『黄金迷宮』〜自分のことを落ちこぼれだと思っていたら属性2個持ちでなんとかなりました〜

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【ワーカー】〜冒険編〜

No,5《進化の子》【序】

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実技講習が始まる。


講師は引き続きでっかい先生だ。
「まず。講習内容についてだが、5人1組の班になってもらう。そこで1組1人、上級ワーカーについてもらう。」

「それからそのワーカーに戦い方を教わった後に5人で協力し、上級ワーカーと模擬戦をしてもらう。」

なるほど、ワーカーになれば他人との協力は当たり前。そしてワーカーの中でも上位の存在に相手をしてもらうことで
自身の発達に繋げ、技の考え方を学ぶわけだ。

「それでは移動だ。メンバーは講習用カードに書いてある5人だから、仲良くやれよ。」


俺は同じ班の奴らと合流した。
「どうも、【拳属性】のマルコスだ。前衛希望。よろしく。」
1番最初に喋り出したのはいかにも武闘派といった感じの大男。190cmはあるだろうか。

「私も前衛希望のリリカ•アーベロイドだ。【隠密属性】。」
2人目はこちらもザ•ニンジャァって感じのクールな女

「お初にお目にかかります。エルフのクラウジスです。【草原属性】です。よろしくお願いします。」
3人目のこいつはかなり珍しいエルフの男だ。それ以外はフツー。あとめっちゃイケメン。

次俺か。
「どうも【湿度•天体属性】のヨハネスだ。よろしく。」

「おいおい天体属性だって!?2属性持ちだと普通は両方没属性のはずなんだが。」大男が言う。

(それ俺も思った。)

「2属性持ちは聞いたことがありますが、目にかけるのは初めてです。」
流石のエルフも驚いているようだ。

ん?まだ一人喋ってないな…。

「は、はじめまして!リコ•ナガサワです。【ネット検索属性】です。」
ネット検索?聞いたことのない単語だ…。しかもこの女、苗字が独特。少なくともここらの民族ではないようだ。
しかも綺麗な黒髪と目の色。あと両目にかけてる黒いものはなんだ?民族の風習だろうか。

「よし…全員揃ったな。」
いきなり後ろに人影が現れた。
「はい♡驚かなくていいわよん♡私は海人間(ママン)のハインリヒ♡よろしくねん♡」
お…

お……お…お、

オカマだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

「じゃあ最初に詠唱して魔法を使ってみましょうか♡」

いくら前衛でも属性がある限り詠唱すれば魔法が使える。

「一人目は~♡そこのムキムキなア♡ナ♡タ♡」


「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
いくら屈強な男でもオカマには敵わない。

「じゃ詠唱開始して♡何も心配せずに私に打って来てね♡」
さすが上位ワーカー。貫禄がある。
「んじゃあ遠慮なく。」
『憎き憤怒の紅蓮の牛よ 怒りに震えるあなたから 炎を少し 分けてくれ』
   【憤怒の雄牛ファラリス

マルコスの右手に炎が現れる 次第にその炎は腕を取り巻く巨大な拳になった。
マルコスはハインリヒに飛びかかり、巨大な拳で大きな一撃を加えた。

しかしハインリヒはびくともせずニコニコ笑っている。
「とてもいい属性ね♡強くなりそうだわ♡ 次♡」

「はい。」ニンジャァが構えをする。

『敬愛なる大君へ 神器が一つを使いて。我が体を隠したまえ。』
八咫鏡ヤタノカガミ
突如リリカの姿が消える。そして一瞬にしてハインリヒの後ろに現れた。

「技自体はいいけど~もっと殺気を消さないとね♡」
このオカマ、やっぱ気付いてたか。
リリカが後ろに回ったことに気付き、無詠唱で強制力を持った何かの術を起動。
リリカの意思でなく、ハインリヒが姿を強制的に写し出したという事か。

「つ~ぎ♡」

「クラウジスです。お願いします。」

「あら♡礼儀正しいのね♡」

〈エルフの心情〉
(エルフという種族は男でも腕っ節が細い。これは種族値が違うからだ。腕力ではあの大男のような腕力もあのニンジャのようなスピードもない…ここでは私が目立つには魔法の威力でやるしかない。)
ならば!!!

「ん?♡」

『あかしけ やなげ 紺色の鳥。よく挟みねはみ 気を伸ばせ。

 なのと ひさかす 紺色の鳥よ。 とかきや まかき 名をほふれ。

こうたる なとる 紺色の鳥よ。 ひくいよ 醜い せきをとれ

煌々こうごうたる紅々こうごう、荒野にみし御遣おつかいの、目に病みし暗視あんしたる矢見やみしけるを何となる

口角は降下し功過も砕きたる所業こそ何たるや。

は言乃葉に非ず。は奇怪なり。カシコミ カシコミ敬い祟り。

御気性おきしょう穏やかなるを願いけれ

紅星こうせいたる星眼せいがんたる目障めざわりたる瘴気しょうきたる気楽きらくたる薬毒やくどくたる毒畜どくちくたる畜生ちくしょうたる生神せいじんたる

我らが御主おんしゅの御遣いや

今こそ来たらん我が農業の民へ

今こそ来たらん我が世の常闇へ

今こそ来たらん我が檻の赫灼あかしゃく

紺色の鳥よ。今こそ発ちぬ。』



〈ヨハネスに戻る〉

何だあの詠唱は!長すぎる!
しかも只ならぬ禍々しさを感じる魔法だ。出来ればもう二度と見たくない。

「へぇ~♡それやっちゃうんだ。」


死なない紺色の鳥●●●-●●●●】!!!!!!

闘技場全体が渦巻く赤黒い圧倒的曇天に包まれる
その渦を巻いている中心から1匹の不死鳥が出てきた

「ホォォォォォォォオオオォオ」
美しくもあり醜くもある気味の悪い鳴き声が聞こえてくる

「はぁ~あ。詠唱したくねぇな~」
ハインリヒはもうオカマ口調じゃなかった。

『腰に悪意をたずさえて 私のために来てほしい 冷めない夢を見せてくれ』
【ハーメルンの悪夢】

詠唱が終わった途端瞬きと同時に不死鳥を含む赤黒い圧倒的曇天が消えた。

「そこのクラウジスとやらが放った魔法は【草原属性】最大の魔法だ。最大の魔法ってのは大事にとっておくもんだ。無闇に使うんじゃねぇ。」

ついさっきまでのハインリヒとは全く雰囲気から違った。

「ちなみにさっきのは俺の魔法【ハーメルンの悪夢】で悪夢として処理をした。」

「だから心配はいらないのよ~ん♡」
俺はもうこのテンションについて行けない。

「あとは【湿度•天体属性】のヨハネスと【ネット検索属性】?のリコ•ナガサワかしら♡」

次は俺の番か…。


「さぁ…ちゃっちゃとやっちゃいましょう♡」

「あぁ。そのつもりだ。」
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