19 / 26
颯太と約束
しおりを挟む大学へ向かう朝、私はいつものコンビニに向かう。
店内に入ると高島さんの姿を探し、キョロキョロと辺りを見渡すと颯太くんと目が合った。
会釈をしてサンドイッチを選んでいると後ろから声を掛けられた。
「ナミちゃんごめんね、今日、高島さんいないんだ」
「いえ、大丈夫ですよ」
颯太くんとはだいぶ仲良くなった。
高島さんがいない時でも颯太くんが話しかけてくれて高島さんのいない寂しい気持ちを埋めてくれる。
私はいつものタマゴサンドを手に取り、颯太くんのいるレジに向かった。
「ナミちゃん、ちゃんと食べなきゃダメだよ」
バーコードを通したタマゴサンドを颯太くんがそう言って私に手渡した。
「それ、高島さんにもよく言われてます。ふっふっ」
颯太くんも高島さんと同じ事を言うのでなんだかおかしくなってしまった。
「そりゃそうだよ、ナミちゃん細いし、いつもタマゴサンドだから栄養片寄っちゃうよ?」
「ありがとうございます。でも私、タマゴサンドが好きなんです」
「全く……」と言って颯太くんがレジを離れると、野菜ジュースを持ってきてバーコードをレジに通した。
「ほらこれ持っていきな」
私は差し出された野菜ジュースを見て、颯太くんに視線を移した。
「えっでも……」
「いいから、気にしないで。前の弁当のお返しだから」
笑顔の颯太くんは手に持つ野菜ジュースをタマゴサンドの上に置くと後ろにいたお客さんの対応を始めた。
あれは賄いで私が用意した物ではないので、 そう言われてもはいそうですかと素直に受け取っていいものか悩んでしまう。図々しい女と思われてしまわないだろうか?
でも遠慮してると思われると颯太くんに失礼になるのか?
朝からこんな事で悩む事になるなんて思いもしなかった。
悩んだあげく、私はお客さんの対応が終わった颯太くんに近づいてお礼を言った。
「勉強頑張ってね」
親指を立てた颯太くんに頭を下げてコンビニを出た。
高島さんもそうだが、颯太くんにまで気を使われる私は病弱にでも見えるのだろうか?
「たまには違う物でも買おっかな……」
呟くと颯太くんから貰った野菜ジュースを口にした。
「ナミちゃん、ちょっと待って!」の声に振り向くと颯太くんだった。
「どうしたんですか?」
「ちょっといい忘れた事があってね」
慌てて出てきたのだろう、颯太くんは少し息を切らしていた。
「今度の休みにでも飲みに行こうよ」
笑顔の颯太くんにそう言われ、私の心拍数が跳ね上がる。
颯太くんはかっこよくて、私の事を気にかけてくれる。
そんな颯太くんに少しだけ惹かれてる私がいる。でも好きなのは高島さん。
こんな気持ちで颯太くんと飲みに行ってもいいのかと考えてしまう。
「ねぇナミちゃん、なんか難しく考えてない?僕はナミちゃんと純粋に飲みに行きたいと思っただけだよ。それに高島さんの情報もほしいでしょ?もしかして僕の事が気になったりしてるのかな?」
図星をつく颯太くんに顔が真っ赤になるのが分かった。
「そ、そんな事ないです。私は高島さんの事が好きなんですよ」
「あはは、言っちゃったね」
「あっ!」
お腹を押さえて笑う颯太くんの顔が見れない。
思わずしてしまった自分の発言に、恥ずかしくて顔を手で隠してしまった。
「本当、ナミちゃんは可愛いね」
「もぉ颯太くんやめて下さいよ」
ポケットからスマホを取り出した颯太くんとLIMEを交換した所で、
「颯太くん何してるの、お客さん待ってるよ!」の店長さんの声に「ヤベ」と呟くと、
「ナミちゃん連絡する」と言って颯太くんは店内に戻って言った。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる