染谷君は知らない滝川さんはもっと知らない交差するキュンの行方とその発信源を

黒野 ヒカリ

文字の大きさ
31 / 54

カラオケに行った件③

しおりを挟む

 「賢君、ありがとう…」

 泣き止んだ私は染谷君から離れて隣に座っていた。

 泣き止んではいるけどあんなに泣いたんだから私の目は腫れているだろう。

 「もう、大丈夫?」

 染谷君の言葉に小さく頷いた私は、鞄から手鏡を取り出して自分の顔を見て驚いた。

 想像していたよりも赤い目と腫れぼったい瞼に慌ててしまう。 

 「こんな顔、二人に見せれないよ…」

 「大丈夫だ、よ?」

 曖昧な返事をする染谷君に私は「もー、染谷君!」と言って頬を膨らませた。

 目頭をハンカチで抑える私は染谷君にお願いをする。

 「ねぇ染谷君、お願いがあるんだけど…」

 「僕にできる事なら…」

 染谷君の言葉に私は唾を飲み込み少し間をおいた、そして

 「あのね、私の事も杏みたいに呼んでほしい…の」



◇◇◇


 「例えば?」

 質問した僕に北澤さんがまた話す。

 「染谷君、たまに人が変わるでしょ?」

 あの高揚感がわき出ている時を北澤さんは気がついていたんだ……少し恥ずかしい。

 「美織って呼んでほしいんだ…」

 上目使いの北澤さんはとても可愛くて断れない

 「み、美織…」

 「なぁに?

 まだ腫れぼったい瞼ではあるが、頬を赤らめて僕の事を賢と呼び満面の笑みを浮かべる北澤さんは守ってあげたいと思わせる程の破壊力だった。
 恥ずかしくなった僕は目を反らしてしまった。

 「あー!賢、目を反らしたー!恥ずかしくなっちゃった?」

 「えっーと」

 僕は今、どんな表情をしているのだろう?たぶん凄く赤くなっていると思う。本当に恥ずかしくて北澤さんの顔をちゃんと見れないから……

 僕は滝川さんに悪いと思いつつも北澤さんとの会話を楽しんでいた。
その様子は端からみたら付き合いたてのカップルみたいだと思う。


◇◇◇
 

 俺が部屋に戻ると染谷君と北澤さんは仲良さそうに話をしていた。
 「ほほぉ」と息を漏らす俺に気がついた北澤さんが俺に話かけた。

 「杏は大丈夫?」

 心配そうな顔をしている北澤さんに「とりあえずは…」と返すと「杏ちゃんを送る」と言って部屋を出たが、いい忘れていた事を思い出した。

 「支払いは済ませとくから後一時間ぐらいはゆっくりして行きなよ」

 俺ウインクをしてまた部屋を出て行った。

(このまま二人が結ばれる事を願うよ)

 部屋の外の入り口で座り込む杏ちゃんに肩を貸すと、立ち上がった杏ちゃんに声をかける。

 「大丈夫かい?」

 小さく頷いた杏ちゃんに「行こっか」と声をかけ、俺と杏ちゃんはカラオケ店を後にした。


◇◇◇


 部屋に残された僕は滝川さんの事が心配ですぐに追いかけたかった。
 でも、北澤さんの事もほってはおけない。
 僕の中でぐるぐると色々な思いが回る。


◇◇◇


 「置いてかれちゃったね…」

 賢にそう言った私も杏の事は気になる。けど賢と二人っきりでいれるこの時間を大切にしたかった。

 自分の気持ちを抑える事ができない私は賢の手を握りしめた…



◇◇◇

 小刻みに震える北澤さんの手を握り返す僕はこのままでは本当にダメだと思う。

 僕ははっきりとしないといけない

 北澤さんに対しても滝川さんに対しても失礼だ…

 そして、紗枝に対しても……

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

妹の仇 兄の復讐

MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。 僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。 その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

処理中です...