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お勉強会の件
しおりを挟む僕と、滝川さん、紗枝の三人は一緒にお昼を過ごしている。
たまに、北澤さんもいるが今日はいない。
僕が美女達に囲まれてお弁当を食べる姿はニ週間も続き、日常となっているので時たま向けられる呪いの視線もあるが周りの生徒達も慣れ始め、最近ではあまり気にしている様子はない。
公園での修羅場のあと三人でお昼を過ごし、滝川さんは偽装彼氏として僕の側にいる事になった。
そして紗枝は思わぬ事で僕に想いが伝わってしまい僕からの答は聞いていないがいつもと変わらずに過ごしている。
滝川さんと紗枝はお互いに納得しているのか今ではとても仲がいい。
初めて滝川さんと一緒にお昼を過ごした時から滝川さんは手作り弁当用意してくれている。
僕は滝川さんが作ったお弁当を食べ終わり、滝川さんと紗枝は僕を挟んで女子トークをしている。
これもいつもの光景であるが、毎回僕を挟んでの女子トークは止めてほしい。
「紗枝は期末テストは大丈夫なの?」
僕は二人の話に割り込む形で紗枝に質問した。
「微妙かな……」
「そっか…、あっ!なら一緒に勉強しようよ!」
質問した僕より先に滝川さんが答えた。
「いいけど、杏ちゃんは大丈夫なの?」
「私?私は大丈夫だよ!何てったって毎回学年二位を確保してるんだよ!」
得意気な滝川さんは人差し指を出して横に振る。
「二位って凄いね」
「だけど、どうしても一位になれないんだよね…」
「あっ…、そっか…」
何かを察した紗枝は話の途中でだんまりしてしまう。
「紗枝ちゃんなに?途中で止めたら気になるよ~」
「えーっと、杏ちゃん一位が誰か知らないの?」
「一位?えーと誰だっけ?う~ん、なんか知らない人だったような…」
「あはは、そっか」
苦笑いをしている紗枝に首をかしげる滝川さんは顔の知らない人の名前は覚えないと言っていた。
興味のある人以外の顔と名前を覚える価値はないんだと……
「う~ん、思い出せない…そうだ!どこで勉強会する?」
結局思い出せない名前を考える事をやめた滝川さんは勉強会をする場所をどこでするか聞くと紗枝が答えた。
「なら賢くんの家でしょうよ!」
紗枝の答えに僕は飲んでいたお茶を吹き出してしまう。
「賢、汚いよ~」
「賢くん、少し、はねた…」
「ご、ごめんなさい、急に紗枝が変な事言うから…」
「いつもテスト前は賢くんの家で一緒に勉強してるでしょ?」
「いつも密室で二人で……」
滝川さんゴニョゴニョしてよく聞こえないんですけど……
◇◇◇
紗枝ちゃんと賢はテスト前はいつも二人で勉強会をしているみたい。
若い男女が密室で二人きりなんて間違いがおきないのか?
賢の事は好きではない……と思うけど少し気になる。
「け、賢ダメなの?」
「えっと、ダメじゃないんだけど…」
「もーハッキリしないね!」
「はい…」
口ごもるり返事をする賢を見るとまた私はゾクゾクとしてきたけど我慢しなきゃ!
「はいっ、て事はOKね!」
「えっ!?」
「放課後は賢の家で勉強会に決て~い!」
強引に話を進めた私はゾクゾクするのを少しは抑えられたかな?
◇◇◇
放課後───
北澤さんも滝川さん誘ったが、用事があるからとさっさと帰ってしまったので僕、滝川さん、紗枝の三人で僕の家に向かった。
途中、滝川さんと紗枝がコンビニで買い込んだお菓子の量を見て驚いた。
「こんなに食べたら太──痛っ!」
足を踏みながら睨みをきかせる滝川さんに僕は最後まで言う事ができなかった。
「太るよ」は禁句だったみたいだ。
女子について少し勉強になったよ、うん。
家に着くと、僕は二人をリビングに案内して珈琲の用意をしにキッチンへと向かった。
その間に滝川さんと紗枝は買ってきたお菓子を広げ二人で盛り上がっていた。
「紗枝ちゃん、見事にチョコばかりだよね…」
「杏ちゃん、チョコは美味しいよ」
「それはわかるんだけど、板チョコばかりしかないのは、ちょっと……」
「そう?ミルク、ビター、ホワイト、クランチ、種類はあるけど?」
「いや…、そうゆう問題じゃ…」
「珈琲持ってきたよ、って、テーブルの上、お菓子で埋まってるし!」
「賢くんの好きなホワイトもあるから大丈夫だよ?」
「そんな事より、勉強できないんだけど……」
タメ息をつく僕がとりあえず珈琲を飲んだら勉強しようと提案して勉強会が始まったのは三十分後になってしまうのだった。
◇◇◇
「賢くん、これどうやるの?」
「んっ?これね、これはこうやって、こうやると」
「なるほど、あっ、できた」
勉強会が始まってから紗枝ちゃんがわからない事を聞いて賢がそれに答えるやり取りをしているのを私は見ている。
全く出番のない私は意外にも賢が勉強ができるのに驚いた。
「賢って、勉強できるんだね」
「うん、勉強はあまり好きじゃないんだけど、運動が苦手だからせめて勉強ぐらいはね」
「…、そっか……」
賢は運動が苦手みたい。
でもおかしなテンションになった時に私に抱きついてきた賢のスピードはすごく早かったと思ったんだけど気のせいかな?
「賢って成績どれくらいなの?」
何気ない質問をした私は名前を覚えていなかった一位がこの瞬間、誰かを知る事になる……
◇◇◇
「えっと一応、一位をキープしてるよ」
「えっ!?」
「あっちゃ~」
驚く杏ちゃんに対して、それ言ったらダメなやつって顔をしている私はせっかく杏ちゃんに言わないようにしたのに賢くんはすぐにぶち壊してしまった。
私の苦労はなんだったんだろう……
◇◇◇
「い、一位なの?」
「うん、一応…」
賢からの驚き発言に私は張り出されたテストの順位表を思い返してみる────
(えっと、いつも私の上にいる人……、う~ん、確か……染、染谷、染谷賢一!)
「あーー!」
思い出した私は大声が出てしまった。
いやいや、賢が一位なの!
一緒に勉強してる場合じゃない。帰らなきゃ!
「ご、ごめん、用事を思い出したから帰るね」
私は立ち上がり賢の家を出た。
◇◇◇
「えっーと…」
戸惑いを見せる賢くんは少し空気を読んでほしいと思う。
「も~、賢くん!ダメだよー」
付き合いは短いけど杏ちゃんが負けず嫌いなのを私は知っている。
私は何気なく一位と言ってしまった賢くんを見ながら頭をかかえる。
思った事をすぐに言ってしまう所は賢くんのいいところだと思うけど……
◇◇◇
(まさか、賢が一位だったなんて!負けてられない!)
急いで帰る私はいつもより気合いを入れて勉強に取り組んだ。
結果───
張り出された成績表を見て二位だったのに落ち込んだ。
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