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何もしなかった悪役令嬢と、真実の愛で結ばれた二人の断罪劇
01.婚約破棄
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「オリオール公爵令嬢コランティーヌ、あなたとの婚約を破棄する。そして、私はバリエ男爵令嬢ポレットと結婚する」
貴族学院の卒業パーティーにて、王太子ファブリスの声が響く。
周囲はざわつきながら、嘲りや蔑みの眼差しを王太子とその横に立つ男爵令嬢に向ける。
でっぷりと太り、顔には吹き出物も目立つ王太子ファブリスと、愛らしい顔立ちとはいえるが平凡の域を抜けず、貴族の中では末端といえる身分の男爵令嬢ポレットは、むしろ似合いではないかと嘲笑う囁きすら交わされる。
「まあ、わたくしにどのような落ち度がございますの? まさか、その男爵令嬢に嫌がらせをしたなどとおっしゃいませんわよね?」
婚約破棄を言い渡された公爵令嬢コランティーヌは、挑戦的に口を開く。
まるで人形が命を吹き込まれたかのような、繊細で優雅な美貌の持ち主であるコランティーヌに向けられるのは、人々の同情の眼差しだ。
中には、もともとあの王太子とは釣り合っていなかったと囁く者すらいる。
「いいや、あなたの友人たちが嫌がらせをしていたことはあったが、あなたが何もしていないことは知っている。そう、あなたは何もしていない」
ファブリスが淡々と答えると、コランティーヌは口元を扇で覆いながらため息を漏らす。
「それならば、わたくしには何の落ち度もございませんわね? そもそも、オリオール公爵家の後ろ盾を失って、あなたが王太子でいられると思っておいでですの?」
「……私は、真実の愛を見つけたのだ。ポレットだけが私の光だ。あなたとは、できることなら二度と会いたくない」
傲慢に言い放つコランティーヌの言葉に答えることなく、ファブリスは言い捨てると、ポレットの手を引いてパーティー会場を出て行く。
嘲る声や蔑みの眼差しを浴びながら、ポレットはついにこうなってしまったかと、こっそりため息を吐き出した。
まるでいつか読んだ、身分の低いヒロインにうつつを抜かす王子が悪役令嬢を断罪する物語だ。
だが、その物語では結局、断罪されるのは王子とヒロインだった。
その断罪される側の立場になっているポレットは、虚ろな目をこれからの未来に向けていた。
貴族学院の卒業パーティーにて、王太子ファブリスの声が響く。
周囲はざわつきながら、嘲りや蔑みの眼差しを王太子とその横に立つ男爵令嬢に向ける。
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「まあ、わたくしにどのような落ち度がございますの? まさか、その男爵令嬢に嫌がらせをしたなどとおっしゃいませんわよね?」
婚約破棄を言い渡された公爵令嬢コランティーヌは、挑戦的に口を開く。
まるで人形が命を吹き込まれたかのような、繊細で優雅な美貌の持ち主であるコランティーヌに向けられるのは、人々の同情の眼差しだ。
中には、もともとあの王太子とは釣り合っていなかったと囁く者すらいる。
「いいや、あなたの友人たちが嫌がらせをしていたことはあったが、あなたが何もしていないことは知っている。そう、あなたは何もしていない」
ファブリスが淡々と答えると、コランティーヌは口元を扇で覆いながらため息を漏らす。
「それならば、わたくしには何の落ち度もございませんわね? そもそも、オリオール公爵家の後ろ盾を失って、あなたが王太子でいられると思っておいでですの?」
「……私は、真実の愛を見つけたのだ。ポレットだけが私の光だ。あなたとは、できることなら二度と会いたくない」
傲慢に言い放つコランティーヌの言葉に答えることなく、ファブリスは言い捨てると、ポレットの手を引いてパーティー会場を出て行く。
嘲る声や蔑みの眼差しを浴びながら、ポレットはついにこうなってしまったかと、こっそりため息を吐き出した。
まるでいつか読んだ、身分の低いヒロインにうつつを抜かす王子が悪役令嬢を断罪する物語だ。
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その断罪される側の立場になっているポレットは、虚ろな目をこれからの未来に向けていた。
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