10年後も生きる為に、特種素材を求めて、異世界を旅する事になりました。《仮》

夕刻の灯

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第3章・炎帝龍の山

二十二話・怯える部下

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気まずい…
そう思ってから、時間が流れるのが遅くなったようだ
1秒、1秒が限りなく長く感じる。

しばらくすると…
辺りが暗くなってきた
森の中では、太陽の光が山や木々に遮られてしまい
平地に比べると、陽が落ちるのが早かった。
だが、ここは平地にいるように
いつも通りの時間に陽が沈むように暗くなった。
今となっては、遠い過去のように感じてしまう。

故郷の国、ラストリア王国…
王族であるラストアの一族が代々国を治めてきた。
そのラストリア王国の辺境の地を治め守護する
御三家の一つであったベルファット家
辺境伯のトース・ベルファット様…

トース様がアムリの街の兵舎からよく
地平の彼方に沈む夕焼けを見た。
トース様には、本当に良くしてもらっていたのに…
軽い挨拶だけで、町を離れてしまった。
国王に呼び出されて、街から離れていたから
仕方がない…仕方ないと言えばそうだろうが
俺たちとっては、恩人なのに…

俺たちの隊の隊員は、平民の出の者ばかりな上に…
捨て子や孤児っといった
身分が低い面々だけしかいない…
身分の差別意識が強いあの国の中では、風当たりが強かった。
そんな中で、辺境伯のトース様だけは違った。
騎士団の役職を平等に与えてくれたよ。
身分よりも、仕事が出来るか、出来ないかで評価してくれたし
そんな風に故郷の事を考えていると、不意に声が聞こえた。

『あら?黄昏てるのかしら?』

声がした方を振り返ってみて見ると…
驚いた。
カーディナル殿がいつの間にか、俺のそばに居たのだ。

『お邪魔しちゃったかしら?だけどね。貴方ってば、ボルドーと交代したのに、全く、気が付かないんだもの。』

え?ボルドー殿と交代した?
確かに、ボルドー殿の姿が見えない。
全く、気が付かなかった…

『やっぱり、貴方。気が付かなかったんでしょう?』

カーディナル殿は優しい口調で話しかけてくれた。

「確かに、全く気が付きませんでした。」

カーディナル殿は、ふふふっと笑った。

『それでも、良いわよ。貴方たちを待たせているのは、確かですもの…』

俺たちを待たせている
それは、確かだが…

『でも、もう少しの間待ってもらえるかしら?』

既に長い時間待ってるんだがな
しかし、この状況だし
もう少し待つしかないかな

そうして待つ事にしたが…
部下たちは、まだ復活しない
ダンは、まあまあ復活したんだがな
こいつら、後で特別メニューの訓練を受けてもらうぞ
そんな事を考えていると…
カーディナル殿が俺の傍から、不意に飛び立った。

『準備が出来たらしいわよ?貴方たちの方は、大丈夫?』

俺は大丈夫だけど…
しかしな~
そう思って、振り返ってみると…
部下たちがまたブルブルと震えている…
お前たち…まだダメなのか?
そう聞くと首をブンブンと音がするほど激しく上下に振っている
頑なな拒絶…
しかし、その意思を聞く訳にはいかないんだ
断ったらその後が、さらに怖いんだからな
ボルドー殿がどんな手に出るか、考えるまでもない。
だからな…
俺は、部下たちから視線を離して
カーディナル殿の方を見る

「我々は大丈夫です。」

俺は、そう答えた。
その言葉に部下たちが口々に嫌だと言ってるが見ない

『そうなの?けど、その子達は、大丈夫じゃないようだけれど?良いの?』

カーディナル殿が部下たちを見ながら
そう言われたが、俺は大丈夫だと答えた。
俺の背後で、再び
嫌だと言ってるのと、ブンブンと音が聞こえる
おそらくだが、部下たちが大丈夫じゃない!!
っと首を千切れんばかりに左右に振ってるんだろう…
気にしては、いけない。
俺も怖いが、仕方ない
何故ならば、それ以外に道はないんだから…
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