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36.償い
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「落ち着け、アイリス。これを飲め」
ヘイズ子爵が、薬湯をアイリスに押しつけた。
虚ろなまま、何の感慨もなく受け取ったアイリスは、考えることなく言われたとおりにする。
味も温度もわからないまま、アイリスは薬湯を飲み干す。
「アイリス……」
レオナルドが心配そうにアイリスを見つめる。薬湯を飲ませるために一度緩めた腕を、再びアイリスに回す。
徐々に頭痛が治まっていき、アイリスはレオナルドの腕の温もりを感じられるようになってきた。
心も大分落ち着いてきたようだ。先ほどヘイズ子爵が持ってきた薬湯はレオナルドのためではなく、自分のためだったのかと、どうでもよいことがぼんやり浮かぶ。
「本当に悪いのは、アイリスではない。アイリスの幸福を願っていたジゼルが、己を責めるアイリスを見たところで、喜ばないだろう」
優しくアイリスの背を撫でながら、レオナルドが囁く。
先ほどアイリスがレオナルドにかけた言葉が、今度は自分に向けられているようだ。
かつてレオナルドがジゼルを手にかけたことを悔いていたのと、今のアイリスの心境は似たようなものだろうか。
「アイリスが幸福になってこそ、ジゼルも浮かばれるだろう。だから、ジゼルと……私のために、生きてくれ」
切実なレオナルドの声は、アイリスが己で命を絶つことを危惧しているのかもしれない。
そのようなことを危ぶんでいるのかと、アイリスは胸が苦しくなる。
頭の痛みはすっかり消え失せ、晴れ渡っている。洗脳が完全に解けたのだと、すとんと腑に落ちた。
「……私にかけられた洗脳は、こういうことでしたのね」
ぼそりと、アイリスは呟く。
ヘイズ子爵はわずかに眉根を寄せながらも、何も言わない。ということは、合っているのだろう。
アイリスが己の罪を知ることから遠ざけていたのだ。知ってしまえば、苦しみのあまり己の命を絶ってしまうかもしれないという恐れからだろう。
レオナルドも、アイリスの罪に気付かせないまま、墓の中に持っていくつもりだったのだろう。
「ふざけているわ」
低い声で吐き捨てると、レオナルドとヘイズ子爵がぎょっとした顔になった。
アイリスの心を埋め尽くしていた自責の念は、怒りへと変わっていく。
よく考えれば、アイリスが自分を責めることも、おかしいのではないだろうか。
「そうよ、もともと悪いのはフォーサイス侯爵じゃないの。私を粗雑に扱ったからお姉さまが怒ったのよ。それに、私のお茶で効果が変わったとか何とか言っても、薬を盛らなければそんなことにはならなかったわ。元凶はこいつよ……!」
アイリスは一人呟きながら、拳を握り締める。
「それに、反乱という大罪を犯したように嵌めた相手がいるということよね。たとえお姉さまに何事もなかったとしても、そいつのせいで処刑になっていたんじゃないかしら。そう考えると、悪いのはそいつとフォーサイス侯爵じゃないの」
考えれば考えるほど、本当に悪いのはアイリスではない。
直接的な死の原因になったレオナルドにほぼ罪がなかったように、アイリスも主体的な罪はないだろう。
もし、復讐心に燃える頃にこのことを知っていたら、そうは思えず、自責の念に潰されていたかもしれない。
だが今は、レオナルドが思い詰めて判断を誤った姿を見ている。それを知っているからこそ、一歩引いて己の罪と向き合うことができた。
これまでの思いを振り払い、アイリスは決意をこめてレオナルドとヘイズ子爵に視線を向ける。
二人は、やや怯んだようだった。
「フォーサイス侯爵はもう亡くなっているから仕方がないとして、嵌めた相手は誰ですか?」
「……王妃とストレイス伯爵が怪しいが、確証はない。この件はすでに終わったものと処理され、闇に葬られている」
わずかな間の後、レオナルドが答える。
「どうにか暴く方法はないのですか?」
「難しいな……フォーサイス侯爵家はすでに断絶している。わざわざ掘り返すには、それなりの理由が必要だ。何か……うーむ……」
言いながら、レオナルドは考え込む。
アイリスも一緒に考えるが、はかばかしい案は浮かんでこない。
王妃から命じられたレオナルド暗殺も、はっきりと指示されたわけではなく、証拠もない。どうとでも言い逃れができるだろう。
何か一つでも罪を言及できれば、そこから繋げていけるかもしれないが、それが思いつかない。
「……方法は、あるかもしれない」
そこに、ヘイズ子爵の声がぼそりと響く。
アイリスもレオナルドも、はっとしてヘイズ子爵に向き直る。
「ただ、そのためにはアイリスが一人で戦わねばならない場面がある。誰の助けもなく、人々の悪意にさらされながら、それでも立ち続けることができるか?」
真剣な声で、ヘイズ子爵は問いかけてくる。
それを聞いて怯んだのは、レオナルドだった。
「アイリスが一人で? 私では駄目なのか?」
「駄目です。戦うといっても、剣を持って立ち向かうといったようなことではありません。怪我をするようなことは、ないはずです」
「だからといって……」
尚も心配そうに言い募ろうとするレオナルドだが、それをアイリスはそっと押しとどめた。
レオナルドの手にそっと己の手を被せながら、安心させるように微笑む。
そして、ヘイズ子爵に向き直った。
「詳しいお話を聞かせてください。それで本当に真実を暴くことができるというのなら、私は戦います」
しっかりとヘイズ子爵を見据えながら、アイリスは決意を述べる。
ヘイズ子爵は無言のまま、ただ頷いた。
「アイリス……」
「大丈夫です。私は社交界の悪女として名高い女でしてよ。人々の悪意なんて、慣れ親しんだものですわ」
艶然と微笑みながら、アイリスは軽やかな声を上げる。
レオナルドは心配そうに眉間に皺を刻んでいたが、それ以上は何も言うことがなかった。
「……嵌めた相手を裁いてこそ、お姉さまへの本当の弔いとなります。そして……それが私の償いです」
ヘイズ子爵が、薬湯をアイリスに押しつけた。
虚ろなまま、何の感慨もなく受け取ったアイリスは、考えることなく言われたとおりにする。
味も温度もわからないまま、アイリスは薬湯を飲み干す。
「アイリス……」
レオナルドが心配そうにアイリスを見つめる。薬湯を飲ませるために一度緩めた腕を、再びアイリスに回す。
徐々に頭痛が治まっていき、アイリスはレオナルドの腕の温もりを感じられるようになってきた。
心も大分落ち着いてきたようだ。先ほどヘイズ子爵が持ってきた薬湯はレオナルドのためではなく、自分のためだったのかと、どうでもよいことがぼんやり浮かぶ。
「本当に悪いのは、アイリスではない。アイリスの幸福を願っていたジゼルが、己を責めるアイリスを見たところで、喜ばないだろう」
優しくアイリスの背を撫でながら、レオナルドが囁く。
先ほどアイリスがレオナルドにかけた言葉が、今度は自分に向けられているようだ。
かつてレオナルドがジゼルを手にかけたことを悔いていたのと、今のアイリスの心境は似たようなものだろうか。
「アイリスが幸福になってこそ、ジゼルも浮かばれるだろう。だから、ジゼルと……私のために、生きてくれ」
切実なレオナルドの声は、アイリスが己で命を絶つことを危惧しているのかもしれない。
そのようなことを危ぶんでいるのかと、アイリスは胸が苦しくなる。
頭の痛みはすっかり消え失せ、晴れ渡っている。洗脳が完全に解けたのだと、すとんと腑に落ちた。
「……私にかけられた洗脳は、こういうことでしたのね」
ぼそりと、アイリスは呟く。
ヘイズ子爵はわずかに眉根を寄せながらも、何も言わない。ということは、合っているのだろう。
アイリスが己の罪を知ることから遠ざけていたのだ。知ってしまえば、苦しみのあまり己の命を絶ってしまうかもしれないという恐れからだろう。
レオナルドも、アイリスの罪に気付かせないまま、墓の中に持っていくつもりだったのだろう。
「ふざけているわ」
低い声で吐き捨てると、レオナルドとヘイズ子爵がぎょっとした顔になった。
アイリスの心を埋め尽くしていた自責の念は、怒りへと変わっていく。
よく考えれば、アイリスが自分を責めることも、おかしいのではないだろうか。
「そうよ、もともと悪いのはフォーサイス侯爵じゃないの。私を粗雑に扱ったからお姉さまが怒ったのよ。それに、私のお茶で効果が変わったとか何とか言っても、薬を盛らなければそんなことにはならなかったわ。元凶はこいつよ……!」
アイリスは一人呟きながら、拳を握り締める。
「それに、反乱という大罪を犯したように嵌めた相手がいるということよね。たとえお姉さまに何事もなかったとしても、そいつのせいで処刑になっていたんじゃないかしら。そう考えると、悪いのはそいつとフォーサイス侯爵じゃないの」
考えれば考えるほど、本当に悪いのはアイリスではない。
直接的な死の原因になったレオナルドにほぼ罪がなかったように、アイリスも主体的な罪はないだろう。
もし、復讐心に燃える頃にこのことを知っていたら、そうは思えず、自責の念に潰されていたかもしれない。
だが今は、レオナルドが思い詰めて判断を誤った姿を見ている。それを知っているからこそ、一歩引いて己の罪と向き合うことができた。
これまでの思いを振り払い、アイリスは決意をこめてレオナルドとヘイズ子爵に視線を向ける。
二人は、やや怯んだようだった。
「フォーサイス侯爵はもう亡くなっているから仕方がないとして、嵌めた相手は誰ですか?」
「……王妃とストレイス伯爵が怪しいが、確証はない。この件はすでに終わったものと処理され、闇に葬られている」
わずかな間の後、レオナルドが答える。
「どうにか暴く方法はないのですか?」
「難しいな……フォーサイス侯爵家はすでに断絶している。わざわざ掘り返すには、それなりの理由が必要だ。何か……うーむ……」
言いながら、レオナルドは考え込む。
アイリスも一緒に考えるが、はかばかしい案は浮かんでこない。
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何か一つでも罪を言及できれば、そこから繋げていけるかもしれないが、それが思いつかない。
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アイリスもレオナルドも、はっとしてヘイズ子爵に向き直る。
「ただ、そのためにはアイリスが一人で戦わねばならない場面がある。誰の助けもなく、人々の悪意にさらされながら、それでも立ち続けることができるか?」
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それを聞いて怯んだのは、レオナルドだった。
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そして、ヘイズ子爵に向き直った。
「詳しいお話を聞かせてください。それで本当に真実を暴くことができるというのなら、私は戦います」
しっかりとヘイズ子爵を見据えながら、アイリスは決意を述べる。
ヘイズ子爵は無言のまま、ただ頷いた。
「アイリス……」
「大丈夫です。私は社交界の悪女として名高い女でしてよ。人々の悪意なんて、慣れ親しんだものですわ」
艶然と微笑みながら、アイリスは軽やかな声を上げる。
レオナルドは心配そうに眉間に皺を刻んでいたが、それ以上は何も言うことがなかった。
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