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別の世界から来た傲慢たる救世主
召喚
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休日の昼。ショッピングモールは人が溢れかえっている時間だ。それにもかかわらず人はほとんどいない。その代わり辺りは炎に包まれていた。
不幸な事故である。何てことない事故。一日程度はニュース番組で報道されるかも入れないが、翌日、いやへたしたら数時間後には世間の人々は綺麗さっぱり忘れてしまうようなものである。
「さてどうしたのものか……どうする?」
「随分と余裕ある口調じゃないか」
朱廉律玖しゅれんりくはゆったりと地面に腰を下ろしながら、どこか他人事のように呟く藺草和樹いぐさかずきに嫌みっぽく呟く。
「そうは言ってもな……もはやどうしようもない。何せ完全に閉じ込められてしまった」
どこか諦めたような口調で和樹は言う。それについて律玖は言い返す材料がなかった。確かにもはやどうしようもなかった。
二人がいる場所は炎に包まれていた。つまるところ火災である。火災が起きた場所は地上から数十メートルの高さを誇るホテルであり、炎さえなければ、窓からは自然豊かな光景が見ることができた。
今二人がいる所は3階。炎はすでに広がり、通常通りの道で出口までいけるとは到底思えなかった。
それは他の人間も理解していた。そのため、運良く先に脱出できた人間はなんとかクッションなどをもって飛び降り
れるように手配をしてくれていた。二人はその時、先に子供や女性達を優先的に逃がしていた。
だが、その時に最悪なことに一人だけ逃げ遅れた子供がいた。そのため二人はやむを得ず、その子を探し出し、無事脱出させることに成功した。
それと同時に天井が崩れ、みんなが脱出したルートは疎か他の出入り口までもが完全に塞がれ二人は見事に取り残されることになったのだが。
「俺たちはどうやら焼け死ぬしかないようだ」
「死までお前と一緒か?何とも悪い冗談―――!」
律玖が少しばかりあった笑みが急に消えた。何か信じられないものを見てしまったが故に顔の筋肉に緊張が走っているように見えた。
「どうし……た?」
和樹は立ち上がり律玖に近づこうとしたがそれはできなかった。何か強力な力で持って、前へ進もうとすることを阻止されていたように感じた。
後ろから、そっちに行かぬように、まるで綱引きで引っ張られているようだった。
「何だこれ?」
後ろを振り返るとまるでブラックホールのようなものが存在した。勿論そんなものはなかったはずだ。
いつの間にか現れたブラックホールの中から無数の『黒い手』が和樹の体を掴み、引き摺り込もうとしていたのだ。
「やっ、やばい!引き摺り込まれ……」
「和樹!」
律玖は和樹を助けるべく、和樹の手を掴もうと右手を伸ばした―――
だが、その右手。正確には手首が何者かに掴まれた。
「!」
思わず律玖は後ろを振り向く。そこにはブラックホールとは異なり、光り輝く、ホワイトホールのようなものが現れていた。
そしてやはり律玖もその中から現れた手。『白い手』により、体が掴まれ、引き摺り込まれようとしていた。
二人とも何とか引き摺り込まれないように抵抗してみせたが、その力は強大で振り切ることは不可能であった。
―――そのまま二人はそれぞれその中へと引き摺り込まれていった。
不幸な事故である。何てことない事故。一日程度はニュース番組で報道されるかも入れないが、翌日、いやへたしたら数時間後には世間の人々は綺麗さっぱり忘れてしまうようなものである。
「さてどうしたのものか……どうする?」
「随分と余裕ある口調じゃないか」
朱廉律玖しゅれんりくはゆったりと地面に腰を下ろしながら、どこか他人事のように呟く藺草和樹いぐさかずきに嫌みっぽく呟く。
「そうは言ってもな……もはやどうしようもない。何せ完全に閉じ込められてしまった」
どこか諦めたような口調で和樹は言う。それについて律玖は言い返す材料がなかった。確かにもはやどうしようもなかった。
二人がいる場所は炎に包まれていた。つまるところ火災である。火災が起きた場所は地上から数十メートルの高さを誇るホテルであり、炎さえなければ、窓からは自然豊かな光景が見ることができた。
今二人がいる所は3階。炎はすでに広がり、通常通りの道で出口までいけるとは到底思えなかった。
それは他の人間も理解していた。そのため、運良く先に脱出できた人間はなんとかクッションなどをもって飛び降り
れるように手配をしてくれていた。二人はその時、先に子供や女性達を優先的に逃がしていた。
だが、その時に最悪なことに一人だけ逃げ遅れた子供がいた。そのため二人はやむを得ず、その子を探し出し、無事脱出させることに成功した。
それと同時に天井が崩れ、みんなが脱出したルートは疎か他の出入り口までもが完全に塞がれ二人は見事に取り残されることになったのだが。
「俺たちはどうやら焼け死ぬしかないようだ」
「死までお前と一緒か?何とも悪い冗談―――!」
律玖が少しばかりあった笑みが急に消えた。何か信じられないものを見てしまったが故に顔の筋肉に緊張が走っているように見えた。
「どうし……た?」
和樹は立ち上がり律玖に近づこうとしたがそれはできなかった。何か強力な力で持って、前へ進もうとすることを阻止されていたように感じた。
後ろから、そっちに行かぬように、まるで綱引きで引っ張られているようだった。
「何だこれ?」
後ろを振り返るとまるでブラックホールのようなものが存在した。勿論そんなものはなかったはずだ。
いつの間にか現れたブラックホールの中から無数の『黒い手』が和樹の体を掴み、引き摺り込もうとしていたのだ。
「やっ、やばい!引き摺り込まれ……」
「和樹!」
律玖は和樹を助けるべく、和樹の手を掴もうと右手を伸ばした―――
だが、その右手。正確には手首が何者かに掴まれた。
「!」
思わず律玖は後ろを振り向く。そこにはブラックホールとは異なり、光り輝く、ホワイトホールのようなものが現れていた。
そしてやはり律玖もその中から現れた手。『白い手』により、体が掴まれ、引き摺り込まれようとしていた。
二人とも何とか引き摺り込まれないように抵抗してみせたが、その力は強大で振り切ることは不可能であった。
―――そのまま二人はそれぞれその中へと引き摺り込まれていった。
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