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教えて、ください
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「・・・」
「・・・」
意を決してコンビニの白ギャル店員の前に立ったはいいものの、やはり声が出ない。こんなギャル、俺の人生の中で一ミリたりとも接したことのない種族だよ!いったいギャルって何語を話すんだ?アメリカ語?俺の普通に話す日本語は通じるのか?そんな風に考え始めたら余計に体が固まってもう駄目だった。ただし、ちっぽけなプライドだけが俺の背中を支えてくれたおかげで、しっかりとギャル店員の目を見据えて立ち続けることができている。
「あ、あの~何か買うんですか?」
ギャル店員が少々めんどくさそうな、訝しむような表情で俺を見つめ返しながら、レジにあるあの商品をピッてするやつを手に持った。
「いや、違いますね」
「?・・・」
「・・・」
ギャル店員はかなりめんどくさそうな、訝しんだ表情で俺を見つめつつ、ピッてする機械をレジに戻した。
「・・・」
「・・・」
「コンビニ初めてですか?」
「いや、違いますね」
「・・・そうですか、いらっしゃいませ」
そう言ってギャル店員が、俺から視線を外して毛先をクルクルいじり出した。もう俺のことなんて気にしていないように夢中で毛先をいじっている。自分で言うのもなんだが、この女なんて神経が図太いんだ。この一対一の状況で、不審なお客様が目の前で無言で立っているというのに、もう俺に関心を失ったというのか。俺の全身の毛穴が開きジワッと嫌な汗が滴り流れる。
俺は機転を利かせるべく頭をフル回転させた。そうだ、言葉が不自由なら、人類が古代から会得している秘儀、ボディーランゲージを用いるまでだ。
「あの、これ」
俺は左手でコップの形を作り、右手で空中のボタンを押す仕草をした。これでコーヒーを買いたいと伝わるだろう。
「ん?あ、まだいたんだ。それは・・・パチンコですか」
「いや、違いますね」
分かれよォ!なんでだよ!何でコンビニのギャル店員の前でパチンコのジェスチャーをする阿呆がいるんだよ!気付いて、ねぇ早く気づいてよ、俺はコーヒーの無料クーポンを今日中に消費したいだけなの!
「こうです」
さらに俺は、左手のコップの仕草に加え、熱いコーヒーを演出すべくフーフーと吹く仕草、そして極めつけに口元に近づけグビッと飲む仕草まで付け加えた。そして、チラッとギャル店員を見た。
「あ~!」
「そうです」
「熱々でおいしいですよね」
「そうです」
「茶碗蒸し」
「いや、違いますね」
もうーーー!なんでぇ?茶碗蒸しを片手でグビッといく阿呆な文化はこの日のいづる国ジャパンにはないだろうがっ!理解してよ。
そうだ、もうコンビニアプリのクーポンを直接見せればそれでしまいだ。ゲームセットだ。スマホのアプリを立ち上げ、クーポン画面を確認する。
「無い」
「?」
日付が変わってしまっていた。昨日までが使用期限だった、コーヒー無料クーポンは消え去っていた。
「・・・」
意を決してコンビニの白ギャル店員の前に立ったはいいものの、やはり声が出ない。こんなギャル、俺の人生の中で一ミリたりとも接したことのない種族だよ!いったいギャルって何語を話すんだ?アメリカ語?俺の普通に話す日本語は通じるのか?そんな風に考え始めたら余計に体が固まってもう駄目だった。ただし、ちっぽけなプライドだけが俺の背中を支えてくれたおかげで、しっかりとギャル店員の目を見据えて立ち続けることができている。
「あ、あの~何か買うんですか?」
ギャル店員が少々めんどくさそうな、訝しむような表情で俺を見つめ返しながら、レジにあるあの商品をピッてするやつを手に持った。
「いや、違いますね」
「?・・・」
「・・・」
ギャル店員はかなりめんどくさそうな、訝しんだ表情で俺を見つめつつ、ピッてする機械をレジに戻した。
「・・・」
「・・・」
「コンビニ初めてですか?」
「いや、違いますね」
「・・・そうですか、いらっしゃいませ」
そう言ってギャル店員が、俺から視線を外して毛先をクルクルいじり出した。もう俺のことなんて気にしていないように夢中で毛先をいじっている。自分で言うのもなんだが、この女なんて神経が図太いんだ。この一対一の状況で、不審なお客様が目の前で無言で立っているというのに、もう俺に関心を失ったというのか。俺の全身の毛穴が開きジワッと嫌な汗が滴り流れる。
俺は機転を利かせるべく頭をフル回転させた。そうだ、言葉が不自由なら、人類が古代から会得している秘儀、ボディーランゲージを用いるまでだ。
「あの、これ」
俺は左手でコップの形を作り、右手で空中のボタンを押す仕草をした。これでコーヒーを買いたいと伝わるだろう。
「ん?あ、まだいたんだ。それは・・・パチンコですか」
「いや、違いますね」
分かれよォ!なんでだよ!何でコンビニのギャル店員の前でパチンコのジェスチャーをする阿呆がいるんだよ!気付いて、ねぇ早く気づいてよ、俺はコーヒーの無料クーポンを今日中に消費したいだけなの!
「こうです」
さらに俺は、左手のコップの仕草に加え、熱いコーヒーを演出すべくフーフーと吹く仕草、そして極めつけに口元に近づけグビッと飲む仕草まで付け加えた。そして、チラッとギャル店員を見た。
「あ~!」
「そうです」
「熱々でおいしいですよね」
「そうです」
「茶碗蒸し」
「いや、違いますね」
もうーーー!なんでぇ?茶碗蒸しを片手でグビッといく阿呆な文化はこの日のいづる国ジャパンにはないだろうがっ!理解してよ。
そうだ、もうコンビニアプリのクーポンを直接見せればそれでしまいだ。ゲームセットだ。スマホのアプリを立ち上げ、クーポン画面を確認する。
「無い」
「?」
日付が変わってしまっていた。昨日までが使用期限だった、コーヒー無料クーポンは消え去っていた。
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