染谷君は知らない滝川さんはもっと知らない交差するキュンの行方とその発信源を

黒野 ヒカリ

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秋葉原に行った件

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 期末テストも終わり、いよいよ夏休みが始まる。

 授業も午前中で終了となり、僕はオタク仲間の田中宏と斉藤浩二の三人で秋葉原に向かった。 

 ちなみに今日の僕はくろぶちメガネを外してコンタクトにしている。グッズを選ぶときにずれてくるメガネはうっとおしくて気が散るので秋葉に行く時はいつもコンタクトである。そして僕の今日のテンション高い。
 
 近々あるイベント『夏のアニメフェス』は僕らオタクにとっての大イベントなので気合いの入り方が違うのだ。

 秋葉原駅を降りるとテンションの高い僕達は会話そっちのけで急いでアニメ専門店『アニメ館』に向かった。

 アニメグッズが並べられる店内を見ると僕はさらにテンションが上がる。

 「賢一氏、素晴らしい景色ですなぁ~」

 「絶景、絶景、宏くん、浩二くん素晴らしい一日になりそうな予感でいっぱいであります!」

 「宏殿、賢一殿、二人とも、我に続け~!」

 止まらぬ僕達はそれぞれ目的の物を選んでいく。

 僕は欲しい物を次々に選んでカゴに入れていると、何かを見ている北澤さんに遭遇した。

 「おやおや、こちらに見えるは美織姫ではありませんか?」

 オタクモードの今の僕はテンションがおかしく、口調もおかしいと思うけど気にする事なく話しかけると北澤さんが振り向く。

 「んっ?、あっ、染谷君だ~!」

 「こんな所で会うとは、奇遇ですなぁ~」

 僕のオタクっぷりを気にする様子のない北澤さん。

 「染谷君、何してるの?」

 「何してるもなにも、アニメフェスの準備ですよぉ!」

 持っているカゴを地面に置いて敬礼する僕にはさすがに苦笑いをする北澤さんだけど僕は気にしない。
 ここアニメ館はオタクにとっての聖地、オタクを控え、遠慮するなどできるはずもない。

 「あはは、なるほど」

 「美織姫は何してるのです?」

 「私も染谷君と一緒だよ!」

 「な、なんと!!」

 (僕と一緒だという事は北澤さんもアニメフェスの為に来ているのか!)
 
 北澤さんもオタクだと知った僕は興奮を抑えきれない。
 
 興奮した僕は北澤さんの手を取ると、繋いだ手を引き、会話をしながらお互いが欲しい物を探し回った。

 欲しい物を選び終わった僕と北澤さんは、同じく欲しい物を選び終わった浩と浩二に合流する。

 「け、け、け、賢一氏て、て、手を、手を~」

 「である、である、こ、こ、恋人?恋人??」

 北澤さんと手を繋いで登場した僕に驚く二人だけど新たな同志(オタク同志)を見つけた僕のテンションはMAXで全く気にならない。
 全く気にしていない僕を見る宏と浩二が「いつものヤツが出ております」と言っているけど『いつもヤツ』ってなんだろう?

 その後、北澤さんとずっと手を繋いでカップルの様に秋葉原の町を歩いた。

 『賢一氏を誘うのはもうやめよう』と話し合う宏と浩二の声は僕には聞こえていなかった。

──────

 皆と別れて家に帰り、我にかえった僕は「なんて事をしてしまったんだ!」と叫んだ。

そして、へこんだ。
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