が静かに座っていた。
「あ、あの、涼葉だよね……?」
金色の長い髪をした同じ年くらいの少女涼葉は、ゆっくりと僕の方を向いた。まるで生気の感じられない表情で……
「やっぱり。空、この人は涼葉。知ってる人だから……」
後ろを向けば空の姿はない。すぐ先ほどまで手を握っていた感触が確かにあるのに、空はどこかへと消えていた。
「今まで誰と話していた……? 君も幻覚に苛まれているの……? 意志を持ったタチの悪い幻覚……リアルだよね……まるで本当に生きているみたいで……」
涼葉は壊れたように静かに笑い出す。きっとクスリのせいだと僕は思う。
「笑ってる場合じゃない。ここから逃げないと、どんな目に合うか……」
天音に見つかる前に、生きている同じ人間である涼葉を救いたいと思った。この得体のしれない夏屋敷から出て、夏町の外に出ればきっと……救いようのない日々に戻れるはずだ……
「ふふ……天音の体は、それは気持ちいいよ……君も抱けばここがもう悪夢だときっと考えられなくなるから……」
「いいから立って!」
僕は涼葉の手を握ると、半ば無理矢理立ち上がらせた。出口もわからずに何本ものロウソクが立てられた夏屋敷の階段を下っていく。
階段を下った先は、同じように暗い廊下が続いているだけで僕は途方に暮れた。この夏屋敷の出口なんてどこにあるのかわかるはずもない……
「……とても静かだよう……涼葉さん……」
それは見知らぬ女の子の声だった。暗い廊下の奥から聞こえてくる。
「え……美羽……」
涼葉は僕の手を払いのけ、暗い廊下の奥へと消えていく。
「待って……! こんなに暗いのは……」
一人で暗いのは苛まれるから嫌だ。色々と聞きたくもない幻聴が聞こえるから……
そして思い出す……
『お前が……!』
父は僕を殴る。この人はずっと僕のことが嫌いだったから。だから空が犯され殺された原因である僕を殴り続けた……
『空はどこにいるの……?』
溺愛していた空が死んで以来。母は抜け殻のような状態になり、いつも呆然と家の玄関の前で立ち尽くしていた。空がきっと帰ってくると信じていたんだと思う。
両親のそんな姿を目の当たりにしても、僕が感じたのは安心感だけだった。イジメられていたおかげで少年院にはいかずに済んだし、保護観察官にはただ訊かれた質問に頷いているだけでよかった……
「……僕は許されているんだ……最初から……」
僕は夏屋敷の暗い廊下で一人俯いて言葉していた……
「許されてる? 何の罪もないって君は自分に言い聞かせているだけでしょ? それは私と同じで……」
夏屋敷の暗い廊下をどれだけ歩いたのか? 一つの消えかかった行灯が灯された部屋に僕はいた。目の前には涼葉がいて、僕を見つめて妖しい笑みを零している。
「君と私は少しだけ似ているね。ほんの少し違うのは、罪の意識の感じかた……私は殺してあげてよかったと思うから……」
消えかかった行灯の中で涼葉が静かに指をさす物……
「……静かだよう……とても静か……」
一人の見知らぬ少女が血だらけで全身を切り刻まれて微かに呼吸をしながら、畳の上に倒れていた……僕にはこの少女がいつ死んでもおかしくない状態だと思うのだが、それはとても穏やかな表情で涼葉を見ている……
「美羽。綺麗だね。今度は本当に死ぬの?」
この少女はどうやら美羽というらしい。美羽が静かに頷いて見せると、涼葉は嬉しそうに小首を傾げて笑ったようだった。
「……私は夏に桜が咲くのを知っている……涼葉さんにも見せてあげたいな……天音……人じゃない者がきっと見せてくれる……そのあとは暗い世界がいつまでも続いていく……」
支離滅裂なことを口にしたのを最後に、美羽という子は息をしなくなったかと思うと、まるで最初から存在してなかったかのように消えていった……それはまるで儚い幻覚のようだった……
「夏に咲く桜って、君はどんなものだと思う?」
「わからないよ。夏に咲く桜なんて聞いたこともないし……」
「探してみよう。どうせ私たちは天音にいいようにされたら、殺されると思うから」
天音は僕の両目を潰して鼓膜も潰すと言っていた。それはどうせ無残に死んでいくことを意味している。
「最後は美しい光景を見るのも悪くないでしょ?」
それはクスリのせいか、それとも涼葉が取り返しのないくらい狂っているのかはわからないけど、僕は涼葉と二人で夏屋敷を進むしかない。
薄暗い夏屋敷。とにかく広いということはわかるが、数ある襖の開けられたままの部屋からはおびただしい数の視線を感じる。立ち止まり、暗い部屋に向かってジッと視線を凝らすと、この世のものとは思えない怪物たちが弱々しくうごめいていた……
「……夏桜のところにいく……」
「……あの年でこんな場所に、それも天音に囚われて……」
「……あいつらも僕らと同じ姿になればいいのに……」
「……どうしてならない……羨ましいよ……」
「……もっと殺させろ……犯させろ……」
今にも怪物たちが一斉に襲ってくるのではと嫌でも考えてしまい、僕の両足は恐怖ですくんでしまう。
「大丈夫。みんな襲ってはこないから」
涼葉は何ら恐怖などしている様子もなく口を開く。
「どうして、わかる……?」
「誰かを襲う力なんてない。みんな天音の誘惑に勝てなくてあんな怪物の姿になったけど、一度怪物になればあとはどんどん弱っていくだけだから」
「天音は人を怪物に変えて、その後はどうしたいんだ……?」
「さぁ、女王様を気取りたいのかも。自分に逆らわないように弱者にして弱らせて。それにしても誘惑に勝てた君は凄いよ。私はとても楽しんだのに。それは最高のひととき……ずっと忘れられない……」
笑って涼葉はそう答えた。この子は容姿は綺麗だけど、天音に心を怪物にされたのだろうか……? こんなふうになる前はもっと違う心を持っていたのか……?
「ほら、行こう。夏桜……きっと近いよ。花の香りが少しするでしょ?」
涼葉は僕の手を取ると歩き出す。すると微かに廊下の奥から甘酸っぱい花の香りがしてきた……
進むにつれ、青色がかった外の光が見えてくると……
「……行こう……」
涼葉は僕の手を引っ張り、小走りで光へと向かっていく。
ここは夏屋敷の外でいいのだろうか……? 薄暗い空の下には無数の桜の木が存在している。花の色は蒼く鈍い光を放っていた……
「夏桜……見れてよかったね……君はどう思う……?」
「美しいとは思うけど、僕たちの世界の美しさじゃない」
そう……天音のようにこの蒼い桜は、異世界の住人が見て感じる美しさなんだと思う……僕の知る世界には決してない美しさがこの桜……
見惚れていると、夏の涼しい風が一瞬吹いた。蒼く鈍い光を放つ桜の花びらは薄暗い空へと舞い上がる……
「あなた方が夏桜を見た最初の人間ですね」
夏桜の木の下に妖しく笑う天音が立っていた。
「見れてよかったですね灯。お約束通り殺しはしません。その目でよく焼き付けるといいです。最後に見えた夏桜を……」
これから両目と鼓膜を潰されるんだ……
僕は怖くて……涼葉の手を強く握ってしまう……
「私でよければいつでも君のそばにいてあげるから……」
涼葉は僕を見つめて静かに微笑んでくれた。恐怖が少しは和らいだ気がして僕は夏桜を空虚に見つめた。天音が言うようにこの目で焼き付けるように……
「私を拒むからです。心がはっきりしている人間はいりません。私は弱い怪物が欲しいんです。私の誘惑に負け続けて弱っていく怪物が……」
夏桜の下で天音は僕に向かって手を伸ばした……
「愛されてない。とてもかわいそう」
空がいつの間にかそこにいた……
天音も呆気にとられたように目を見開いていた。それは彼女らしくない表情だということがわかる。
「可哀想? 私がですか……?」
天音は不思議そうに小首を傾げる。
「誰からも愛されてない。誰もあなたのことを好きじゃない。きっと寂しいよね」
「ええ……それは寂しいですよ。だから私は誘惑するんです。体を捧げて、誰かを怪物にさえすれば、私にひれ伏すしか後は残されていないんですから」
天音は空に本音を答えたんだと思う。とても寂しそうな眼差しで空を見つめていた。
「空は、私は、とてもたくさんの人に愛されたんだよ。灯とパパやママに先生。それと同じクラスの青組のみんな。私の最後は悲しい終わりかたをしたけど、それでも愛してくれた人の顔を思い浮かべると、とても嬉しいんだよ。いいでしょー」
とても自慢げに語る空。
「私は誘惑の妖怪として生を受けました。両親とやらはいません。気がついた時には一人でした。私が人間じゃないと知ると、ある人は迫害し、またある人は私を恐れて何度も殺そうとしました。そう……そうなんですね……私には悲しいことしかない……」
「これからは私が悲しくさせないよ。灯とそこのお姉さんと一緒に仲良く暮らそうよ」
「うふふ……どうして私があなた方と……? どうせ最後には私を恐れるくせに……」
小首を傾げながら妖しい笑みを零す天音。僕には彼女が人を信じられる人格があるようには思えなかった……
「この夏屋敷も夏町も哀れな人たちを集めるために創造しました。綺麗な夏桜も異界で拾った種を植えて、芽が出て花を咲かせるまで途方もない年月がかかりました。それももう終わりにするのも悪くないのかもしれませんね。誰かに抱かれ続けてもどうせ寂しいだけですから……」
天音は夏桜の木にそっと手を当てた。
「それでも孤独で死んでいくのは嫌です。もっと寂しいものですから……」
一瞬何が起きたのかわからなかった……ただ白い光が見えただけで……気を失う……
「灯。起きてよ」
朦朧としながら僕は目を開けると、嬉しそうに笑みを浮かべる空の顔が目の前にある。
「あの人を助けてあげて」
空が指さす方向に涼葉が気を失っている……周りを見れば美しい夏桜は白い炎によって燃えていた。その白い炎は夏屋敷へと燃え広がろうとしていた。
「……私だけ消えるのは、それは嫌です……お前らも消えればいい……本当の孤独はとても暗いから……」
白い炎に包まれた天音は倒れる……命が抜けた人形のように……
「涼葉……」
眠るような涼葉。まだ息はある……
「空……逃げよう……」
「私はいないほうがいい。私のせいで灯は苦しい思いをしたから」
……それは違う……僕のせいで空は殺されたんだろ……?
……結婚するんだろ……?
気がつけば白い炎の中で、涼葉に肩を貸しながら夏屋敷を歩いていた……
弱った怪物たちが白い炎に包まれて苦しみながらのた打ち回っている……
「……生きているのは私と君だけ……」
白い炎で焼かれる夏屋敷を涼葉は、どこか儚げに見つめていた……
ようやく出れた夏屋敷……僕はもう悪夢が終わることに安心して、ゆっくりと瞳を閉じた……
夏ということもあって、空のいるクラスの扉は開けられていた。空色の髪をした空の後姿が隠れながらでもよく見えた。
「はい、次は相原空さんの作文です」
障害者学級の担任の先生が空をあてる。
「わ、私の将来の夢。に、二年青組。あ、相原空です……」
緊張しながら椅子から立ち上がる空の後姿に、僕は思わず頑張れと祈っていた。
「私の将来の夢は大人になったら大好きなお兄ちゃんの灯と結婚することです。大人になれば私はきっと賢くなるので灯も喜んで結婚してくれると思います。結婚したら小さなお家に灯と一緒に住んで毎日おいしいごはんを作ってあげます。小さなお庭には犬と猫を飼いたいです。仕事から帰った灯の肩も揉んであげます。夜は眠くなるまで一緒に絵本を読みたいです。毎日が平和で幸せです。それが私の夢です。おわり」
(僕と結婚……兄妹で結婚は……)
きっと無理だと知らない空。
「はい。よく読めました。空さんは早く素敵な大人になりたいんですね。とてもいいことですよ」
担任の先生が空を褒めてくれる。否定的なことを言わないいい先生だ。
「えへー」
空はよほど嬉しいのだろう。右手で頭をかいた。
作文をちゃんと読めた空の姿。僕への思い。胸が温かくなって、嬉しそうな空をいつまでもずっと見ていたかった。
嬉しかった夏の日の夢を見終わっていた……それにしてもここはどこだろう……? 何度も瞬きをしながら僕は体を起こした……辺りを見回せば、そこはいくつもの行灯に照らされた大広間のような場所だった。こんな場所に足を運んだ覚えがないから、僕は半ば混乱してしまう。
「お目覚めですか? 砂浜でお倒れになっていたんですよ?」
いつの間には天音が僕のそばに立っていた。
「薄暗い夏町はいささか物騒なんですよ」
天音は笑う。妖しい笑みを浮かべて。何か企んでいるのかがわからない。そんな笑みだ。
「ここは私の夏屋敷。好きにくつろいでゆっくりなさってください」
天音はゆっくりと僕の前に腰を下ろすと、まるで誘惑するかのように浴衣から見える胸の谷間を強調しているかのようだった……
「あ、あの……天音は人間なの?」
天音の胸の谷間から視線を逸らしながら、僕はとにかく何でもいいから質問する。天音はそんな僕の心境を察したようで、「うふふ」と微かに笑い声を上げる。
「……確かめてみればいいじゃないですか……」
天音は僕に覆いかぶさる。美しい天音の顔……うっとりとした顔がすぐ目の前にある……
「……私は人間の男がそれは好きで好きで……灯のような男の子には、可愛らしさを覚えます……」
僕は何の抵抗もできずにただ天音の誘惑に身を任せていた……
「……触っていいんですよ……それに好きにしても……」
天音は僕の手を取ると、浴衣の胸元へと入れた……柔らかい感触があった……
「……灯はどんな怪物になるんですか……?」
囁く天音……彼女の綺麗な唇がゆっくりと僕へと近づいてくる……
「か、怪物って……?」
どんな怪物になる……その答えもわからないまま僕は天音に口づけされる……
そうか……このまま天音の体に溺れるのか……溺れてしまおう……そのほうが心地いい……
「……灯じゃなくなるよ……そんなのやだ……」
空の声が聞こえたから、僕は天音を払いのける。犯され死んだ空の姿が脳裏に焼け付くようにずっと浮かんでいた……
「うふふ……拒むんですか? 私を? 人のくせにずいぶんと無作法ですね」
手の甲で唇を拭う天音。笑みを浮かべてはいるが、怒っているのは確かだった。
「灯はせっかく可愛らしいのに残念です。私が両目を潰してあげます。その後は耳の鼓膜も潰してあげましょう。何も見えずに聞こえずに、この夏屋敷をさ迷うんです。とても楽しい僅かな余生ですよね?」
天音が本気でそうするとわかったから、僕は一目散に行灯が照らす大広間から逃げ出した。
大広間の外。そこは暗い廊下が続いていた。僕は無我夢中で走る。途中、天音が追ってきているのではないかと、後ろを振り向くが、そこは暗い木製の廊下が続いているだけだ……天音がいないだけで束の間の安心だと知りながらも、僕は足を止めることができた。
「灯。疲れたでしょ。もう歩いていいよ」
ふと前を見れば空が手を差し伸べてくれていた……
「ああ……空……そうするよ……」
僕は空の手を取り、夏屋敷を空と一緒に歩く。この場に空がいることに、不思議と何の違和感もない。僕は狂っているのだろうか……?
「なぁ、空……僕を恨んでいるか……?」
歩きながらこんな質問をしている。薄暗い夏町の砂浜でとてもできなかった質問。やはり僕は理性をどうかしている……
「恨むってよくわからない。灯のことは好きだから、だから許しているよ」
「イジメられるのが嫌でお前を差し出したんだぞ? それでもこんな僕を大切だと思うのか?」
空は歩みをとめると僕を見る。
「思うよー。それはずっと、ずっと、いつまでも」
夏屋敷の暗い廊下で、空は答えてくれる。頬は少し赤らめているらしく、僕が知っている空らしい笑みだと思った。
「ねぇ、灯。助けてあげようよ」
暗い中で空が誰かに指をさすのがわかった。きっと夏屋敷の下へと続く階段。何本ものロウソクが立てられている階段で、一人の少女が静かに座っていた。
「あ、あの、涼葉だよね……?」
金色の長い髪をした同じ年くらいの少女涼葉は、ゆっくりと僕の方を向いた。まるで生気の感じられない表情で……
「やっぱり。空、この人は涼葉。知ってる人だから……」
後ろを向けば空の姿はない。すぐ先ほどまで手を握っていた感触が確かにあるのに、空はどこかへと消えていた。
「今まで誰と話していた……? 君も幻覚に苛まれているの……? 意志を持ったタチの悪い幻覚……リアルだよね……まるで本当に生きているみたいで……」
涼葉は壊れたように静かに笑い出す。きっとクスリのせいだと僕は思う。
「笑ってる場合じゃない。ここから逃げないと、どんな目に合うか……」
天音に見つかる前に、生きている同じ人間である涼葉を救いたいと思った。この得体のしれない夏屋敷から出て、夏町の外に出ればきっと……救いようのない日々に戻れるはずだ……
「ふふ……天音の体は、それは気持ちいいよ……君も抱けばここがもう悪夢だときっと考えられなくなるから……」
「いいから立って!」
僕は涼葉の手を握ると、半ば無理矢理立ち上がらせた。出口もわからずに何本ものロウソクが立てられた夏屋敷の階段を下っていく。
階段を下った先は、同じように暗い廊下が続いているだけで僕は途方に暮れた。この夏屋敷の出口なんてどこにあるのかわかるはずもない……
「……とても静かだよう……涼葉さん……」
それは見知らぬ女の子の声だった。暗い廊下の奥から聞こえてくる。
「え……美羽……」
涼葉は僕の手を払いのけ、暗い廊下の奥へと消えていく。
「待って……! こんなに暗いのは……」
一人で暗いのは苛まれるから嫌だ。色々と聞きたくもない幻聴が聞こえるから……
そして思い出す……
『お前が……!』
父は僕を殴る。この人はずっと僕のことが嫌いだったから。だから空が犯され殺された原因である僕を殴り続けた……
『空はどこにいるの……?』
溺愛していた空が死んで以来。母は抜け殻のような状態になり、いつも呆然と家の玄関の前で立ち尽くしていた。空がきっと帰ってくると信じていたんだと思う。
両親のそんな姿を目の当たりにしても、僕が感じたのは安心感だけだった。イジメられていたおかげで少年院にはいかずに済んだし、保護観察官にはただ訊かれた質問に頷いているだけでよかった……
「……僕は許されているんだ……最初から……」
僕は夏屋敷の暗い廊下で一人俯いて言葉していた……
「許されてる? 何の罪もないって君は自分に言い聞かせているだけでしょ? それは私と同じで……」
夏屋敷の暗い廊下をどれだけ歩いたのか? 一つの消えかかった行灯が灯された部屋に僕はいた。目の前には涼葉がいて、僕を見つめて妖しい笑みを零している。
「君と私は少しだけ似ているね。ほんの少し違うのは、罪の意識の感じかた……私は殺してあげてよかったと思うから……」
消えかかった行灯の中で涼葉が静かに指をさす物……
「……静かだよう……とても静か……」
一人の見知らぬ少女が血だらけで全身を切り刻まれて微かに呼吸をしながら、畳の上に倒れていた……僕にはこの少女がいつ死んでもおかしくない状態だと思うのだが、それはとても穏やかな表情で涼葉を見ている……
「美羽。綺麗だね。今度は本当に死ぬの?」
この少女はどうやら美羽というらしい。美羽が静かに頷いて見せると、涼葉は嬉しそうに小首を傾げて笑ったようだった。
「……私は夏に桜が咲くのを知っている……涼葉さんにも見せてあげたいな……天音……人じゃない者がきっと見せてくれる……そのあとは暗い世界がいつまでも続いていく……」
支離滅裂なことを口にしたのを最後に、美羽という子は息をしなくなったかと思うと、まるで最初から存在してなかったかのように消えていった……それはまるで儚い幻覚のようだった……
「夏に咲く桜って、君はどんなものだと思う?」
「わからないよ。夏に咲く桜なんて聞いたこともないし……」
「探してみよう。どうせ私たちは天音にいいようにされたら、殺されると思うから」
天音は僕の両目を潰して鼓膜も潰すと言っていた。それはどうせ無残に死んでいくことを意味している。
「最後は美しい光景を見るのも悪くないでしょ?」
それはクスリのせいか、それとも涼葉が取り返しのないくらい狂っているのかはわからないけど、僕は涼葉と二人で夏屋敷を進むしかない。
薄暗い夏屋敷。とにかく広いということはわかるが、数ある襖の開けられたままの部屋からはおびただしい数の視線を感じる。立ち止まり、暗い部屋に向かってジッと視線を凝らすと、この世のものとは思えない怪物たちが弱々しくうごめいていた……
「……夏桜のところにいく……」
「……あの年でこんな場所に、それも天音に囚われて……」
「……あいつらも僕らと同じ姿になればいいのに……」
「……どうしてならない……羨ましいよ……」
「……もっと殺させろ……犯させろ……」
今にも怪物たちが一斉に襲ってくるのではと嫌でも考えてしまい、僕の両足は恐怖ですくんでしまう。
「大丈夫。みんな襲ってはこないから」
涼葉は何ら恐怖などしている様子もなく口を開く。
「どうして、わかる……?」
「誰かを襲う力なんてない。みんな天音の誘惑に勝てなくてあんな怪物の姿になったけど、一度怪物になればあとはどんどん弱っていくだけだから」
「天音は人を怪物に変えて、その後はどうしたいんだ……?」
「さぁ、女王様を気取りたいのかも。自分に逆らわないように弱者にして弱らせて。それにしても誘惑に勝てた君は凄いよ。私はとても楽しんだのに。それは最高のひととき……ずっと忘れられない……」
笑って涼葉はそう答えた。この子は容姿は綺麗だけど、天音に心を怪物にされたのだろうか……? こんなふうになる前はもっと違う心を持っていたのか……?
「ほら、行こう。夏桜……きっと近いよ。花の香りが少しするでしょ?」
涼葉は僕の手を取ると歩き出す。すると微かに廊下の奥から甘酸っぱい花の香りがしてきた……
進むにつれ、青色がかった外の光が見えてくると……
「……行こう……」
涼葉は僕の手を引っ張り、小走りで光へと向かっていく。
ここは夏屋敷の外でいいのだろうか……? 薄暗い空の下には無数の桜の木が存在している。花の色は蒼く鈍い光を放っていた……
「夏桜……見れてよかったね……君はどう思う……?」
「美しいとは思うけど、僕たちの世界の美しさじゃない」
そう……天音のようにこの蒼い桜は、異世界の住人が見て感じる美しさなんだと思う……僕の知る世界には決してない美しさがこの桜……
見惚れていると、夏の涼しい風が一瞬吹いた。蒼く鈍い光を放つ桜の花びらは薄暗い空へと舞い上がる……
「あなた方が夏桜を見た最初の人間ですね」
夏桜の木の下に妖しく笑う天音が立っていた。
「見れてよかったですね灯。お約束通り殺しはしません。その目でよく焼き付けるといいです。最後に見えた夏桜を……」
これから両目と鼓膜を潰されるんだ……
僕は怖くて……涼葉の手を強く握ってしまう……
「私でよければいつでも君のそばにいてあげるから……」
涼葉は僕を見つめて静かに微笑んでくれた。恐怖が少しは和らいだ気がして僕は夏桜を空虚に見つめた。天音が言うようにこの目で焼き付けるように……
「私を拒むからです。心がはっきりしている人間はいりません。私は弱い怪物が欲しいんです。私の誘惑に負け続けて弱っていく怪物が……」
夏桜の下で天音は僕に向かって手を伸ばした……
「愛されてない。とてもかわいそう」
空がいつの間にかそこにいた……
天音も呆気にとられたように目を見開いていた。それは彼女らしくない表情だということがわかる。
「可哀想? 私がですか……?」
天音は不思議そうに小首を傾げる。
「誰からも愛されてない。誰もあなたのことを好きじゃない。きっと寂しいよね」
「ええ……それは寂しいですよ。だから私は誘惑するんです。体を捧げて、誰かを怪物にさえすれば、私にひれ伏すしか後は残されていないんですから」
天音は空に本音を答えたんだと思う。とても寂しそうな眼差しで空を見つめていた。
「空は、私は、とてもたくさんの人に愛されたんだよ。灯とパパやママに先生。それと同じクラスの青組のみんな。私の最後は悲しい終わりかたをしたけど、それでも愛してくれた人の顔を思い浮かべると、とても嬉しいんだよ。いいでしょー」
とても自慢げに語る空。
「私は誘惑の妖怪として生を受けました。両親とやらはいません。気がついた時には一人でした。私が人間じゃないと知ると、ある人は迫害し、またある人は私を恐れて何度も殺そうとしました。そう……そうなんですね……私には悲しいことしかない……」
「これからは私が悲しくさせないよ。灯とそこのお姉さんと一緒に仲良く暮らそうよ」
「うふふ……どうして私があなた方と……? どうせ最後には私を恐れるくせに……」
小首を傾げながら妖しい笑みを零す天音。僕には彼女が人を信じられる人格があるようには思えなかった……
「この夏屋敷も夏町も哀れな人たちを集めるために創造しました。綺麗な夏桜も異界で拾った種を植えて、芽が出て花を咲かせるまで途方もない年月がかかりました。それももう終わりにするのも悪くないのかもしれませんね。誰かに抱かれ続けてもどうせ寂しいだけですから……」
天音は夏桜の木にそっと手を当てた。
「それでも孤独で死んでいくのは嫌です。もっと寂しいものですから……」
一瞬何が起きたのかわからなかった……ただ白い光が見えただけで……気を失う……
「灯。起きてよ」
朦朧としながら僕は目を開けると、嬉しそうに笑みを浮かべる空の顔が目の前にある。
「あの人を助けてあげて」
空が指さす方向に涼葉が気を失っている……周りを見れば美しい夏桜は白い炎によって燃えていた。その白い炎は夏屋敷へと燃え広がろうとしていた。
「……私だけ消えるのは、それは嫌です……お前らも消えればいい……本当の孤独はとても暗いから……」
白い炎に包まれた天音は倒れる……命が抜けた人形のように……
「涼葉……」
眠るような涼葉。まだ息はある……
「空……逃げよう……」
「私はいないほうがいい。私のせいで灯は苦しい思いをしたから」
……それは違う……僕のせいで空は殺されたんだろ……?
……結婚するんだろ……?
気がつけば白い炎の中で、涼葉に肩を貸しながら夏屋敷を歩いていた……
弱った怪物たちが白い炎に包まれて苦しみながらのた打ち回っている……
「……生きているのは私と君だけ……」
白い炎で焼かれる夏屋敷を涼葉は、どこか儚げに見つめていた……
ようやく出れた夏屋敷……僕はもう悪夢が終わることに安心して、ゆっくりと瞳を閉じた……
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