自分で書いた未完のラノベ小説の世界に転生したけどどうしたらいいですか?

黒野 ヒカリ

文字の大きさ
12 / 53

No.12

しおりを挟む


 兵士の立つ門を抜け、デリー公爵の屋敷に着くとまず、建物の大きさに驚いた。

 日本で見たホテルほどの大きさで、入り口の扉の前には黒服を着た執事が立っている。

 「ハリス様、お帰りなさいませ」

 「うむ」

 執事とハリス様が言葉を交わすと執事は扉を開き、俺はまた驚く。

 「「「「お帰りなさいませ、ハリス様」」」」

 メイド達が並び、全員が声を揃えてハリス様に向かって同時に頭を下げた。

 どこぞの軍隊のように規律の整った動作に圧倒されるも、俺はハリス様に手を引かれ中に入って行く。

 ハリス様がメイド達の前にくると一人のメイドに視線を向けた。

 「メイ、頼む」

 「畏まりました、ハリス様」

 メイと呼ばれたメイドはハリス様に頭を下げると俺の前まできて俺に向けて頭を下げる。

 「メイと申します、本日は私がご案内致しますのでよろしくお願いいたします。ラグー様」

 「はぇ?えっと、よろしくお願いします?」

 平民の分際で、デリー公爵のメイドに様付けで名前を呼ばれる状況に立ち竦む。

 「メイ、大切なお客様だ、くれぐれも丁重に」

 「存じておりますハリス様」

 メイさんはハリス様に頭を下げると俺の前に来て、

 「それではラグー様、此方へ」

 ヒラリと手を返し向こうを指すと俺に笑顔を見せた。

 (これは付いてこいって事なのか?)

 俺は平民だ。

 貴族の屋敷にいるのだから家主のハリス様からは何も言われていないので勝手に動いていいのかがわからずその場で固まってしまう。

 「どうした?何かあったのか?」

 身動きしない俺に不思議そうにするハリス様

 「いえ、ハリス様から何も言われてないので勝手に動いていいものかと思っておりまして……」

 「なるほど、メイに付いて行ってほしい。メイが全てやってくれるし、わからない事はメイに聞けばいい」

 「わかりました」

 俺が返事をするとハリス様は笑顔を浮かべ、もう一度メイさんに「頼む」と言うと何処かへ行ってしまった。

 「それではラグー様、行きましょう」

 「はい」

 俺はメイさんの後に付いて行き、案内された場所はお風呂場だった。

 大きな鑑がある脱衣場の奥に見える白い石を敷き詰めた浴槽に俺のテンションが上がる。

 小説の世界に転生してお風呂は初めてだから仕方ない。

 この世界では水は貴重で、ビールの方が安い。

 平民の家にはお風呂どころか生活用水は共同の井戸から汲んできて大きな壺や樽に貯めて使う。

 トイレだけは魔道具になっていて排泄物は一旦便器の下の穴に落ちてある程度時間が経つといつの間にか消えている。
 自分で書いた小説の世界だけど、どうゆう仕組みになっているかわからない

 「それではラグー様、失礼します」

 メイさんは俺の肩に手を置くと、手際よく肩に掛かる部分を下げワンピースを脱がせた。

 スルリと落ちるワンピースからペッタンコの胸と、中心が少しモコッとしたパンツが露になる。

 メイさんの視線が俺のパンツの中心に釘つけになると驚きの表情を浮かべた。

 (終わった……)

 俺は本気で思った。

 メイさんは腰まで伸びた黒髪でキリッと猫目の色気漂う美人だ。

 そんなメイさんにパンツごしとは言え俺の大切な物を見られてしまった。

 そんな事よりも問題はハリス様だ。

 俺はラノベ主人公の様に鈍感ではない。
 ハリス様を見てれば流石に気づく。

 ハリス様は俺の事が気になっていると思う。

 俺は美男子であり、美小女だ。

 ハリス様がどちらの俺が気になっているかわからないが、色々あったとは言えワンピース姿の俺を見て顔を赤らめていたので多分美少女の方だろう。

 男の俺がワンピースを着てハリス様と会っている時点で詰みだ。騙してる事になる。
 
 慌ててたのと、驚きで俺は男だとさっさと言わなかった俺が悪いが、こんなにもあっさりバレてしまって悪い方向に転がる未来しか見えない俺は冷や汗が止まらない。

 俺のパンツの中心部を見つめて動かないメイさんを見て俺の体はガタガタと震え出す。

 (マリアお姉ちゃん、先立つ弟を許して下さい)

 俺はマリアお姉ちゃんに心の中で謝ると覚悟を決めた。

 「さぁ、どうにでもしてくれ!」

 俺は目を瞑り叫んだ。

 「わかりました」

 そう言ったメイさんの動きは早かった。

 俺のパンツに手を掛けると一気に下ろした。

 俺の手を引き、浴室に連れて行くとお湯を掛け、石鹸を泡立て、手早く俺の頭と体、そしてぞうさんを洗うとお湯を掛けてあっという間にお風呂終了である。

 余りの早さに俺のぞうさんが反応する間も無かったほどだった。

 俺はメイさんに手を引かれ脱衣場に来ると体を拭かれ、ワンピースの肌着を着せられた。

 「なんか、すいません……」

 「いえ、私の方こそすいませんでした。ハリス様がその手の方だとは知らなかったもので……」

 俺とメイさんは静かな脱衣場で水が流れていく音を無言で聞いていた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...