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第13幕 仲間たち
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店に着いた。
流石に土曜日だから少し混み気味だが、3人なら余裕で入れそうだ。
「いらっしゃい。」
「……あら久しぶり。いつぶりかしら?」
ここのおばさんとは顔見知りで、少し話したことがあったけ。
酔っ払った学がだる絡みしてたのに、嫌な顔せず話を聞いてくれたんだ。
「お久しぶりです。年末ぶりぐらいだと思います。」
学が答えた。
去年の年末休みの時に飲んだのだ。
「3人入れますか?」
「ええもちろん……今日は何かあったの?」
3人とも喪服姿だからか、気になったみたいだ。
「友人の葬式だったんです。」
学が少し微笑みながら答えた。
あまり暗い顔だと悪いと思ったんだろう。
「辛かったわね……。」
「今日はゆっくりしていきなさい。サービスするから!店主にもそう言っとくわ」
「そんな…サービスなんてとんでもない」
学が慌てて言ったが、
「いいのよ。辛かったことも全部吐き出していきなさい。」
「ありがとうございます」
3人で頭を下げ、席に着いた。
「酒は何にしようか」
武がメニューを取った。
度数が強いのがいい。
「俺は焼酎ロックで。」
「とも!大丈夫か?25%あるぞ?」
「いつものウーハイとかじゃなくていいのか?」
2人に心配されたが、別にいい。
「ああ…。」
飲めれば消毒用のアルコールでもいいんだ。
それほど俺自身酒癖が悪いわけじゃない。
店には迷惑はかけないだろう。
「そうか………そしたら俺はとりあえずビールだな。」
武はビール派なんだな。
「俺はカシスオレンジで。」
学はいつも甘い系をよく飲む。
しかも酒はかなり弱い。
綾葉は………。
ダメだな。
嫌でも思い出してくる。
酒好きでビールや色んな酒を飲んでた。
強かったのか、弱かったのか。
思い出す度色々とごっちゃになる。
あたしは強い、あたしは弱いからと言ってることが毎回違った。
細かいところでも何が嘘だったのかわからなくなる。
「とも。酒少し飲んだら俺にも話してくれよ。」
「高校卒業後に何があったのかを。」
「ああ。」
来た酒を一気に飲んで、もう一杯同じものを頼んだ。
「おいおい…。とも。明日は休みでも無茶な飲み方はするなよ。」
「大丈夫。このぐらい…。」
実際に最近酔いにくくなってるのは事実だ。
感覚がおかしくなっているんだろう。
医者からは酒は控えるように言われているが、今はどうでもいい。
すぐにもう一杯が来て、しばらく飲んでから武に高校卒業後のことを話をした。
「そうか…。あいつは男運ねぇなって思ってたけど、まさか自分がそっち側に行くなんてな。」
「しかも学生時代の仲間によ。」
武がため息ついた。
そうだ。
付き合ったうんぬんの前に友人同士だったんだ。
それがたった一夜で何もかも壊れたんだ。
俺の目の前で。
「俺も卒業後、連絡取らずにごめんな。」
「別に大丈夫だよ。武は今何やってんの?」「ミュージシャン?」
「いや………俺にはもうそんな道はないんだ。」
俺たちの目の前で左手の指を見せてくれた。
人差し指と中指に縫い目がある。
「実はな、高校卒業前に家を出てミュージシャンになるって告げたら親父と取っ組み合いになっちまってよ…。」
確か武のお父さんは建築関係の仕事してて、跡を継がせたかったみたいだったな。
「その時食器や瓶が色々割れてよ…。」
「そして俺が倒れた先にあった瓶の大きな破片にサクってね!」
本人は笑ってたが、俺たちは黙ってた。
「親父もそれで罪悪感を感じたのか、その後は何も言わなかった。」
「俺もお前たちに何も言えなかった。」
「大学へ行くとも、実家を出たがってた綾葉、旅館を継ぐ学。」
「みんなそれぞれ道があった。」
「それで心配かけたくないと思って黙って消えたけど……。」
「余計に心配かけたみたいだし、こんなことが起こるなんてな…。」
そして
「そうだ!すっごい俺は心配したんだぞぉ。」
「なんでそれを早く言わなかったんだ!」
「友達だろう!元バンドメンバーだろうー!」
カシオレ3杯でこれだ。
やはり学は変わらない。
でも酔っ払ってても友達を思う気持ちはある。
ただ、その言葉が俺の心に大きく刺さる。
友達………元バンドメンバーか。
「悪かったって…。まぁ落ちつけよ。」
「落ち着いてられるかぁ!友達の一大事に、俺は何もしてやれなかったんだぁぁぁ。」
泣き出してしまった。
そして俺の方を向いて
「お前もだぁぁ。てょもきゃず」
え?俺?
しかも呂律も回っていない。
「おみゃえも何で辛かった時にすぎゅにうわなかったんでぁぁぁ!」
「いじゃにしょうだんしゅるまえに、まじゅはおれぇに言ってくれればぁ。」
学の言ってることは嬉しいが、もう辛うじてやっと聞き取れるぐらいだ。
「学ありがとう…。」
「でも、とりあえず今日はこの辺にしといたほうが…。」
「にゃにうぉう。おみぁえが1番のぉみたがっててゃろううう。アシャまで付き合うじょ。」
マジか?
流石にこの調子では…。
店員のおばさんの方見たが、クスっと笑っている。
大丈夫だろうか……。
結局朝の閉店4時まで飲んだが、あんまり酔うことは出来なかった。
学は泣き出す、怒りだす、そして寝るっていう感じだ。
武には次の夢があって、今スタジオのスタッフをやりながら、作曲活動して有名になるっという話を長時間聞いた。
呂律が回ってなくて、大半は聞き取れなかったが…。
弱くはないようだが、強くもないようだ。
俺は学を起こして、おばさんにお礼を言って帰った。
朝までいたのにかなりサービスしてくれた。
本当に頭が上がらないな。
俺は酔っ払い2人を連れて家に帰った。
流石に土曜日だから少し混み気味だが、3人なら余裕で入れそうだ。
「いらっしゃい。」
「……あら久しぶり。いつぶりかしら?」
ここのおばさんとは顔見知りで、少し話したことがあったけ。
酔っ払った学がだる絡みしてたのに、嫌な顔せず話を聞いてくれたんだ。
「お久しぶりです。年末ぶりぐらいだと思います。」
学が答えた。
去年の年末休みの時に飲んだのだ。
「3人入れますか?」
「ええもちろん……今日は何かあったの?」
3人とも喪服姿だからか、気になったみたいだ。
「友人の葬式だったんです。」
学が少し微笑みながら答えた。
あまり暗い顔だと悪いと思ったんだろう。
「辛かったわね……。」
「今日はゆっくりしていきなさい。サービスするから!店主にもそう言っとくわ」
「そんな…サービスなんてとんでもない」
学が慌てて言ったが、
「いいのよ。辛かったことも全部吐き出していきなさい。」
「ありがとうございます」
3人で頭を下げ、席に着いた。
「酒は何にしようか」
武がメニューを取った。
度数が強いのがいい。
「俺は焼酎ロックで。」
「とも!大丈夫か?25%あるぞ?」
「いつものウーハイとかじゃなくていいのか?」
2人に心配されたが、別にいい。
「ああ…。」
飲めれば消毒用のアルコールでもいいんだ。
それほど俺自身酒癖が悪いわけじゃない。
店には迷惑はかけないだろう。
「そうか………そしたら俺はとりあえずビールだな。」
武はビール派なんだな。
「俺はカシスオレンジで。」
学はいつも甘い系をよく飲む。
しかも酒はかなり弱い。
綾葉は………。
ダメだな。
嫌でも思い出してくる。
酒好きでビールや色んな酒を飲んでた。
強かったのか、弱かったのか。
思い出す度色々とごっちゃになる。
あたしは強い、あたしは弱いからと言ってることが毎回違った。
細かいところでも何が嘘だったのかわからなくなる。
「とも。酒少し飲んだら俺にも話してくれよ。」
「高校卒業後に何があったのかを。」
「ああ。」
来た酒を一気に飲んで、もう一杯同じものを頼んだ。
「おいおい…。とも。明日は休みでも無茶な飲み方はするなよ。」
「大丈夫。このぐらい…。」
実際に最近酔いにくくなってるのは事実だ。
感覚がおかしくなっているんだろう。
医者からは酒は控えるように言われているが、今はどうでもいい。
すぐにもう一杯が来て、しばらく飲んでから武に高校卒業後のことを話をした。
「そうか…。あいつは男運ねぇなって思ってたけど、まさか自分がそっち側に行くなんてな。」
「しかも学生時代の仲間によ。」
武がため息ついた。
そうだ。
付き合ったうんぬんの前に友人同士だったんだ。
それがたった一夜で何もかも壊れたんだ。
俺の目の前で。
「俺も卒業後、連絡取らずにごめんな。」
「別に大丈夫だよ。武は今何やってんの?」「ミュージシャン?」
「いや………俺にはもうそんな道はないんだ。」
俺たちの目の前で左手の指を見せてくれた。
人差し指と中指に縫い目がある。
「実はな、高校卒業前に家を出てミュージシャンになるって告げたら親父と取っ組み合いになっちまってよ…。」
確か武のお父さんは建築関係の仕事してて、跡を継がせたかったみたいだったな。
「その時食器や瓶が色々割れてよ…。」
「そして俺が倒れた先にあった瓶の大きな破片にサクってね!」
本人は笑ってたが、俺たちは黙ってた。
「親父もそれで罪悪感を感じたのか、その後は何も言わなかった。」
「俺もお前たちに何も言えなかった。」
「大学へ行くとも、実家を出たがってた綾葉、旅館を継ぐ学。」
「みんなそれぞれ道があった。」
「それで心配かけたくないと思って黙って消えたけど……。」
「余計に心配かけたみたいだし、こんなことが起こるなんてな…。」
そして
「そうだ!すっごい俺は心配したんだぞぉ。」
「なんでそれを早く言わなかったんだ!」
「友達だろう!元バンドメンバーだろうー!」
カシオレ3杯でこれだ。
やはり学は変わらない。
でも酔っ払ってても友達を思う気持ちはある。
ただ、その言葉が俺の心に大きく刺さる。
友達………元バンドメンバーか。
「悪かったって…。まぁ落ちつけよ。」
「落ち着いてられるかぁ!友達の一大事に、俺は何もしてやれなかったんだぁぁぁ。」
泣き出してしまった。
そして俺の方を向いて
「お前もだぁぁ。てょもきゃず」
え?俺?
しかも呂律も回っていない。
「おみゃえも何で辛かった時にすぎゅにうわなかったんでぁぁぁ!」
「いじゃにしょうだんしゅるまえに、まじゅはおれぇに言ってくれればぁ。」
学の言ってることは嬉しいが、もう辛うじてやっと聞き取れるぐらいだ。
「学ありがとう…。」
「でも、とりあえず今日はこの辺にしといたほうが…。」
「にゃにうぉう。おみぁえが1番のぉみたがっててゃろううう。アシャまで付き合うじょ。」
マジか?
流石にこの調子では…。
店員のおばさんの方見たが、クスっと笑っている。
大丈夫だろうか……。
結局朝の閉店4時まで飲んだが、あんまり酔うことは出来なかった。
学は泣き出す、怒りだす、そして寝るっていう感じだ。
武には次の夢があって、今スタジオのスタッフをやりながら、作曲活動して有名になるっという話を長時間聞いた。
呂律が回ってなくて、大半は聞き取れなかったが…。
弱くはないようだが、強くもないようだ。
俺は学を起こして、おばさんにお礼を言って帰った。
朝までいたのにかなりサービスしてくれた。
本当に頭が上がらないな。
俺は酔っ払い2人を連れて家に帰った。
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