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No.43
しおりを挟む今日はミラベル学園入学発表の日なのだが、俺のテンションは低い。
日の上る前にメイさんに起こされ、メイさんの着せ替え人形になっている。
試験の時にあまりいい服を着てなくてバーゲンに平民とバカにされた事が原因なのだが、試験が終わってすぐにパリントン公爵に報告に行ったパメラ様と、報告を聞いたパリントン公爵は二人して怒りこの日に合わせ沢山の貴族服を俺のために揃えた。
メイさん曰く、「デリー公爵家に関わる問題だ!」とパリントン公爵は言っていたそうだ。
そう言われると俺は成すがまま流されて行くしか無いのである。
「ラグー様素敵です」
うっとりと俺を見つめるメイさんは体をくねらせる。
「メイさん、僕はこれでいいと思います」
半分投げやりでそう言った俺は、夜明け前から 何度も着替えさせらて入学発表に行く前から疲れて果ててしまったのだ。
「ラグー様、まだ服はあるのです。私が納得するまでは終わりませんよ」
確かにまだ着ていない服の山がある。
これを全部着ないと行けないと思うとタメ息が出る。
気が滅入っていると「ラグー行くよー」とパメラ様が部屋に入ってきた。
「ラグー準備はまだなの?」
沢山の脱ぎ捨てられた服と、まだ着ていない服を見てパメラ様は呆れた表情をした。
「なかなかメイさんのOKが出ないんです」
すると、しゃがんでいたメイさんは立ちあがて胸を張った。
「ラグー様、OKが出せないのではありません。私は私の大好きなラグー様の最高のお姿を皆さんに見せたいだけなのです」
「メイ、あなたは何を言ってるの?ラグーは私の婚約者なのよ、大好きなってどうゆう事よ!」
パメラ様はメイさん噛み付いた。
「パメラ様、それは分かっております。しかし私のこの気持ちを抑える事ができないのです。私はパメラ様からラグー様を奪う積もりはありませんし、愛人になるつもりもありません。ただラグー様との子と、パメラ様がお相手できない時に私がお相手できればと考えているのです」
優雅にお辞儀をしたメイさんは堂々と雇い主であるパメラ様に言い放った。
「メイ、あなたそれを愛人と言うのよ!」
「はて?そうでしょうか?」
首を傾げるメイさんを見てパメラ様は呆れたように「もういいわ」と言ってタメ息を吐いた。何を言ってもムダだと悟ったのだろう。
もうずっとメイさんはこんな感じなので俺は馴れた。
「ほらラグーもうその服でいいから行くよ、早くしないと人が沢山来て合格を確認するのに時間かかるわよ」
ミラベル学園の合格発表は公舎前にある大きな案内板に受験番号が張り出される。
そして上位十人は番号では無く、名前が張り出される。
「そうですねパメラ様、早く行きましょう。いいですねメイさん?」
「仕方ありません。今まで着た服の中ではそれが一番ラグー様の魅力が出ているのでいいでしょう……残念です」
何が残念なのか分からないが落ち込むメイさんを部屋に残し、俺とパメラ様はミラベル学園へと向かった。
ミラベル学園に着くと沢山の人が溢れていた。
「ほらラグーが遅いからこんなに人がいるじゃない!」
機嫌が悪いパメラ様はミラベル学園に向かう馬車の中でも俺をつねったり足を踏んだりしてきた。俺は何もしていない。
悪いのはメイさんであって俺ではない。
でも可愛いパメラ様に八つ当たりされるのも悪くない。
機嫌が悪くなるのも焼きもちだから可愛く思える。
「すいません、でも怒ったパメラ様も可愛いですよ」
「ババカ、ラグー!いきなり何言ってるのよ!」
声は怒鳴っているが顔を真っ赤にして恥ずかしそうにするパメラ様は可愛い。
でもパメラ様はちょっとチロ過ぎではないか?
俺が可愛いとか好きとか言うとすぐに照れてしまう。
まぁ可愛いパメラ様を見れるのだからそれでもいいかなと思う。
「ラグーほら行くよ!」
俺はパメラ様に手を引かれ案内板に近付いて行った。
「えーっと202番、202番と……」
呟きながら俺は自分の番号を探す。
「あった」
俺は2位で番号ではなく、ラグーと名前で載っていた。
ちゃんと上位十人に入れた俺は「よし」と呟き、小さくガッツポーズをした。
「ラグー2位なんて凄いじゃない」
自分の事のように喜ぶパメラ様は俺の両手を握り飛び跳ねた。
「ありがとうございます。パメラ様も4位合格おめでとうございます」
「ラグーには負けちゃったけどね」
そう言って舌を出すパメラ様は本当に可愛い。
田辺ヒロシだった頃には味わえなかった幸福感に幸せな気持ちになった。
「今夜はパーティねラグー」
「そうですね、パメラ様が合格なのでパリントン公爵様もお喜びになると思いますよ」
「何言ってるのよ、ラグーの合格もお父様は喜ぶに決まってるでしょ!全く……」
俺は苦笑いを浮かべ「そう言って頂けると嬉しいです」と返し、パメラ様と学園の門に向かって歩き出した。
「おい平民!その服はどうした?盗んだのか?」
俺達が門を出た所で笑いながらそう言ったのはバーゲンだった。
「本当に貴方は失礼ですね。バーゲン様」
「おぉお前、俺の名前を覚えてくれているなんて嬉しいね~」
嫌らしい視線をパメラ様に向けるバーゲンは本当にムカつくヤツだ。
言葉も態度も全てが鼻に付く。
「本当に失礼です。私はお前ではありません、パメラと言う名前があります」
パメラ様は怒りを露に言葉を発した。
「パメラと言う名か覚えた。それではパメラ着いてこい、これからパーティだ!パメラも合格したのだろ?」
「合格はしましたが、貴方に着いて行くつもりはありません!」
きっぱりと言いきったパメラ様を他所に体を震わせ笑いを堪えるバーゲン
「はっはっはっ!本当にパメラは最高だな、まぁいい、今日の所は引いてやろう。しかし学園では覚悟しろよ、必ず俺の女にしてやる!」
バーゲンはそう言って笑いながらさって行った。
「本当になんなのよアイツ!気持ち悪いしムカつくしクソ野郎だわ!」
「パメラ様、言葉使いが……」
「そんな事どうでもいいのよ!」
怒りが収まらないパメラは殺気を放ち、バーゲンが去って行った場所を見ている。
「パメラ様、落ち着いて下さい。何があっても僕が必ずパメラ様を守りますから」
「うっ、ラグーちょっと突然そうゆう事言うのやめてよ……」
胸を押さえしゃがみこむパメラ様
「少しは落ち着きましたか?」
「怒りは少し収まったけど胸がドキドキして……」
「しょうがないですね」
俺はパメラ様に近付くとお姫様抱っこをした。
「ちょっ、ラララグー降ろしてよ!」
「嫌です!馬車までこれで行きます。僕のパメラ様は立てないようなので」
「なっ!?……ラグー反則だよ……」
パメラ様は呟くと俺の腕に顔を埋めた。
俺はそんなパメラ様を可愛いなぁと思いながら馬車に向かった。
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