日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨

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第94話 ゴブリン掃討作戦発動

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「準備急げ!」
「装備は確実に縛着しろ!」
「機関短銃は、射撃時に銃本体を持て。弾倉を掴むと弾詰まりを起こすぞ。」

 ゴブリン殲滅作戦を控え、ボルの村の中心広場周辺では、日本語の指示や命令があちこちで飛び交っていた。

 エスケリネンの村にいた挺身隊の将兵たちのほか、今回の捜索隊に参加している歩兵2個分隊とエルフの戦士たち20人ほどが、装甲兵車と自動貨車トラックに分乗してボルの村へ集結した。

 滑空挺身隊の兵と鹿島少尉を含めた挺身隊31名のうち滑空機グライダー操縦員4名を除く27名が本作戦に参加することとしたが、うち28名が百式機関短銃サブマシンガンと拳銃を携行し、1名が九九式軽機関銃を、1名が噴進砲ロタ砲、1名がその弾薬を携行した。
 
 歩兵は、朝日大尉が戦車将校らしく拳銃と軍刀を携行したが、あとは通常の装備と変わらず、分隊各員が歩兵銃を携行しているほか、分隊支援火器として軽機関銃2丁が各分隊ごとに付いた。

 それぞれの兵は、戦闘に不要なものを除き、武器のほか装備品なども携行しており、特に、軽機関銃手や噴進砲射手と弾薬運搬掛りは、重量のある弾薬を携行しているため、その負担は大きい。

「我々が一斉に出撃すると、小鬼どもは気付くでしょうか。」

 朝日大尉がエスケリネンに質問した。

「すぐにではなくとも、途中の道筋に見張りを置いておりますでしょうから、いずれかの段階で発見されますでしょう。我らもそうしております。」

 エスケリネンが答えた。

「見張りから巣までは、どのように情報が伝わるのでありましょう。」

 朝日が重ねて問うと

「とりあえずは、煙か音でしょうな。」

とエスケリネンはあっさりと答えた。

「煙は分かりますが、音、といいますと?」
「綱の先に鳴子を下げて置き、鳴らすのです。一定距離ごとに鳴らす番のゴブリンがいて、最終的に巣の鳴子が鳴らされる仕組みです。」
「なるほど。それでは、完全な奇襲攻撃は無理といったところでありますか。」
「そう思われた方かよろしいかと存じます。」

 エスケリネンの説明を受けた朝日は納得し、作戦を考えた。 

 おおまかな戦闘の流れとしては、車載重機関銃、軽機関銃による、遠距離射撃でゴブリンを多く打ち据えておいて接近、洞窟内を掃討するというものになるはずである。

 よって、予想される戦闘の状況からして、特に洞窟内では、近距離からの射撃が多くなるものと予想された。

 朝日は、鹿島少尉や九五式軽戦車の車長の少尉とも相談し

・軽戦車、軽装甲車、装甲兵車が先行し、塀の前方で待ち構えているであろうゴブリンを掃討する
・そのまま前進し、塀(門)を突破して塀の内側と洞窟入り口を守るゴブリンを掃討する
・軽装甲を先頭に洞窟へ進入し、ゴブリンを掃討しつつ奥へ進出して、指揮を執っていると思われる頭目若しくは呪術師を射殺し、後、残敵を掃討する

という作戦とした。
 
 無論、拐取された女性がいれば、その救出が最優先となるのは言うまでもない。

 出撃に先立ち、整列した日本兵たちの前で、朝日は訓示を行った。

「一同は、ゴブリンと戦った者も多いだろうが、今回はこちらが打って出る作戦である。敵は、人型で一定程度人語も解するものと思われるが、所詮は魑魅魍魎ちみもうりょうの類で、ただただ人間に仇成す存在であって、一切の躊躇は無用のものであるから、せいぜい装備の威力を発揮して、小鬼めらを殲滅せよ。なお、不幸にもきゃつらの虜となった女性がいることも考えられるから、各員、注意せよ。終ワリ。」

 珍しく緊張した朝日が訓示を終えると、鹿島少尉が号令を掛けて敬礼を行い答礼を受けた。
 
 訓示に続き、鹿島から一般的注意として

・洞窟では、壁や天井による跳弾に注意すること
・無闇に接近戦を挑まないこと
・小さなゴブリンを「子供」と見做して見逃した冒険者が、その場で返り討ちにされたことがあるので、ゴブリンは大小を問わず油断なく殲滅すること
巨大なゴブリンギガントゴブリンに出会った場合は、顔面と頭部に射撃を集中すること、無理に斃そうとせず、戦車や場所により噴進法に任せること

が告げられた。

 注意を終えて鹿島が「分かれ。」を命じると、一同は、ぞろぞろと自動貨車、装甲兵車に向かって行き、それぞれに分乗した。

 エルフの戦士たちは、馬車2台に分乗し、ボルがそのうちの1台に乗車した。

 車列が出発すると、エスケリネンとオリバが、村外れで見送った。

「エルフ戦士の皆さん、しっかりやってください。」
「異世界の兵隊さんたち、ご無事をお祈りしています。」
「小鬼どもをやっちまえ!」

 大勢の村人も、道の両側に並んで手を振り見送っている。

 軽戦車と軽装甲の車長や、自動貨車、装甲兵車に分乗した将兵たち、これに応えて手や帽子を振っている。

 勝ってくるぞと勇ましく…

 兵隊の誰かが歌い始めた「露営の歌」が、いつの間にか日本兵全員が歌う合唱となって周囲に響いていった。

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