元ヤンの伝説のアイドルを吸血した1888年から来た吸血鬼には浮気調査専門興信所はちょっとつらい

k_tokyo

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第8章 腐った夢

第3話 働き者

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その女性は、働き者で心優しい御主人と小さな料理店を営んでいたそうだ。
御主人の努力もあって、お店は繁盛してとても幸せだった。

しかし、お店の隣から出火し火事になってしまった。
お店を守ろうとした御主人は大やけどを負ってしまい
満足に働くことが出来なくなってしまった。

自暴自棄になった御主人は酒におぼれ、挙句の果てには奥さんにも
手をあげるようになってしまった。

奥さんはそれでも日夜ご主人の看病と
お店もひとりで切り盛りしていたが
日に日ににぎわいは無くなり、潰れそうになってしまっていた。

そこに若い料理人が働いてくれるようになった。
働き者で心優しい若い料理人の努力もあって
お店は元のような繁盛店になっていました。

しかし、若い料理人は故郷の両親より
帰って来て結婚して家業を継いでくれと言われていた。

「いっしょに、来てくれませんか?」

若い料理人からそう告げられた奥さんは
彼の目を見ずに断ったそうだ。

寝たきりになってしまっていた御主人から

「あいつをいいのか?」と言われたが

奥さんは御主人の包帯を交換しながら

「何馬鹿なこと言ってんの」と笑って答えたそうだ。

その後は御主人は元の優しい人に戻っていった。
でも奥さんの賢明な介抱もむなしく
御主人はその後しばらくして亡くなってしまった。

今でもその女性は、お店をひとりで懸命に切り盛りしているそうです。
働き者で心優しかった御主人と彼のために・・・・


と話し終わると女将さんは目をごしごしとこすりながら

「あれ?今日は炭の調子が悪いね。」と言って
ガスコンロの調節をしていました。

私は温かい気持ちになって、おじさんに

「おじさんは、誰か追っかけてる人はいるの?」と
訊いてみた。

するとおじさんは何か言いかけて
赤ら顔をさらに赤くして下を向いて黙ってしまった。

時おり排煙窓から斜め向かいにある
スナックの出入り口を見ていたが。
神司くんはもちろん誰も来た形跡がない。

さっきスナックの中から酔い過ぎてしまったのか
誰かが自動車で運ばれていったぐらいだ。

そろそろ帰ろうかなと思ったけど
さすがになんの収穫も無く帰ったら
相棒として失格だよな。

とりあえず入ってみよう。

お愛想をしようとしたら
女将さんは最初代金を受け取ろうとせず
「いいのいいの。おばちゃ・・・おねえちゃんのおごり」と
 言ってくれたが、私が強引に女将さんのかっぽう着の
 ポケットにお金を入れたので
「わかった。じゃ次はその彼といっしょに来てくれるね?」と
 やっと折れてくれた。

私は笑顔で返事をすると、一応領収書を書いてもらって
また深々とお辞儀をしてから、向かいのスナックへ向かった

私が去った後のしんみりとした店内では
「そうだ。あんたもう付けダメね!」
そう女将さんに冷たく言い放たれて
おじさんは私が残したアセロラ酎ハイを噴き出していた。
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