元ヤンの伝説のアイドルを吸血した1888年から来た吸血鬼には浮気調査専門興信所はちょっとつらい

k_tokyo

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第8章 腐った夢

第2話 追っかけはやめられない

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調査費用の前借って言ったら
佐々木さんに"また?"みたいな
顔で睨まれたけど更年期だからね。
しょうがないよ。

神司くんを追ってタクシーを使って浮気相手のいるアパートに着いたが
ちょっと怖そうな自動車が目の前に止まっていたので、少し離れた所で降りた。

部屋の照明が点いているので、中に誰かがいるのだと思う。
神司くんといっしょなら、乗り込んで行って説教してやるんだけど
神司くんは中にはいない様なので、ここはやめて
スナックの方に向かおう、そっちに神司くんはいると思う。


そこはいわゆる飲み屋街であった。
若い女性も入れるような居酒屋は
駅前ロータリーにしかなく
ここの奥には風俗店もあるような
女人禁制ともいえる一角であった。

でも前にひとり女性が歩いていて
コンパニオンだろうか?
例のスナックに入っていった。

神司くんいるのかなあ?
こんなときホントに機械音痴の神司くんには困る。

私の家に初めて来たときも、スマホぜんぜん使えなくて
視線でスワイプしようとしてたからね。
「もういらない」って連絡が一切つかない。

やっぱりひとりでは怖いからなあと
周りを見たら
スナックの斜め向かいに
古びて小さい焼き鳥屋があった。
入口わきの信楽焼の狸が
睨んでいるようで躊躇ったけど
他に女性がいられる場所は無く
意を決して"ふるさと"とひらがなで書かれた暖簾をくぐった。

店内はカウンター席と4人掛けのテーブルが2つあるだけで
こじんまりとしていたが、思いのほか明るく
良く清掃がゆきとどいているのか、焼鳥屋特有の油ぎった
ベトベトなところがまったく無いのが驚きであった。

店主は私の母親ぐらいの年配の女性であった。
黒髪を後ろで固く丸くしばり
コンロの熱ですこし赤くなった顔で
串にささった焼き鳥を焼いていた。

私を見て女将さんは
小さく口をOの字に開いてから
うれしそうに
「ここが空いてるよ。」と
カウンター席の自分の目の前にいた
常連さんらしきいかにもお酒大好き!
といった頭がかなり淋しくなったおじさんを
押しのけて座らせててくれた。
おじさんは一瞬不機嫌そうにしたが
私の笑顔にまんざらでもない様子で
カウンターの上を綺麗に片づけてくれた。

そのカウンター席は開いた排煙窓から
斜め向かいにある
スナック「MiMi」の出入り口が
よく見える絶好の場所であった。

女将さんは若い女性が来てくれたのが
よっぽどうれしかったのか
お通しからサービスと言って
普段メニューには無いサラダチキンや
自分が毎日飲んでいるというアセロラで酎ハイを作って
気前よく出してくれた。

女将さんも禿げたおじさんもいい人
面白い話をいっぱい知ってる。

私はある人の”追っかけ”をやっていると話した。

その人はとは思えないほど美しい人で
それと同じように心も美しい人で
でも彼にはまたとは思えないような
美麗な彼女がいる。

ほんとは私なんかが、どうこうできるわけないんだけど
彼には”いのちとこころ”を助けてもらった。
彼を”追っかける”ことが私の生きがいなんだと

だから”追っかけ”はめられないと・・・・・


それを聞いてくれた女将さんは優しく笑いながら
ある女性の話をしてくれた。
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