自分で書いた未完のラノベ小説の世界に転生したけどどうしたらいいですか?

黒野 ヒカリ

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No.11

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 初めて図書館に行ってから一ヶ月が経った。

 俺の魔力操作は順調で、今では半日は体の中で魔力を循環させる事が出来るようになった。

 こんな短期間でここまで出来るようになったラグーのポテンシャルには驚かされるばかりで、『本当にモブキャラか?』と思ってしまう。

 「ラグーこれ運んでくれー!」

 「はい!」

 元気よく返事をした俺は、五十キロの砂袋×五個をひょいっと持ち上げると言われた場所へと運ぶ。

 魔力操作が出来るようになった俺は体の中を循環する魔力のせいなのか、身体能力が爆発的に上がった。

 たぶんこれが身体強化だと思う。

 魔力操作の副産物を生かした俺は現場で大活躍をして今月から月給も金貨二枚に上がってウハウハだ。

 砂袋を下ろすと近くにいたマウロさんに声を掛けられた。

 「ラグー頑張ってるね」

 「はい、お陰さまで今月から月給も上がりました」

 「すごいじゃないか!まぁラグーはそれだけ活躍してるからね」

 「ありがとうございます。仕事を紹介してくれたマウロさんのお陰です」

 俺が笑顔でお礼を言うとマウロさんは「よしてくれよ」と言って俺の頭をポンっとした。

 「ところでラグー、約束は今日だよね?」

 (はて?約束?マウロさんと何か約束をしただろうか)

 全く心辺りの無い俺は失礼だと思いつつマウロさんに聞いた。

 「僕マウロさんと何か約束してましたか?」

 「ほら、ハリス様と約束してたんだろ?」

 「あーーーーー!」 

 ハリス様との約束をすっかり忘れていた俺は大声を上げた。

 「マウロさん思い出させてくれてありがとうございます」

 「いいさ、早く行かないとハリス様を待たせる事になるよ」

 「はい、本当にありがとうございます。でわ!」

 俺は慌てて親方の元へと向かい事情を話した。

 親方は少し苦い表情をしたけど、ハリス様の名前を出すと「早く行け」と言われた。

 俺が貴族との約束をすっぽかしたとなると行かせなかった親方も責任問題に問われるので当然の反応だろう。

 俺は急いで図書館へと向かった。

 途中、自分の汚れた格好に気がついて慌てて自宅に戻り、体を拭いて服を着替えた。

◇◇◇

 図書館に着いた俺はカウンターで銀貨一枚を払い中に入った。

 こんな時間から銀貨一枚を払って図書館を利用する人がいないのか、受付の人は驚いた顔をしていた。

 俺もこの時間から銀貨一枚を払うのはどうかと思うけど、ハリス様にこの時間にと言われているのでしょうがない……

 中に入ると窓から射し込む夕日が真ん中にあるテーブルをオレンジ色に染めていた。

 辺りを見回してまだハリス様が来ていないのを見て息を吐く。

 (間に合って良かった)

 安堵する俺は椅子に座ってハリス様が来るのを待つ。 

 「待ったかな?」

 少しして後ろから聞こえた声に立ち上がり振り向く。

 「いえ、今来たところですよハリス様。こんな格好で申し訳ありません」

 俺はスカートを持って優雅にお辞儀をした。

 俺は今マリアお姉ちゃんのワンピースを着ている。

 家に帰った俺は服を着替えようとしたが、貴族と合うには相応しくない服しか無かった。

 困った俺は晩ごはんの準備をしていたマリアお姉ちゃんに相談すると、「これを着ていけば大丈夫」と言われて渡されたのがフリルの着いた白いワンピースだったのだ。

 さすがにこれはと思ったが、強引なマリアお姉ちゃんに無理矢理ワンピースを着せられて現在に至る。時間も無かったし……

 (これじゃ変態だよなぁ)

 遠くを見つめる俺の予想に反してハリス様の顔は赤くなっていく。

 「いや、似合うよ」

 ハリス様は俺の手を取り外へと連れ出し、俺を馬車に乗せた。

 馬車が進む中、俺を見ないハリス様の顔は相変わらず赤い。

 ときたま漏らすハリス様の「こほん」の咳払いにビクンとするも、俺は馬車の窓から見える景色に目を向ける。

 (これ、ヤバイ予感がするんだけど……)

 俺の予感が当たりませんようにと心の中でうっすらとする月に祈った。
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