染谷君は知らない滝川さんはもっと知らない交差するキュンの行方とその発信源を

黒野 ヒカリ

文字の大きさ
50 / 54

学園祭二日目が始まった件⑥

しおりを挟む



 「やっと見つけたよ滝川さん!」

 校舎裏や教室、大きな木の下と散々探し回りやっと滝川さんを見つけた場所は夏祭りの会場になっていた神社だった。

 神社へと続く階段に座って顔を覆っている滝川さんは僕の声に体を震わせた。

 「賢、来ないで!」

 叫ぶ滝川さんに近づこうとしていた足が止まる。

 「どうして、どうして滝川さんの側に行ったらダメなの?」

 「来ないでって言ってるでしょ!」 

 滝川さんは怒りを露にするばかりだけど僕はそれでも声を掛け近づいて行く。 

 「滝川さん、大丈夫?」

 「あっちへ行ってよ!」

 一歩、

 「滝川さん、辛かったね」

 「うるさい!」

 また一歩、

 「滝川さん、僕がついてるから……」

 「お願い……だから……」

 そして滝川さんの側にたどり着くと僕は隣に座った。

 「うっ…ぐっ…、うっ…ぐっ」

 泣いている滝川さんは本当に辛そうで苦しそうにしていた。

 こうゆう時にはどうすればいいのか分からない。
 でも妹は頭を撫でると泣き止む。だから僕は滝川さんの頭を優しく撫でた。

 その瞬間滝川さんはビクンとしたが、落ち着いたように感じた。

 「どうして、どうしてなのよ……」

 どうしてって言われても僕は滝川さんの事が好きだから側にいたいと思うし、泣いている姿を見ると僕も同じように辛くなる。

 だから素直に自分の気持ちを滝川さんに伝えようと思う。

 「僕は滝川さんが辛そうにしてたら僕も辛くなる」

 「……」

 「滝川さんが笑っていたら僕も楽しくなる」

 「……」

 「滝川さんとずっと一緒にいたい!」

 「……うっ」

 「僕は……僕は滝川さんが好きだ!」

◇◇◇

 賢から驚きの告白を受けた私の心臓は激しくなり、爆発するんじゃないかと思うほどだった。

 賢が撫でてくれる感触が私の心を癒して行くがまだ涙は止まらない。

 賢は私の事を好きと言ってくれた。

 私も賢の事が好き。

 でも賢の事が好きなのは私だけじゃなく、美織や紗枝ちゃんも賢の事が好きだ。

 だから、賢には確認しなくちゃいけない。

 「美織と紗枝ちゃんは?」

 「僕は滝川さんが好き」

 顔を隠す私は賢のこてドキッとした。でもそれは答えになってない。

 だから、

 「答えになってないよ?」

 私は思った事をそのまま口にした。

 「えっ?」

 賢のそれには笑いそうになったけど我慢だ。

 「だから答えになって無いってば!」

 私は笑いそうになるのを堪えるように声を荒げた。

 「えっと、怒ってる?」

 コイツは本当に何に言ってるんだろう。

 検討違いな事ばかり言ってきてこれじゃ初めて会った頃と一緒じゃない。
 段々と腹が立ってきた私は立ち上がった。

 「何を言ってるのかな?賢!」

 そう言って睨む私に賢は満面の笑みを浮かべ抱きついた。

 「杏が元気になったぞーー!」

 「ちょっ、な、何してるのよ!」

 「だって大好きな杏が元気になったんだよ?抱きつかないでどうする!」

 「ちょっ、離れろ!離れて!」

 「なんで?どうしてさ!こんなに大好きなのに!」

 ヤバイヤバイどうして賢はこの状態になってるの?おかしいよ、ドキッとした私の気持ちを返してほしい。

 「本当にやめて!お願いだから!」

 「そんな怒った杏も綺麗だよ」

 場違いにうっとりとする賢の顔が気持ち悪くて私は悲鳴を上げた。

 「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 そして私の悲鳴が神社にこだました。

 賢は本当に最後までしまらない男だと思った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

妹の仇 兄の復讐

MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。 僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。 その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...