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笑顔

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「え!」
「なんだよ」
「今!アツキ!笑った!」
「は?」
「アツキが嬉しそうに笑った!」
「そうだったか?」
そんなこと考えてなかった。前は人と関わらなかったんだから笑わない、というのが当たり前になっていたのかもしれない。
こっちにきてからは毎日が目まぐるしすぎて、余裕がなかった。
「俺は、アツキと入れるだけで幸せだけど、笑ってくれるとすごく嬉しい。」
「そうかよ」
顔が赤くなるのを自分でも感じた。前にもこんなことがあったが、気のせいだと誤魔化した。
それでも、これはもしかしたら誤魔化せないのかもしれない。



「あ、ここの店美味しいぞ!」
そう言ってレンが指さしたのはお洒落な洋菓子屋さん、みたいなところだった。店の看板もあったが、なんて書いてあるのかがわからない。
今まで会話が普通にできていたから気が付かなかったが、字がまるで別物だ。これもなんとかしないといけない問題だな。
店に入ると、美味しそうな甘い香りと共に、身の前におしゃれなお菓子たちがならんでいた。
お菓子と言ってもケーキがメインのお店らしく、ショーウィンドウにはケーキがたくさん並んでいた。
「な、美味しそうだろ?」
「ああ、早く食べてみたい。」
「そうだな、アツキは何食べる?」
「俺はあれにする。」
1番店の中にあって目立つところに置いてあったものを選んだ。おすすめってとこだろう。
「じゃあ、俺はこれにするな」
レンが選んだのは数種類の果実が上に乗っていて、見た目が華やかなケーキだった。
「これと、あ、これで」
「かしこまりました」
「アツキは座っといてー」
「悪いな、ありがとう」
「全然!」
どこに座っても大丈夫、という雰囲気だったので、適当に空いてる席に座る。
少し待つとレンが運んで来てくれた。
「ありがとう」
「いえいえー。さ、食べよう」
「そうだな」
心の中で密かにいただきますと言い、ケーキに手をつける。
「うまっ」

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