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転校生とお昼ご飯を食べた件①
しおりを挟む中庭の木の下にやってきた僕達はお弁当を食べる準備を始めた。
いつもと違うのは、有坂くんが一緒にいる事で周りにいる女子達のひそひそ話が聞こえている事だ。
男子の呪いのこもった視線は慣れたらけど女子の視線は慣れない。
僕はタメ息を吐いて帰りたいと思った。
◇◇◇
私達がここに着くとベンチが埋まっていたので私はいつものように地面に敷くシートをお弁当の入った袋から取りだそうとした時、有坂くんが私にハンカチを手渡す。
「あ、ありがとう」
なぜハンカチを渡してきたのかわからない私はとりあえずお礼を言ったけど、ハンカチを持ったまま立っていた。
このハンカチはなに?
私にどうしろと……
◇◇◇
すでにベンチは埋まっていて木の下で準備をしている彼女はそのまま地べたに座るのだろうか?
それだと彼女が汚れてしまうので、俺は彼女にハンカチを差し出した。
彼女は俺の差し出したハンカチを手にして固まっているけど……
「それを敷いて座ったら汚れないから」
「はぁ…」
固まる彼女に俺がそう言うと彼女はそんな返事をした。
◇◇◇
シートを出しそびれた私はハンカチを持ったまま作ってきた弁当を取り出して地べたに並べた。
弁当を並べ終えた私はとりあえずハンカチを敷くとそれに座った。
「そうだ!自己紹介がまだったね、有坂尚輝です。皆の名前を聞いてもいいかな?」
有坂くんの言葉にそれぞれが自己紹介をした後に有坂くんは私の作ったお弁当を見た。
「凄い、これ手作り?」
「そうだけど?」
並べられた私の作った弁当を見た有坂くん。
「食べてもいい?」
そんな事を言う有坂くんよりも先に賢に食べてほしんと思うけど首を縦に振った。
有坂くんはほうれん草のお浸しに箸を伸ばし口に運ぶと「ウマイ!」と叫んだ。
それから有坂くんは私の作ったおかずを食べながら私に話しかける。
「滝川さんは料理じょうずだね」
「ありがとう……」
そんな事は有坂くんよりも賢に言ってほしいんだけど
◇◇◇
杏と有坂くんのやり取りを私はじっと見ていた。
有坂くんは自己紹介の後、私達を見る事もなくずっと杏に話しかけている。
杏は嫌そうにしてるけど有坂くんには頑張ってほしい……
◇◇◇
お弁当も食べ終わり、私は「ちょっと離れるね」と皆に声をかけて立ち上がった。
そのままトイレに行き、出てくると美織ちゃんがいて、私に話しかけてきた。
「ねぇ紗枝ちゃん、どう思う?」
「えっと、なにが?」
いきなりそんな事を言われても何の事だかわからない私は首を傾げた。
「ごめん、ごめん杏の事だよ」
「杏ちゃんの事?何かあったの?」
「ほら、有坂くん…」
「有坂くん?」
「そうそう、有坂くん」
「有坂くんが何かあったの?」
突然有坂くんと言われても私はちんぷんかんぷんだよ……
「ご飯食べてる時、ずっと杏ばかりと喋って私達には話しかけてもこなかったでしょ?」
「確かに…」
美織ちゃんに言われて気がついたけどお弁当を食べている時、確かに有坂くんは私達に視線を向ける事も喋りかけることもなかった。
「でね、有坂くんは絶対、杏の事が好きだと思うの!」
「はぁ…」
「あの二人お似合いじゃない?」
「確かに二人とも美男美女だけど…」
「だよね、だよね」
美織ちゃんが何が言いたいのかわからない私が返答に悩む中、美織ちゃんは話を続ける。
「でね、二人をくっつけようと思うんだ」
「二人をくっつける?」
「そう!だから紗枝ちゃんも協力して!」
「そんな事言われてもお互いの気持ちもあるし協力っていっても何するかわからないし…」
私の曖昧な返事にハッとした表情を見せる美織ちゃん
「ごめん、今のは忘れて」
と言ってどこかに行ってしまった。
残された私は、美織ちゃんの言ってた事を少し考えて、美織ちゃんの気持ちはわかるなぁと思った。
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