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公園で三者会議が始まった件
しおりを挟む公園では三者会議が始まろうとしている。
私は付き添いだけど空気が重い。
ベンチに並んで腰かける杏と宮田さんの前には興奮している二人に正座を命令された染谷君が下を向いて正座をしている。
険悪な雰囲気にいてもたってもいられなくなった私は座っていたベンチを立ち上がり、近くにある自動販売機まで行って缶コーヒーを買って杏と宮田さんの二人に手渡した。
(あっ、染谷君の買ってくるの忘れたけどまっいっか)
「と、とりあえずさ、飲んで、落ち着いて」
「ありがとう美織」
「ありがとうございます」
受け取った缶コーヒーを飲み始める二人に私は少しホッとした。
(このまま少し落ち着いてくれればいいけど…)
私はタメ息を吐いた。
◇◇◇
缶コーヒーを飲み、少し落ち着いた私は滝川さんに質問をする。
「滝川さんは、賢くんといつから付き合っているんですか?」
少し考えた素振りをみせた滝川さんは「三日前?」と答えた。
「三日前ですか……」
そう言って黙る私に滝川さんも質問してきた。
「宮田さんはいつから付き合ってるの?」
この質問には私は焦る。
「えっと、付き合ったのは、えっと、付き合ってるというか、えっと、あの…」
慌てる私を見た北澤さんが爆弾を落としてきた。
「まさか!付き合ってない…とか?」
北澤さんに言われビクンっと体が震えた私は目が泳ぐのがわかった。
「あははは、そっか~宮田さんは付き合ってないのかぁ~」
「……」
何も言わない私にさらに話しかける北澤さん。
「宮田さんは、染谷君の事好きなの?」
「……はい」
「そっかぁ~」
「でも、滝川さんには勝てそうもありません…」
「大丈夫だと思うよ!」
「ムリですよ」
「大丈夫、大丈夫、杏は偽装彼氏だし!」
「えっ!?偽装彼氏ってどうゆう事ですか??」
「あっ!!しまった!!」
偽装彼氏の事をバラしてしまった北澤さんは油の切れた機械の様に顔を滝川さんに向けると、頬を膨らます滝川さんに笑顔を見せて舌を出した。
そして、
「ごめん、やっちゃった」
最後の言葉を残し、北澤さんは公園から逃げ出した。
◇◇◇
逃げ出した美織の後ろ姿を見ている私は、秘密の話はニ度と美織に大切な話をしないと誓った。
そして美織が逃げ出したあと、私と宮田さんはしばらく互いの事情を話し合っていつの間にか互いの事をフレンドリーに呼び合うほど仲良くなっていた。
「ねぇ、ねぇ、紗枝ちゃんは賢のどこが好きなの?」
「えーと、好きとかじゃ表現できなくてもっとこう運命みたいな感じかな?」
「運命みたいな感じ?よくわからない…」
「えっと、私と賢くんは同じ病院で同じ日に生まれたんだ」
「そうなの?凄いね!」
「でしょ?小学校から高校ニ年までずっと同じクラスだったんだよ?運命だと思わない?三年になってクラスは別になったんだけどね…」
「三年は別々でもそれまで一緒だったんだよね?なら運命だよ運命!あっ…、なんかごめんね…」
「どうしたの?急に謝って?」
「ほら、私が賢と偽装彼氏しちゃた事……」
「ああ、その事ね、杏ちゃんにも事情があったんだし別に賢くんの事好きじゃないんだよね?」
「えーと…」
「えっ!?好きなの?」
紗枝ちゃんに好きなの?と聞かれてなぜか心に引っ掛かった私は首を大きく横に振った。
それを見た紗枝ちゃんは安心した顔で「良かった」と言った。
女子トークを繰り広げた私と紗枝ちゃんは日が落ちて暗くなるまで話しを続けた。
二人で歩く帰り道でLIMEを交換して別れ道まで楽しくお喋りを楽しんだ。
自宅につくと美織が逃げた事を思い出した私は、苦情のLIMEを送った。
◇◇◇
すっかり暗くなった公園には完全に存在を忘れ去られて正座をしたままの僕がいる。
(僕は何をしているのだろう……)
そんな事を思う僕は星を眺めている……
正座をしながら……
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