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No.12
しおりを挟む兵士の立つ門を抜け、デリー公爵の屋敷に着くとまず、建物の大きさに驚いた。
日本で見たホテルほどの大きさで、入り口の扉の前には黒服を着た執事が立っている。
「ハリス様、お帰りなさいませ」
「うむ」
執事とハリス様が言葉を交わすと執事は扉を開き、俺はまた驚く。
「「「「お帰りなさいませ、ハリス様」」」」
メイド達が並び、全員が声を揃えてハリス様に向かって同時に頭を下げた。
どこぞの軍隊のように規律の整った動作に圧倒されるも、俺はハリス様に手を引かれ中に入って行く。
ハリス様がメイド達の前にくると一人のメイドに視線を向けた。
「メイ、頼む」
「畏まりました、ハリス様」
メイと呼ばれたメイドはハリス様に頭を下げると俺の前まできて俺に向けて頭を下げる。
「メイと申します、本日は私がご案内致しますのでよろしくお願いいたします。ラグー様」
「はぇ?えっと、よろしくお願いします?」
平民の分際で、デリー公爵のメイドに様付けで名前を呼ばれる状況に立ち竦む。
「メイ、大切なお客様だ、くれぐれも丁重に」
「存じておりますハリス様」
メイさんはハリス様に頭を下げると俺の前に来て、
「それではラグー様、此方へ」
ヒラリと手を返し向こうを指すと俺に笑顔を見せた。
(これは付いてこいって事なのか?)
俺は平民だ。
貴族の屋敷にいるのだから家主のハリス様からは何も言われていないので勝手に動いていいのかがわからずその場で固まってしまう。
「どうした?何かあったのか?」
身動きしない俺に不思議そうにするハリス様
「いえ、ハリス様から何も言われてないので勝手に動いていいものかと思っておりまして……」
「なるほど、メイに付いて行ってほしい。メイが全てやってくれるし、わからない事はメイに聞けばいい」
「わかりました」
俺が返事をするとハリス様は笑顔を浮かべ、もう一度メイさんに「頼む」と言うと何処かへ行ってしまった。
「それではラグー様、行きましょう」
「はい」
俺はメイさんの後に付いて行き、案内された場所はお風呂場だった。
大きな鑑がある脱衣場の奥に見える白い石を敷き詰めた浴槽に俺のテンションが上がる。
小説の世界に転生してお風呂は初めてだから仕方ない。
この世界では水は貴重で、ビールの方が安い。
平民の家にはお風呂どころか生活用水は共同の井戸から汲んできて大きな壺や樽に貯めて使う。
トイレだけは魔道具になっていて排泄物は一旦便器の下の穴に落ちてある程度時間が経つといつの間にか消えている。
自分で書いた小説の世界だけど、どうゆう仕組みになっているかわからない
「それではラグー様、失礼します」
メイさんは俺の肩に手を置くと、手際よく肩に掛かる部分を下げワンピースを脱がせた。
スルリと落ちるワンピースからペッタンコの胸と、中心が少しモコッとしたパンツが露になる。
メイさんの視線が俺のパンツの中心に釘つけになると驚きの表情を浮かべた。
(終わった……)
俺は本気で思った。
メイさんは腰まで伸びた黒髪でキリッと猫目の色気漂う美人だ。
そんなメイさんにパンツごしとは言え俺の大切な物を見られてしまった。
そんな事よりも問題はハリス様だ。
俺はラノベ主人公の様に鈍感ではない。
ハリス様を見てれば流石に気づく。
ハリス様は俺の事が気になっていると思う。
俺は美男子であり、美小女だ。
ハリス様がどちらの俺が気になっているかわからないが、色々あったとは言えワンピース姿の俺を見て顔を赤らめていたので多分美少女の方だろう。
男の俺がワンピースを着てハリス様と会っている時点で詰みだ。騙してる事になる。
慌ててたのと、驚きで俺は男だとさっさと言わなかった俺が悪いが、こんなにもあっさりバレてしまって悪い方向に転がる未来しか見えない俺は冷や汗が止まらない。
俺のパンツの中心部を見つめて動かないメイさんを見て俺の体はガタガタと震え出す。
(マリアお姉ちゃん、先立つ弟を許して下さい)
俺はマリアお姉ちゃんに心の中で謝ると覚悟を決めた。
「さぁ、どうにでもしてくれ!」
俺は目を瞑り叫んだ。
「わかりました」
そう言ったメイさんの動きは早かった。
俺のパンツに手を掛けると一気に下ろした。
俺の手を引き、浴室に連れて行くとお湯を掛け、石鹸を泡立て、手早く俺の頭と体、そしてぞうさんを洗うとお湯を掛けてあっという間にお風呂終了である。
余りの早さに俺のぞうさんが反応する間も無かったほどだった。
俺はメイさんに手を引かれ脱衣場に来ると体を拭かれ、ワンピースの肌着を着せられた。
「なんか、すいません……」
「いえ、私の方こそすいませんでした。ハリス様がその手の方だとは知らなかったもので……」
俺とメイさんは静かな脱衣場で水が流れていく音を無言で聞いていた。
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