嫌われ者だった俺が転生したら愛されまくったんですが

2人だから

美味しかったケーキも食べ終わり、この後どうしようかなんて喋りながら市場をぶらぶらしていたとき。
「レンさん？」
「え、アイラさん？」
誰なんだろうか。ずいぶんと綺麗な顔をしている女の人で、名前はアイラ、というらしい。
「おひしぶりですね、いつぶりかしら？」
「そうですね、だいぶ長い間会ってなかったと思います」
「あらやだ、レンさん。そんな緊張しないでください。もう昔のことなんですし。」
「じゃあお言葉に甘えさせていただきます」
それから2人は少しの間談笑していた。アイラさんのことを初めてみた俺は何もすることもなく、2人の会話が終わるのを待っていた。
この2人はどういう関係なんだろう？会話から察するに浅い仲ではなさそうだ。
そんな2人をみているうちに心の中に黒いモヤモヤが広がっていて、2人が笑い合うたびに、モヤモヤは広がっていく。この感情はなんだろう、などと考えているうちにレンが話しかけてきた。
「ごめんな、アツキ。それじゃあアイラさん、また」
「いや、俺のことは全然…」
「アツキさん…？初めまして、アイラ・ブランです。よろしくお願いします」
「えっ、あ、こちらこそよろしくお願いします」
急にびっくりした。まさかこちらに目線が向けられるとは思ってなかった。
「それではレンさん、失礼します」
そう言って去っていった。
「じゃ、行くか、次はケーキじゃなくてお菓子にするか？」
「そうだな」
さっき心に広がっていったモヤモヤはレンがこちらを向いて笑うと共に、スーッと消えていった。
なんなんだ。これは。
「じゃあ、ちょっと街から外れたところにある店に行こう。ん？アツキ？」
俺が考え事をしている間にレンは先に進んでしまっていて、ぼーっとしていた俺は置いてけぼりを食らっていた。
「悪い、今行く」
「おう、ゆっくりでいいぞ」
そう言ってレンは慌てて走っていく俺を眩しい笑顔で見つめたいた。