信号の色

筑紫榛名

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(二)‐5

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「何言っているの。世間にはねえ、そういう話はいくらでもあるのよ! か弱いフリして涙見せながら男にもたれかかって来るもんなのよ、女って」
「そうか? そういう話、俺、聞いたことないよ」
「そりゃあ、普通の会社員していたらあまりいないかもしれないし、そもそもそんなこと、ホイホイと男に見せるわけないじゃない。でもねうちの会社には結構いるのよ。後輩なんだけど、男が五人いるヤツとか。そのくせ社内の男性社員の前では色目使ったり、『私、気配りとか出来るんです』アピールしたり、男の体にやたらとさわったりとか。何かと男の気を惹こうとしているのよね。そのくせトイレの中で『あいつうぜえ』なんて話してたりするのよ。もう、本当に嫌になるわよ」
「お前もそういう仕草すればいいじゃないか」
「そんなの出来るわけないでしょう」
「ガサツだからか」
「ガサツ言わないでよ! あとねえ、ヒモ男のために昼間の仕事だけじゃ金が足りなくて風俗で働くようになった女子社員もいるわよ。週三回だけとか言ってたけど、次の日居眠りしてんだもん。それで注意したら『いくら会社の先輩だからってプライベートなことまで口に出さないで下さい』だって。そんなクズ男とはすぐに別れろって言っても『彼は私を必要としているんです』なんて言っちゃうし。そうそう大学の同級生にはミュージシャンの卵と同棲していたヤツもいたわね。あの子元気でやってるかしら。あ、そうそう、あとねえ……」
「もしかして、経験者は語るってヤツか?」
 アルコールが入っていることもあり、新津は話が止まらなくなりつつあったので、俺は話を遮った。
「バカ言わないで。私はそんな男願い下げだし、もっと上手く生きるわよ。それにそんな演技、私には無理だし。どこかの誰かさんがいうように、ガサツですから」
「まあまあ」

(続く)
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