染谷君は知らない滝川さんはもっと知らない交差するキュンの行方とその発信源を

黒野 ヒカリ

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夏祭りに行った件①

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 夏休みとなった僕は自宅でアニメフェスの準備をしていた。

 「あゆたん応援用の準備は完璧!感無量ですよ、あゆたん」

 僕の大好きな声優のあゆたんこと、篠田愛弓しのだあゆみがアニメフェスにスペシャルゲストとしてやってくる。
 気合いの入っている僕は準備が終わり、あゆたんに合える喜びと興奮で異常なテンションになっていた。

 「そうそう、このTシャツをアニメフェスの始まりまで着るのである!」

 アニメフェス開始日まで二日もあるが興奮を抑えきれない僕は、オリジナルで作ったあゆたんのアップ顔がプリントされたTシャツを着た。

 「あゆたん、君に合えるまで共にすごそう…」

 正直第三者の目から見れば今の僕は気持ち悪いと思う。だけど僕のこの気持ちは抑えきれない。

 僕はオリジナルのあゆたんTシャツを着てラノベ小説を読んでいると、LIMEの着信音がなった。

 LIMEを確認すると、滝川さんからの『夏祭り行かない?』のお誘いのLIMEだった。

 すぐに僕は返信する。

 『ムリ!果てしなくムリ!』

 返信するとスマホをベットの上に投げてラノベ小説の続きを読み始めたのだが、鳴りやまないLIMEの着信音にイライラとして電源を落とした。

◇◇◇
 
「アイツ信じられない!」

 夏祭りへのお誘いLIMEを送ったのにいっこうに返事が帰って来なかった私は美織と紗枝ちゃんに連絡をとり、強行手段にでた。

 私と、美織、紗枝ちゃんの三人で賢の家に向かった。

 家に着くと私はインターフォンを鳴らした。
 
 なんの応答もないインターフォンにプチンとする私は笑顔でインターフォンを連打する。

 「あははははーーーー!」

 笑いながらインターフォンを連打する私に美織と紗枝ちゃんが恐怖の表情を浮かべているけど怒れる私は止まらない。 

 すると、キーっと音をたててドアが半分開くと賢が顔を出し、私達を見回し、私と目が合うと賢は静かに扉を閉めた。

 そして、鍵をかけた。

◇◇◇

 ドアを開けた僕は皆が見えたので再びドアを閉めた。
 返信しないでムシしてるんだから行かないと言うメッセージと思わなかったのか?
 
 (ちょっとイライラしてきたんだけど……)

 「ちょっと賢!あんたなんなのよ!ムリのあと返信ないし、電話したら電源切れてるし、顔見たら鍵まで閉めるってどうなってんのよ!こらー開けろー!」

 ガンガンと怒り任せに激しく扉を叩く音と滝川さんの大声に僕はたまらずドア越しに声をあげる。

 「うるさい!あ~うるさい!こっちは聖地に行くのに精神統一で忙しいんだ!帰れ~!」

 夏フェス間近の為にテンションの高い僕の口調は荒いけどいきなり来て騒がれたら誰でも怒ると思う。

 「聖地とかワケわかんない事言ってないで、さっさと出てこんかい!」

 怒りで我を忘れている滝川さんをなだめる北澤さんと紗枝の声が聞こえる。

 「杏とりあえず落ち着いて、ね、」

 「こんなもん落ち着いてられるかい!」

 「杏ちゃん、ちょっと落ち着こうか?私が説得するから」

 滝川さんにそんな事を言う紗枝の声が聞こえた。

◇◇◇
 
 私は杏ちゃんと場所を変わり、ドアの前に立った。

 「ねぇ、賢くん、ちょっと失礼じゃないかな?」

 「……」

 賢くんは何も言わない

 「いくらアニメフェスがあるからって始まるまでまだ2日もあるんだよ?」

 「……」

 「聞いてるの?」

 「……」

 「なるほど、無視するんだ~、ならあの事皆に言っちゃおっかなぁ~」

 その瞬間に扉が開き、青い顔をして出てきた賢くんは私達に向かって土下座をした。

 「すいませんでしたー」

 「わかればよろしい」 

 賢くんの土下座を見た私は笑みを浮かべた。

◇◇◇
 
 急に土下座をした染谷君を見て、杏と二人で驚いている。
 私は土下座をするほどの秘密を握っている紗枝ちゃんが少し怖いと思った。

 でも、後で紗枝ちゃんに『あの事』についてこっそり聞こうと思う。

◇◇◇
 
 夏祭りに向かう道中、私と美織、紗枝ちゃんの三人は賢の異常なテンションに悩まされている。

 「あゆたんはね、最高なんだよ!あの声と演技力、全てがパーフェクト!たまんないよね。わかる?わかんないよなぁ」

 あゆたん、あゆたんと煩い賢は、自分で作ったというあゆたんTシャツを来ていてあゆたんの話は終りをみせない。
 私達は浴衣を着ているからあゆたんよりもそれを誉めてほしいけど賢はあゆたん以外の話をする気配もない。

 「賢、怖いんだけど…」

 私が呟くと美織が話にのってくれた。

 「確かに…それにしてもあのTシャツはなに?」

 「あゆたんの事になると賢くん異常になるの…」

 「紗枝ちゃんずっとあれに付き合ってきたんだね…」

 私はこの異常な賢にずっと付き合ってきた紗枝ちゃんの肩を叩いた。

 「あのTシャツは本当にやめてほしい……」

 ずっとそんな事をぼやく美織はあのTシャツが本当に嫌なんだろう。

 私も笑顔のあゆたんがでかでかとプリントされているTシャツを着ている賢のセンスには首を傾げてしまった。
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