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三十一話 偽の信頼 そして、スサノオの情報
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「さあ、どうしてあんな真似をしたのか教えてもらおうか」
試合が終わったすぐ後。僕は控室に戻ったアマテラスに詰め寄った。
次の試合までは三十分もなかったが、今はアマテラスの行動が気になって休憩なんてするつもりはなかったのだ。
僕の行動に驚いたためか、目を丸くしたアマテラスだったが、すぐに「分かった」と返答すると言葉を続けた。
「まず先に言っておきたいことだが、私はこの闘技大会で優勝する気は正直言ってなかった」
「なに……?」
優勝する気がなかっただと?
それならどうしてこの闘技大会に出ているのだろうか。
アマテラスの意図が僕には分からなかった。
「そうだな。不思議に思うのも無理はない。だが、私が闘技大会で優勝する気がなかったというのは本当だ。加えて言うのなら月読命もまた私と同じく闘技大会で優勝する気はなかっただろう」
「……つまり、三貴神はみな闘技大会で優勝する気はない、ということなのか?」
アマテラス、月読命、スサノオのうち二人が闘技大会で優勝する気はなかったという。ならばスサノオも同じなのだろうと考え、僕はアマテラスに訊いた。
「いや、違うな。少なくともスサノオは闘技大会で優勝する気だろう。……だからこそ、私たちが出場していたんだがな」
どういうことだ?
いや、三貴神の一人であるスサノオが闘技大会で優勝したいと考えている。それなら、同じPTであるアマテラスと月読命が闘技大会に出て、少しでも優勝確率を上げる――スサノオと当たった時には棄権するなどして――ようにしようとしていたのだろうか。
そこまで考えて、僕は頭を振って自分の考えを否定した。なぜなら、そうと考えるにはアマテラスと月読命の取っていた行動がおかしすぎたからだ。
アマテラスは僕と戦った時、棄権した。もしかすると本当にスキルの関係上、継続して戦うのが難しかったという可能性もあるが、それでもスサノオを優勝させようとするのならば、少しでも僕の情報を引き出すために棄権などはしないだろう。
そして、月読命の方はもっとおかしかった。二回戦一試合目。その試合で月読命とスサノオは戦っていたわけだが、あの試合はどう見ても月読命に負けるつもりがあったようには見えなかった。月読命は何度もスサノオと激しい攻防を繰り広げ、その攻防はスサノオのHPを半分以上減らすほどだった。
最終的にはスサノオによって負けてしまったわけだが、それでも見えないスキルにあれだけ対応していた。つまりは見えないスキルでも対応する方法があると皆に伝えるような戦いをしていたわけだ。とてもではないが、スサノオを勝たせようとしていたとは思えない。
それらのことから考えるとアマテラスと月読命の行動は――
「スサノオを優勝させないために動いている……?」
「ああ。その通りだ」
半信半疑で口にした言葉をアマテラスに肯定された。
「どうしてそんなことをしていたんだ」
「そうだな。それを話すためには私たちのことを少し話させてもらおうか。……リアルのことを話すのは正直言ってマナー違反だが、勘弁してくれ」
僕は軽く頷くと先を促した。
「私と月読命は簡単に言ってしまえば、スサノオの奴隷のようなものだ」
「……は?」
いきなり何を言い出すんだ、こいつは。
想定外の言葉がアマテラスの口から飛び出てきたため、僕の思考が驚きで一杯になってしまった。
「……ああ。もちろんのこと、中世のように人権をはく奪され、自由を奪われているというわけではないさ。……いや、自由がないという意味ではあまり変わりはないかもしれないがな」
アマテラスは自虐するかのように言った。
「……意味が分からないな。奴隷とはどういうつもりで言っているんだ……? よほどのことがない限りそんなことを言うわけないだろう?」
「……簡単に言ってしまえば、あいつに私たちの命は握られている、ということだよ。あいつの父親は私たちの借金を肩代わりしているんだ」
「……その話を聞く限りではむしろスサノオの父親が助けているようにも聞こえるが……?」
僕の言葉にアマテラスは苦々しい表情を浮かべた。
「……そうだな。確かにそこだけ聞くとそう思うよな。実際、私たちも最初こそ、本当に助けてくれた恩人のように感じられたし、感謝していたよ。……それもあの話を聞くまでの間だがな……!」
アマテラスの表情が怒りで歪んでいるのが分かった。
「あいつは……私たちの――俺たちの借金を作る原因を自分たちで作って俺たちに借金を負わせていたんだよ……!」
「……どういうことだ?」
「俺と月読命の借金は両親が原因で莫大な額を背負っていた。当事者である親たちは既に死んでしまったが、証拠となる書類が出てきたために言い逃れもできず、地道に借金を返す生活をしていこうと考えていた。しかし、あまりに莫大な金額であったがために通常の手段では返していけるはずもなく、途方に暮れた俺たちをスサノオの父親が借金を肩代わりしてくれることによって助けてくれたんだ。当時は本当に感謝していたし、救われたと感じた。だが、ある日聞いてしまったんだ。スサノオの父親が私たちの両親に借金を無理やり負わせ、更には死に追いやっていたということを……! 俺たちは払う必要もない借金を、俺たちの両親の仇に払っていたんだ……!」
むごい……。
アマテラスの話を聞いた僕は思った。
「そのことを聞いた俺たちはスサノオの父親に借金を払うことを拒否した。だが、既に借金の一部を払ってしまった俺たちは法的にも支払う必要があると笑って言われてしまったんだ……」
「本当に払う必要があったのか……?」
「……ああ。悔しいことに奴の言うことは本当だったらしい」
アマテラスは悔しそうに言った。
相当色々なことを調べたのだろう。
しかし、それでも何とかする手段は見つからなかったということか。
「奴は息子をいたく大切にしていてな。もしもスサノオが闘技大会で優勝したら俺たちの借金をチャラにしてやるなんてことも言っていたよ」
「なっ!?」
アマテラスが軽く言った言葉に僕はひどく驚かされた。
今までアマテラスと月読命が取っていた行動と結びつかない言葉だったから余計だ。
「ああ。安心してくれ。俺たちはスサノオを優勝させようなんか考えていないって言っただろう? 正直、スサノオの父親が約束を守るなんて一切思ってないんでな。俺たちはむしろスサノオが負けるように行動をするさ」
「……そんなことをして大丈夫なのか?」
「大丈夫さ。スサノオにはばれないように戦っているからな。月読命はスサノオと本気の勝負をすればスサノオの技術が上がって勝率も上がるなんて言っていたし、俺もスキルの関係上、継続して戦っても意味がなかったと言うつもりだしな」
アマテラスはそう言うが、本当にスサノオに何も言われないんだろうか。
……いや、そんなことはないだろう。きっと彼らはもうスサノオたちの言いなりになりたくがないが故に行動しているのだろう。
「さすがに俺が決勝に行ったとしても、スサノオに勝つことは出来なかったからな。あんな変わったスキルを持つ君が出場してくれていて助かったよ。きっとそのスキルを使えばスサノオの意表をつけると思う。スサノオに≪神喰狼≫を使われるのを防げればもっと万全な状態で戦いに挑めたということについては本当に申し訳ないがな……」
そうか。
アマテラスはスサノオに闘技大会で優勝させる気はなかったが、自分が決勝で戦えば負けざるを得なかったんだな。だからこそ、僕に価値を譲った、と。
ようやくアマテラスの行動に僕は納得がいった。
「そうだな。より君の勝率が上がるようにスサノオのスキルを伝えておこう」
「助かる」
僕の言葉に頷いたアマテラスはスサノオの情報を僕にくれた。
聞いた情報をまとめると以下になる。
①スサノオの持っているスキルは150個以上あるが、よく使う補助用のスキルとしては幻影を映して姿を隠す≪幻影≫、ステータスをあげる≪筋力肥大≫、≪精神向上≫、≪体力増強≫の四つであるということ。後のスキルは気分次第で入れ替えるため、何を使うのか読めないらしい。
②称号スキルの効果でスサノオと戦闘を行っていない者はスキルが見えないが、戦闘を行っていればスキルを見ることが出来るということ。
③称号スキルの技能である≪神喰狼≫はボスには効かなかったため、HPをゼロにする効果は状態異常の可能性があるとのこと。
……全く持って厄介と言わざるを得ないな。
スサノオのスキルを聞き、僕は改めてそう思った。
……というか、≪神喰狼≫って状態異常とはいえ、即死でもついているのか。全く持ってふざけた性能の称号スキルだな……。
『いよいよ最終試合を行う五分前となりました。選手の方は闘技場へ来てくださるようお願いします!』
月金の声が控室にまで届く。
「いよいよか……」
「絶対に勝ってくれよ」
呟いた僕にアマテラスが声をかけてくれた。
僕は「ああ」と一言だけ返すと闘技場へと足を進めた。
◇
「本当に勝ってくれよ……」
俺は控室を出ていくヒカリを見ながら小さくつぶやいた。
あの時、ヒカリには言わなかったが、実を言うとスサノオに対して強気でいられていたのは他にも理由があった。
まだ少しだけ材料が足りなかったが、うまくこれを使えば俺たちは解放される。
後は更なる情報を得るために行動するだけだ。
幸いなことにスサノオの父――秋月昭三はスサノオを見るためにWOSOにログインしている。
今がチャンスだ。
俺は自身の口元が歪むのを感じながら、WOSOを後にした。月読命と共に行動を起こすために。
試合が終わったすぐ後。僕は控室に戻ったアマテラスに詰め寄った。
次の試合までは三十分もなかったが、今はアマテラスの行動が気になって休憩なんてするつもりはなかったのだ。
僕の行動に驚いたためか、目を丸くしたアマテラスだったが、すぐに「分かった」と返答すると言葉を続けた。
「まず先に言っておきたいことだが、私はこの闘技大会で優勝する気は正直言ってなかった」
「なに……?」
優勝する気がなかっただと?
それならどうしてこの闘技大会に出ているのだろうか。
アマテラスの意図が僕には分からなかった。
「そうだな。不思議に思うのも無理はない。だが、私が闘技大会で優勝する気がなかったというのは本当だ。加えて言うのなら月読命もまた私と同じく闘技大会で優勝する気はなかっただろう」
「……つまり、三貴神はみな闘技大会で優勝する気はない、ということなのか?」
アマテラス、月読命、スサノオのうち二人が闘技大会で優勝する気はなかったという。ならばスサノオも同じなのだろうと考え、僕はアマテラスに訊いた。
「いや、違うな。少なくともスサノオは闘技大会で優勝する気だろう。……だからこそ、私たちが出場していたんだがな」
どういうことだ?
いや、三貴神の一人であるスサノオが闘技大会で優勝したいと考えている。それなら、同じPTであるアマテラスと月読命が闘技大会に出て、少しでも優勝確率を上げる――スサノオと当たった時には棄権するなどして――ようにしようとしていたのだろうか。
そこまで考えて、僕は頭を振って自分の考えを否定した。なぜなら、そうと考えるにはアマテラスと月読命の取っていた行動がおかしすぎたからだ。
アマテラスは僕と戦った時、棄権した。もしかすると本当にスキルの関係上、継続して戦うのが難しかったという可能性もあるが、それでもスサノオを優勝させようとするのならば、少しでも僕の情報を引き出すために棄権などはしないだろう。
そして、月読命の方はもっとおかしかった。二回戦一試合目。その試合で月読命とスサノオは戦っていたわけだが、あの試合はどう見ても月読命に負けるつもりがあったようには見えなかった。月読命は何度もスサノオと激しい攻防を繰り広げ、その攻防はスサノオのHPを半分以上減らすほどだった。
最終的にはスサノオによって負けてしまったわけだが、それでも見えないスキルにあれだけ対応していた。つまりは見えないスキルでも対応する方法があると皆に伝えるような戦いをしていたわけだ。とてもではないが、スサノオを勝たせようとしていたとは思えない。
それらのことから考えるとアマテラスと月読命の行動は――
「スサノオを優勝させないために動いている……?」
「ああ。その通りだ」
半信半疑で口にした言葉をアマテラスに肯定された。
「どうしてそんなことをしていたんだ」
「そうだな。それを話すためには私たちのことを少し話させてもらおうか。……リアルのことを話すのは正直言ってマナー違反だが、勘弁してくれ」
僕は軽く頷くと先を促した。
「私と月読命は簡単に言ってしまえば、スサノオの奴隷のようなものだ」
「……は?」
いきなり何を言い出すんだ、こいつは。
想定外の言葉がアマテラスの口から飛び出てきたため、僕の思考が驚きで一杯になってしまった。
「……ああ。もちろんのこと、中世のように人権をはく奪され、自由を奪われているというわけではないさ。……いや、自由がないという意味ではあまり変わりはないかもしれないがな」
アマテラスは自虐するかのように言った。
「……意味が分からないな。奴隷とはどういうつもりで言っているんだ……? よほどのことがない限りそんなことを言うわけないだろう?」
「……簡単に言ってしまえば、あいつに私たちの命は握られている、ということだよ。あいつの父親は私たちの借金を肩代わりしているんだ」
「……その話を聞く限りではむしろスサノオの父親が助けているようにも聞こえるが……?」
僕の言葉にアマテラスは苦々しい表情を浮かべた。
「……そうだな。確かにそこだけ聞くとそう思うよな。実際、私たちも最初こそ、本当に助けてくれた恩人のように感じられたし、感謝していたよ。……それもあの話を聞くまでの間だがな……!」
アマテラスの表情が怒りで歪んでいるのが分かった。
「あいつは……私たちの――俺たちの借金を作る原因を自分たちで作って俺たちに借金を負わせていたんだよ……!」
「……どういうことだ?」
「俺と月読命の借金は両親が原因で莫大な額を背負っていた。当事者である親たちは既に死んでしまったが、証拠となる書類が出てきたために言い逃れもできず、地道に借金を返す生活をしていこうと考えていた。しかし、あまりに莫大な金額であったがために通常の手段では返していけるはずもなく、途方に暮れた俺たちをスサノオの父親が借金を肩代わりしてくれることによって助けてくれたんだ。当時は本当に感謝していたし、救われたと感じた。だが、ある日聞いてしまったんだ。スサノオの父親が私たちの両親に借金を無理やり負わせ、更には死に追いやっていたということを……! 俺たちは払う必要もない借金を、俺たちの両親の仇に払っていたんだ……!」
むごい……。
アマテラスの話を聞いた僕は思った。
「そのことを聞いた俺たちはスサノオの父親に借金を払うことを拒否した。だが、既に借金の一部を払ってしまった俺たちは法的にも支払う必要があると笑って言われてしまったんだ……」
「本当に払う必要があったのか……?」
「……ああ。悔しいことに奴の言うことは本当だったらしい」
アマテラスは悔しそうに言った。
相当色々なことを調べたのだろう。
しかし、それでも何とかする手段は見つからなかったということか。
「奴は息子をいたく大切にしていてな。もしもスサノオが闘技大会で優勝したら俺たちの借金をチャラにしてやるなんてことも言っていたよ」
「なっ!?」
アマテラスが軽く言った言葉に僕はひどく驚かされた。
今までアマテラスと月読命が取っていた行動と結びつかない言葉だったから余計だ。
「ああ。安心してくれ。俺たちはスサノオを優勝させようなんか考えていないって言っただろう? 正直、スサノオの父親が約束を守るなんて一切思ってないんでな。俺たちはむしろスサノオが負けるように行動をするさ」
「……そんなことをして大丈夫なのか?」
「大丈夫さ。スサノオにはばれないように戦っているからな。月読命はスサノオと本気の勝負をすればスサノオの技術が上がって勝率も上がるなんて言っていたし、俺もスキルの関係上、継続して戦っても意味がなかったと言うつもりだしな」
アマテラスはそう言うが、本当にスサノオに何も言われないんだろうか。
……いや、そんなことはないだろう。きっと彼らはもうスサノオたちの言いなりになりたくがないが故に行動しているのだろう。
「さすがに俺が決勝に行ったとしても、スサノオに勝つことは出来なかったからな。あんな変わったスキルを持つ君が出場してくれていて助かったよ。きっとそのスキルを使えばスサノオの意表をつけると思う。スサノオに≪神喰狼≫を使われるのを防げればもっと万全な状態で戦いに挑めたということについては本当に申し訳ないがな……」
そうか。
アマテラスはスサノオに闘技大会で優勝させる気はなかったが、自分が決勝で戦えば負けざるを得なかったんだな。だからこそ、僕に価値を譲った、と。
ようやくアマテラスの行動に僕は納得がいった。
「そうだな。より君の勝率が上がるようにスサノオのスキルを伝えておこう」
「助かる」
僕の言葉に頷いたアマテラスはスサノオの情報を僕にくれた。
聞いた情報をまとめると以下になる。
①スサノオの持っているスキルは150個以上あるが、よく使う補助用のスキルとしては幻影を映して姿を隠す≪幻影≫、ステータスをあげる≪筋力肥大≫、≪精神向上≫、≪体力増強≫の四つであるということ。後のスキルは気分次第で入れ替えるため、何を使うのか読めないらしい。
②称号スキルの効果でスサノオと戦闘を行っていない者はスキルが見えないが、戦闘を行っていればスキルを見ることが出来るということ。
③称号スキルの技能である≪神喰狼≫はボスには効かなかったため、HPをゼロにする効果は状態異常の可能性があるとのこと。
……全く持って厄介と言わざるを得ないな。
スサノオのスキルを聞き、僕は改めてそう思った。
……というか、≪神喰狼≫って状態異常とはいえ、即死でもついているのか。全く持ってふざけた性能の称号スキルだな……。
『いよいよ最終試合を行う五分前となりました。選手の方は闘技場へ来てくださるようお願いします!』
月金の声が控室にまで届く。
「いよいよか……」
「絶対に勝ってくれよ」
呟いた僕にアマテラスが声をかけてくれた。
僕は「ああ」と一言だけ返すと闘技場へと足を進めた。
◇
「本当に勝ってくれよ……」
俺は控室を出ていくヒカリを見ながら小さくつぶやいた。
あの時、ヒカリには言わなかったが、実を言うとスサノオに対して強気でいられていたのは他にも理由があった。
まだ少しだけ材料が足りなかったが、うまくこれを使えば俺たちは解放される。
後は更なる情報を得るために行動するだけだ。
幸いなことにスサノオの父――秋月昭三はスサノオを見るためにWOSOにログインしている。
今がチャンスだ。
俺は自身の口元が歪むのを感じながら、WOSOを後にした。月読命と共に行動を起こすために。
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