『黄金迷宮』〜自分のことを落ちこぼれだと思っていたら属性2個持ちでなんとかなりました〜

Disc-64

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『序』〜属性診断編〜

No.2 《静かなる日々、》

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教会からの帰り道。

「ジェニーとシズク。すげーよ。…お前たち。」

「!…そんなこと…ないよ。」
落胆する俺を見て曖昧ななんとも言えないような顔をする。

「気をおとすことは無いのです!ヨーくん。」
シズクは何かを考えついたらしい。

「私さっきから思っていたのですが。実は湿度って強いのでは?」
……また変なことを言い出した。

「相手の湿度や空間の湿度が奪えるのであれば、工夫すればとても強い属性になります!」
シズクはまだ、俺たちの地力の違いに気づいてない。

「あのなぁシズク。ジェニーの属性【動物】は自分の容姿と能力をさまざまな動物に変身し、それを行使する能力。」
「そして、シズクの属性【大地】は大陸の地図を変えてしまうくらいのチート能力。」

「ねぇ、ヨハネス。なんでそんなに詳しいの?ちょっとひいたわ。」
「いや、引くなよ!冒険者志望だろ!…ゲフンゲフン、また気を乱してしまった。」

「申告された後何かの間違いじゃ無いか~って聞いてきてついでに教えてもらった。」
我ながらこんなことを話すのは情けないな。

「ついでに俺は1m湿1050。」
はぁ……いうつもりはなかったんだけどな。

「……………」
2人が黙り込む。

すかさず俺は
「でもせっかくお前らがいい属性申告されたんだし、明日3人でマルテシティニー連邦に遊びに行かないか。」
「属性持ってるとか持ってないとか。強いだとか弱いだとか。そんなの関係なしに、…行かない?」
※マルテシティニー連邦とはオルデニエ評議国と海を挟んで隣国の仲のいい国

「えぇ喜んで行くわ。」

「い、いいんですか?喜んで行かせてもらいますー!」

黙っちゃって別れると面倒だからな。
笑顔になってくれてよかった。

「じゃあ明日、日の出から4時間後(10時前後)に港集合な。」

それぞれ家路に帰った。
~~家-自室~~

「2人はこれから冒険者になるんだろうなぁ。20年間一緒にいて。何回も何回も喧嘩して。それでも心から嫌ってなくて。
結局仲直りしたくなって。そんでいざ冒険者になる!って3人で意気込んで。結果がこれか。」

「まぁたしかにそんな気はしたさ。したけどさッ…。やっぱ悔しいかなぁ…。」
涙が自然と出てくる自分に嫌気がさしてくる

この世界の成人年齢は国によって異なるが。オルデニエ評議国含む普通国家は25歳だ。20歳で申告を受けて、5年の間で
何の仕事につくのか。はたまた冒険者になって魔物を討伐するのかを決める。


…決めた
「明日伝えよう。2人は冒険者を目指してくれって。」

「そんで俺は島で1人、畑仕事もいいじゃないか。2人が返って来たら料理でもてなす。」

………つまんないッ!    何故だ。何故つまんないのだ。
「でも俺の事情なんてのは後回しだ。」  

明日……………伝えよう。


その日は何故だか。覚悟が決まったのか。いつもより早く眠れた。一方その頃、ジェニーとシズクは。

帰り道にて
「提案があります。ジェニー。」
いつもふわふわした顔のシズクの雰囲気が違う。

「それね。私も言いたいことがあったの。」
ジェニーの顔は元々キリッとした顔だが、今は普段より一割増しキリッとしてる。

「私はヨーくん抜きで2人で冒険者になるのは反対です。」

「私も。それを今ずっと考えていたわ。」

2人の意見の元を辿れば教会からだ。ヨハネスの申告が終わった時、あの瞬間から冒険者への今日には薄くなっていた。

そう、もともと2人が興味があったのはだった。

「だから明日伝えようと思います。ヨーくんに」

「そうね。…ヨハネスに」

『冒険者にはならない。一緒に居ようって。』



~~翌日~~

「…ヨハネス。遅いわね。」
むすっとしている。

「ほんとですね。」
こちらもむすっと頬袋をパンパンに空気を詰めている。

「どうしよう来た途端にちょっと気まずくて隠れちゃったんよなー。」
 そろそろ限界が来そうだ、心の(倒置法)

……うーん。よし決めた。勢いよく出てって謝ろう。
(【位置移動•内合】)
「ん?ちょっとまってぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ」

考える暇もくれないまま俺はとんでもないスピードでジェニーの前まで移動していた。

「え!?ヨハネス!?」
びっくりしているようだ。

「ぷぇ!?ヨパネプパンぶぇぷか!?(え!?ヨハネスさんですか!?)」
こちらは頬袋がたるみ切って戻っていない。あとヨーくんっての直せんじゃねぇか。

頭が痛い
というかさっきのはなんだ?急に頭に浮かんできたが。頭が痛くて思い出せない。
それより伝えなければ。

「あの…さ。おれおm」
「私たちね。昨日考えt」
「シュッパーーーーーーーーつ」

船長の大きな声で何もかも遮られてしまって、言えなかった。
不思議と笑いが込み上げてきて。3人はずっと笑っていた。まるで元の関係の3人に戻ったみたいだった。
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