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18.王妃主催のパーティー
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王妃主催のパーティーが開かれた。
アイリスはレオナルドと共に出席する。二人が現れた頃には、すでに会場には大勢の出席者がいた。
出席者たちは、二人の姿を見てざわめく。
「まさか王太子殿下がお見えになるとは……」
「隣にいるのは、あの悪女と名高い……」
「最近のお気に入りだという噂だが、あの色は……存外本気なのだろうか……」
アイリスはレオナルドから贈られた深紅のドレスを纏い、蒼玉の首飾りを身に着けている。蒼玉の鮮やかな濃い青色は、レオナルドの瞳の色だ。
エスコートするレオナルドは黒い礼服で、袖口には紫水晶のカフスボタンが光る。アイリスの紫色の瞳に合わせたのは、明らかだった。
こうした場で互いの色を身に着けるのは、通常は夫婦や婚約者同士が行うことだ。自分の色を身に着けてほしいとは、プロポーズの言葉でもある。
それだけに軽々しく行うことではなく、二人には好奇の視線が注がれた。
「まあ、よく来てくれたわ。レオナルド殿、アイリス嬢。随分と仲睦まじいこと」
王妃がにこやかに微笑みながら、二人に声をかけてくる。
「こうした場に来ると、無性に暴れ出したくなるのでな。アイリスの目にそのようなところを見せないよう、戒めてある」
レオナルドは腕を持ち上げ、紫水晶のカフスボタンを見せびらかしながら答える。
隣に控えるように立つアイリスは、この答えはいかがなものかと不安に思う。だが、王妃は気を悪くした様子もなく、微笑んだままだ。
「これを機に、少しずつでも親交を深めていければ嬉しいわ。楽しんでいってちょうだい」
動じることなくそう言うと、王妃は離れていった。
アイリスはさりげなく周囲に視線を走らせる。すると、遠巻きに様子をうかがっている貴族たちが大勢いるようだった。
王太子レオナルドに挨拶しておきたいが、躊躇しているといった様子だ。
「兄上、お久しぶりです」
そこに、近付いてくる姿があった。
黄金色の髪に濃い青色の瞳という、王家の色彩を持つ青年だ。顔立ちは整っているものの、目元と口元にやや軽薄な印象が漂う。
「ジョナスか」
レオナルドは淡々とした声を一言だけ発する。
その名は、第二王子の名前だった。王家の色彩といい、レオナルドのことを兄上呼びしたことといい、間違いないだろう。
現王妃の息子であり、レオナルドの腹違いの弟になる。カトリーナにとっては腹違いの兄だ。
「そちらが噂の……なるほど」
ジョナスはアイリスにじろじろと不躾な視線を送りながら、一人頷く。
胸を中心に全身を舐め回すように見つめたあげく、品のない笑みを口元に浮かべる姿に、アイリスは不快感がわき上がってくる。
こういった視線に、アイリスは慣れている。しかし、この場は遊び相手探しの気軽な集まりではなく、王妃主催のパーティーという格式ある場だ。その上、第二王子という身分ある者が、兄の連れている女性に対して取るべき態度とは思えない。
「汚らわしい」
そう吐き捨てると、レオナルドはジョナスの顔面を片手で鷲づかみにする。
何の前触れもなく、流れるような動きだった。骨のきしむ音すら聞こえてきそうだ。
アイリスは唖然として、目の前の暴力を眺める。
レオナルドが狂気を帯びているというのは有名な話だが、側にいてそういった姿を見たことはなかった。そのため、すっかり忘れかけていたのだが、こういうことなのかと納得する。
周囲の貴族たちも、ざわめいているものの、またかといった雰囲気も漂う。どうやら、よくあることらしい。
ジョナスは呻き声をあげて、レオナルドの手をはずそうとする。
しかし、レオナルドの手はしっかりと食い込んでいて、ジョナスの両手でも動かせないようだ。
「レオナルドさま……!」
慌てて、アイリスはレオナルドの腕に触れながら声をかける。
ジョナスの視線は不快ではあったが、報復をしたいほどではなかった。今のレオナルドはいささかやりすぎに思える。
すると、レオナルドは唐突にジョナスの顔から手を離した。
「怖がらせてしまったか。すまないな、アイリス。この不埒な輩の目にアイリスを触れさせたくなかったのだ」
それまでの冷酷な顔から一転して、レオナルドはアイリスに優しい笑顔を向けて甘く囁く。
「アイリスの優しさに感謝するのだな。見逃してやるから、さっさと失せろ」
さらに、レオナルドはジョナスに向けて冷たく言い放つ。
ジョナスは悔しそうな表情を浮かべたものの、何も言い返すことはなかった。顔を押さえながら、離れていく。
アイリスはほっとしながらも、大丈夫なのだろうかと不安がよぎる。
「おお……あれほどあっさりと……」
「血を見ることにならなかったなど、珍しい」
「殿下も大分落ち着いてきたようだ」
周囲の貴族たちがひそひそと囁く。
今の行為は、過去のレオナルドから比べると大分穏やかだったらしい。
相手も王族である第二王子なのに良いのだろうかとアイリスは疑問を抱く。だが、遠くに見える王妃も談笑しているので、きっと良いのだろう。
アイリスは深く考えることを止めた。
「どうした、疲れたか。ならば、少し休もう」
レオナルドは呆然としたままのアイリスを気遣う。
今の場面を見て疲れたのは事実だ。アイリスは黙って一緒に会場の隅に移動する。
そこに置かれていた椅子に、レオナルドはアイリスの手を取って導く。
「飲み物を持ってこよう」
アイリスが椅子に座ると、レオナルドは名残を惜しむように手の甲に口付けを落とし、繋いでいた手を離した。
そして優しく微笑み、アイリスから遠ざかっていく。
一人になり、アイリスは大きく息を吐き出す。
周囲を見回せば、年配の高位貴族たちの姿も見える。いつもアイリスが出ていた夜会は若者中心のものばかりで、居並ぶ顔が違う。
だが、国王の姿は見当たらなかった。パーティーが嫌いで、公式行事のときくらいしか姿を現さないという噂があるが、王妃主催のパーティーでもそれは変わらないらしい。
そのとき、五名ほどの令嬢たちがアイリスに近付いてくるのが見えた。
中心となっているのはストロベリーブロンドの令嬢ことデラニーだ。他にもアイリスがどこかの夜会で見かけたことのある令嬢もいる。
ようやく見慣れた顔ぶれを目にしたが、嬉しくはない。アイリスは揉め事の予感に、そっとため息を漏らす。
「卑しい女は面の皮も厚いのね。身分もわきまえず、よくこの場に出席できるものだわ」
あまりにも予想に反しない言葉を、アイリスの前にやってきたデラニーが放った。
アイリスはレオナルドと共に出席する。二人が現れた頃には、すでに会場には大勢の出席者がいた。
出席者たちは、二人の姿を見てざわめく。
「まさか王太子殿下がお見えになるとは……」
「隣にいるのは、あの悪女と名高い……」
「最近のお気に入りだという噂だが、あの色は……存外本気なのだろうか……」
アイリスはレオナルドから贈られた深紅のドレスを纏い、蒼玉の首飾りを身に着けている。蒼玉の鮮やかな濃い青色は、レオナルドの瞳の色だ。
エスコートするレオナルドは黒い礼服で、袖口には紫水晶のカフスボタンが光る。アイリスの紫色の瞳に合わせたのは、明らかだった。
こうした場で互いの色を身に着けるのは、通常は夫婦や婚約者同士が行うことだ。自分の色を身に着けてほしいとは、プロポーズの言葉でもある。
それだけに軽々しく行うことではなく、二人には好奇の視線が注がれた。
「まあ、よく来てくれたわ。レオナルド殿、アイリス嬢。随分と仲睦まじいこと」
王妃がにこやかに微笑みながら、二人に声をかけてくる。
「こうした場に来ると、無性に暴れ出したくなるのでな。アイリスの目にそのようなところを見せないよう、戒めてある」
レオナルドは腕を持ち上げ、紫水晶のカフスボタンを見せびらかしながら答える。
隣に控えるように立つアイリスは、この答えはいかがなものかと不安に思う。だが、王妃は気を悪くした様子もなく、微笑んだままだ。
「これを機に、少しずつでも親交を深めていければ嬉しいわ。楽しんでいってちょうだい」
動じることなくそう言うと、王妃は離れていった。
アイリスはさりげなく周囲に視線を走らせる。すると、遠巻きに様子をうかがっている貴族たちが大勢いるようだった。
王太子レオナルドに挨拶しておきたいが、躊躇しているといった様子だ。
「兄上、お久しぶりです」
そこに、近付いてくる姿があった。
黄金色の髪に濃い青色の瞳という、王家の色彩を持つ青年だ。顔立ちは整っているものの、目元と口元にやや軽薄な印象が漂う。
「ジョナスか」
レオナルドは淡々とした声を一言だけ発する。
その名は、第二王子の名前だった。王家の色彩といい、レオナルドのことを兄上呼びしたことといい、間違いないだろう。
現王妃の息子であり、レオナルドの腹違いの弟になる。カトリーナにとっては腹違いの兄だ。
「そちらが噂の……なるほど」
ジョナスはアイリスにじろじろと不躾な視線を送りながら、一人頷く。
胸を中心に全身を舐め回すように見つめたあげく、品のない笑みを口元に浮かべる姿に、アイリスは不快感がわき上がってくる。
こういった視線に、アイリスは慣れている。しかし、この場は遊び相手探しの気軽な集まりではなく、王妃主催のパーティーという格式ある場だ。その上、第二王子という身分ある者が、兄の連れている女性に対して取るべき態度とは思えない。
「汚らわしい」
そう吐き捨てると、レオナルドはジョナスの顔面を片手で鷲づかみにする。
何の前触れもなく、流れるような動きだった。骨のきしむ音すら聞こえてきそうだ。
アイリスは唖然として、目の前の暴力を眺める。
レオナルドが狂気を帯びているというのは有名な話だが、側にいてそういった姿を見たことはなかった。そのため、すっかり忘れかけていたのだが、こういうことなのかと納得する。
周囲の貴族たちも、ざわめいているものの、またかといった雰囲気も漂う。どうやら、よくあることらしい。
ジョナスは呻き声をあげて、レオナルドの手をはずそうとする。
しかし、レオナルドの手はしっかりと食い込んでいて、ジョナスの両手でも動かせないようだ。
「レオナルドさま……!」
慌てて、アイリスはレオナルドの腕に触れながら声をかける。
ジョナスの視線は不快ではあったが、報復をしたいほどではなかった。今のレオナルドはいささかやりすぎに思える。
すると、レオナルドは唐突にジョナスの顔から手を離した。
「怖がらせてしまったか。すまないな、アイリス。この不埒な輩の目にアイリスを触れさせたくなかったのだ」
それまでの冷酷な顔から一転して、レオナルドはアイリスに優しい笑顔を向けて甘く囁く。
「アイリスの優しさに感謝するのだな。見逃してやるから、さっさと失せろ」
さらに、レオナルドはジョナスに向けて冷たく言い放つ。
ジョナスは悔しそうな表情を浮かべたものの、何も言い返すことはなかった。顔を押さえながら、離れていく。
アイリスはほっとしながらも、大丈夫なのだろうかと不安がよぎる。
「おお……あれほどあっさりと……」
「血を見ることにならなかったなど、珍しい」
「殿下も大分落ち着いてきたようだ」
周囲の貴族たちがひそひそと囁く。
今の行為は、過去のレオナルドから比べると大分穏やかだったらしい。
相手も王族である第二王子なのに良いのだろうかとアイリスは疑問を抱く。だが、遠くに見える王妃も談笑しているので、きっと良いのだろう。
アイリスは深く考えることを止めた。
「どうした、疲れたか。ならば、少し休もう」
レオナルドは呆然としたままのアイリスを気遣う。
今の場面を見て疲れたのは事実だ。アイリスは黙って一緒に会場の隅に移動する。
そこに置かれていた椅子に、レオナルドはアイリスの手を取って導く。
「飲み物を持ってこよう」
アイリスが椅子に座ると、レオナルドは名残を惜しむように手の甲に口付けを落とし、繋いでいた手を離した。
そして優しく微笑み、アイリスから遠ざかっていく。
一人になり、アイリスは大きく息を吐き出す。
周囲を見回せば、年配の高位貴族たちの姿も見える。いつもアイリスが出ていた夜会は若者中心のものばかりで、居並ぶ顔が違う。
だが、国王の姿は見当たらなかった。パーティーが嫌いで、公式行事のときくらいしか姿を現さないという噂があるが、王妃主催のパーティーでもそれは変わらないらしい。
そのとき、五名ほどの令嬢たちがアイリスに近付いてくるのが見えた。
中心となっているのはストロベリーブロンドの令嬢ことデラニーだ。他にもアイリスがどこかの夜会で見かけたことのある令嬢もいる。
ようやく見慣れた顔ぶれを目にしたが、嬉しくはない。アイリスは揉め事の予感に、そっとため息を漏らす。
「卑しい女は面の皮も厚いのね。身分もわきまえず、よくこの場に出席できるものだわ」
あまりにも予想に反しない言葉を、アイリスの前にやってきたデラニーが放った。
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