マリーゴールド

Auguste

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第14幕 証明できないもの

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家に戻った。
「学君とずっと飲んでたの?」
母さんが朝食の準備をしながら俺に聞いた。

「うん。あと武も。」

「武君も?彼とは連絡取れないって聞いてたけど………元気だった?」 

「ああ。今も変わらず元気だったよ。」

「よかったわね!朝食は食べる?」

「大丈夫だよ。朝まで飲んでたからお腹いっぱい……。」
おつまみは食べず、酒しか飲んでなかったが…。
部屋に向かうとき沙和子に会った。

「へー、朝帰り?」
「元カノが死んだっていうのに、呑気に飲んでたんだ?」
「私は葬式終わったらすぐ帰ったのに。」
朝から嫌味な奴だ。

「いいじゃない沙和子。」
「お兄ちゃんだって辛いからこそお酒を飲んでたんでしょ。」
「少し飲み過ぎな気がするけどね……。」
母さんは微笑みながら、穏やかに鎮火させようとする。

「友和も大人なんだ。女関係も酒もこいつの好きにやればいい。」
「道を踏み外さなければな。」
父さんがきた。
「道を……」の下りが少し腹が立った。
父さんも疑っているのか?

「でもお父さん。仮に道を踏み外してなくても、女関係失敗しまくりだけど。」
「仮に」を強調されて腹も立ったが、
確かに俺は失敗ばかりだったから何も言えない。

「それが友和が選んだ道なら仕方のないことだ。」
「お前も人の心配より、自分の心配をしたらどうなんだ?」

「はいはい。わかりましたよ…。」
沙和子が不貞腐れて席に着いた。

「俺は…部屋に戻る。夕方頃には東京へ帰るよ。」

「わかったわ…友和。家出る時は声をかけて頂戴ね。」

「うん…。」
俺は部屋に戻った。
適当に俺が子供の頃よく見てた映画を流しながら、横になり目を瞑る。
寝れはしないが、何も音もしない空間だと落ち着かないのだ。
これは確か……サスペンスものだったな。
元刑事の探偵が難事件を解決するっていう…。
今じゃありきたりだ。

とある殺人事件。
その謎を探っていくんだ。
証拠を集めていき、犯人まで辿り着く。

『あなたのこと……愛してたのにー!』
俺はその言葉で目を開け、動画を止めた。
確かこれは……夫が妻のために起こした殺人事件だ。
妻からしたら夫に殺人なんてしてほしくなかったっていうシーンだったな。
愛か…。
本人が口に出していても、その言葉に嘘偽りは全くなかったなんて俺には今更そんな証明はできない。
全ては謎の中だ。
どんな凄腕の探偵を雇っても無理だろう。
死人に口なし
正にその通りだ。
違う映画にして俺は再び目を瞑る。
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