青いsquall

黒野 ヒカリ

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京ちゃんと迎えた朝

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 余り眠れなかった私は、いつもより早目に目が覚めた。

 寝息を立てる京ちゃんを横目にベッドから起き上がると台所へ向かった。
 冷蔵庫を開けると、タマゴと牛乳しか入っていなかった。 

 「買い物しとけば良かった」

 と独り言を口にして、シンクの下の引き出しを開けるとレトルトのいなむどぅちを取り出す。

 いなむどぅちは具材が沢山入った白味噌の味噌汁でとても美味しい。

 まずお米を炊き、ボールにタマゴと牛乳と調味料を入れ手早くかき混ぜる。
 コンロは一つ、フライパンを取り出し火にかけるとオムレツを作った。

 そして鍋に水を張り、レトルトのいなむどぅちを入れ火にかけると後は沸騰するのを待つだけだ。

 「おはようナミ、いい匂いがするね」

 そう言ってアクビをした口元を押さえた京ちゃん

 「おはよう京ちゃん、もうすぐ朝御飯できるから座って待ってて!」

 「ほい」と返事を返した京ちゃんはテーブルの前に座った。

 炊き上がったご飯をお茶碗によそい、いなむどぅちを器に入れ、オムレツをお皿に盛り付けて完成。
 出来上がった朝御飯をテーブルに並べると、京ちゃんが「美味しそうだね」と言ってくれた。

 京ちゃんはいなむどぅちが入った器を手に取ると口に運んだ。

 「この味噌汁美味しい」

 「でしょ~、私もいなむどぅち大好きなんだ」

 「いなむ、ど?なんて?」

 京ちゃんの辿々しい口調に私はクスリと笑った。

 「違うよ京ちゃん、いなむどぅちだよ~」

 「いなむ、どっち?もう分かんない!とにかく、このいななんとか美味しいよ」

 沖縄の言葉は内地の人には言いにくいのだろう。私は京ちゃんと会話をしながら朝食を楽しんだ。

 そして朝食を食べ終わり、片付けは京ちゃんがしてくれる事になった。

 私は京ちゃんがお皿を洗っている間にコーヒーメーカーのスイッチを入れ、カップを二つ取り出してコーヒーの出来上がりを待った。

 お皿を洗う京ちゃんの後ろ姿を見て、こんなに綺麗な奥さんだったら旦那さんは幸せだろうな、と思った。

 「どうしたのナミ、私を見つめて。これは私の事好きになっちゃったパターンかな?」

 私をからかう京ちゃんはいつもの京ちゃんに戻った感じがして嬉しかった。

 「違うよ、京ちゃんが奥さんだったら旦那さんは幸せだろうなって思ったんだよ」

 「もぉそこは冗談でも『好きになっちゃった』って言ってくれなきゃ」

 京ちゃんはそう言ってクスリと笑った。

 後片付けが終わった京ちゃんとコーヒーを飲みながら準備をして部屋を出た。

 いつもと変わらない満員電車も、京ちゃんと一緒なら景色が変わるだろう。

 「ナミ早くしないと遅刻するよー」

 「分かったー」

 私は鍵を掛け、京ちゃんと一緒に駅に向かった。
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