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第8章 腐った夢
第1話 点と線
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まだ、日没前で人の目が気になるが
気持ちが逸ってしまっていた。
ジャックの浮気相手が住んでいるというアパートメント
”ジャポン”風にいうと”安アパート”の1階の手前から2番目の部屋
ネームプレートには何も記入されていない。
人がいる気配がないので、呼び鈴を押す必要もない。
右手小指の爪を、2・3インチほど細く伸ばして
ドアノブの鍵穴に差し込んだ。
所の黒田さんから教わったこのテクニックも様になってきた。
数秒で解錠すると、何事もなかったかのように室内に入った。
外にいるときから、微かに香るお香の匂いがした。
1Kの広さの部屋には
生活感が感じられないほど
伽藍としている。
とても女性の部屋とは思えない。
ジャックの臭いは、感じられない。
そう長くは、この部屋にはいなかったのだろうか。
何か手掛かりになるものを、探しているのだが
家具らしいものは、テーブルとイスのみ
寝具もなければ、
備え付けのクローゼットには服自体が無い。
なんだろうか。この違和感は。
この部屋に住んでいる女性とジャックは
なにをしていたのだろうか?
すこし苛立ちが募る。
椅子に腰かけて悶々としていると
部屋の隅に置いてあるゴミ箱と思われる。
四角て白い箱の中にある物に気が付いた。
それ以外は何も入っていなかったが
薄い物なので、こちらからは見えなかったようだ
「なんで、ここにあるのだろうか?」
それを手にしてあの晩のように
月の光に透かして見た。
マリアから貰った”UTIWA”だ。
あの時は足元に落ちてしまって、拾えなかったはずだ。
「いや。よく見るとあのマリアから貰ったものとは
絵柄が少し違う。たしか濃紫の花だったはずだ。」
ではこの”UTIWA”はどこから来て
誰の物なのだろうか?
ますます頭が混乱していた。
点と線が繋がらない。
仕方がない、例の店に行ってみるか。
そう思い直した時、自動車がアパートの前に
止まる音がした。
俺はすばやく、窓を開け”よく見たらブラインドも無かった”
裏庭に出た。
正式に鍵を解錠して、ふたりの男が
部屋に入ってきた。
KATAGIというジャンルに属さない者たちだった。
室内の照明を点灯させたが、さして明るくはならなかった。
その薄暗いなか男達は、そこら中をなにかを求めていじくり始めた。
しかし俺と同じように、すぐさま探す所も無くなり
ひとりの若い男が腹立ち紛れにイスを引き倒した。
「なに。イライラしてんだ。しっかり探せ。」
もう一方の男に叱られていたが、
その男も探し物は、見つからないと諦めていた。
きっとこの”UTIWA”を探しているんだな。
直感的にそう感じやはりあの晩のように
ズボンの背中にそれを隠した。
男達は諦めて部屋を出ていくようだ。
後をつけようと、男達が乗り込んだ自動車の屋根の上に
音も無く降り立ち。振り落とされないように
爪を軽く車体の屋根に刺した。
はたから見たらエンブレムのように
微動だにしない人間が屋根に乗った黒い自動車が
幹線道路を走っているのは、異様な光景であったが。
その車自体が、関わりたくはない雰囲気を醸し出していたので
たとえ赤信号で止まろうと、誰からも無視をされていた。
数十分は走ったのだろうか、郊外の静かな住宅街へ入った。
速度がゆるくなりだしたので、俺は自動車の男達に気づかれないように
白く高い塀に飛び移った。
自動車はさらに左折し、入り口に何台も監視カメラが設置されている
大きな鉄製の門がある、2階建ての鉄筋コンクリート造りの
外観が白い邸宅の駐車場へと入っていった。
扉が閉まると、少し遠くから見ていた俺は
この後の行動をどうするか決めかねていた。
気持ちが逸ってしまっていた。
ジャックの浮気相手が住んでいるというアパートメント
”ジャポン”風にいうと”安アパート”の1階の手前から2番目の部屋
ネームプレートには何も記入されていない。
人がいる気配がないので、呼び鈴を押す必要もない。
右手小指の爪を、2・3インチほど細く伸ばして
ドアノブの鍵穴に差し込んだ。
所の黒田さんから教わったこのテクニックも様になってきた。
数秒で解錠すると、何事もなかったかのように室内に入った。
外にいるときから、微かに香るお香の匂いがした。
1Kの広さの部屋には
生活感が感じられないほど
伽藍としている。
とても女性の部屋とは思えない。
ジャックの臭いは、感じられない。
そう長くは、この部屋にはいなかったのだろうか。
何か手掛かりになるものを、探しているのだが
家具らしいものは、テーブルとイスのみ
寝具もなければ、
備え付けのクローゼットには服自体が無い。
なんだろうか。この違和感は。
この部屋に住んでいる女性とジャックは
なにをしていたのだろうか?
すこし苛立ちが募る。
椅子に腰かけて悶々としていると
部屋の隅に置いてあるゴミ箱と思われる。
四角て白い箱の中にある物に気が付いた。
それ以外は何も入っていなかったが
薄い物なので、こちらからは見えなかったようだ
「なんで、ここにあるのだろうか?」
それを手にしてあの晩のように
月の光に透かして見た。
マリアから貰った”UTIWA”だ。
あの時は足元に落ちてしまって、拾えなかったはずだ。
「いや。よく見るとあのマリアから貰ったものとは
絵柄が少し違う。たしか濃紫の花だったはずだ。」
ではこの”UTIWA”はどこから来て
誰の物なのだろうか?
ますます頭が混乱していた。
点と線が繋がらない。
仕方がない、例の店に行ってみるか。
そう思い直した時、自動車がアパートの前に
止まる音がした。
俺はすばやく、窓を開け”よく見たらブラインドも無かった”
裏庭に出た。
正式に鍵を解錠して、ふたりの男が
部屋に入ってきた。
KATAGIというジャンルに属さない者たちだった。
室内の照明を点灯させたが、さして明るくはならなかった。
その薄暗いなか男達は、そこら中をなにかを求めていじくり始めた。
しかし俺と同じように、すぐさま探す所も無くなり
ひとりの若い男が腹立ち紛れにイスを引き倒した。
「なに。イライラしてんだ。しっかり探せ。」
もう一方の男に叱られていたが、
その男も探し物は、見つからないと諦めていた。
きっとこの”UTIWA”を探しているんだな。
直感的にそう感じやはりあの晩のように
ズボンの背中にそれを隠した。
男達は諦めて部屋を出ていくようだ。
後をつけようと、男達が乗り込んだ自動車の屋根の上に
音も無く降り立ち。振り落とされないように
爪を軽く車体の屋根に刺した。
はたから見たらエンブレムのように
微動だにしない人間が屋根に乗った黒い自動車が
幹線道路を走っているのは、異様な光景であったが。
その車自体が、関わりたくはない雰囲気を醸し出していたので
たとえ赤信号で止まろうと、誰からも無視をされていた。
数十分は走ったのだろうか、郊外の静かな住宅街へ入った。
速度がゆるくなりだしたので、俺は自動車の男達に気づかれないように
白く高い塀に飛び移った。
自動車はさらに左折し、入り口に何台も監視カメラが設置されている
大きな鉄製の門がある、2階建ての鉄筋コンクリート造りの
外観が白い邸宅の駐車場へと入っていった。
扉が閉まると、少し遠くから見ていた俺は
この後の行動をどうするか決めかねていた。
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