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プロローグ
プロローグ その2
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あたりはすでに暗闇に包まれる中、普段であれば人はほとんどいなくなっているにもかかわらず、今大勢の人間がそこにはいた。
「クソ!一体どうなっている。突入した部隊はどうなっている!何も連絡はないのか!」
「……第1部隊、第2部隊。いえ。第4部隊まで突入した全員すでに連絡が途絶えています」
「クソ。相手は人間と少しばかりの動物。なのになぜこうも手こずる!」
その部隊のリーダーらしき人間は、苛立ちを隠せずに机を叩く。
「失礼」
そこにこの場には不釣り合いなほど美しい女性とメイドが有無を言わさぬ雰囲気で話に入り込んできた。
「何者だ?今君たちみたいな輩を相手している暇がないんだ!」
「それはこちらのセリフです。速やかに退避なさってください」
「何を言っている。今ここは私たちが―――」
「あなた方は『ただの』人間、動物を想定していますが違います。あなた方が相手している相手は、そんな生やさしい相手ではない。相手は『デスアモル』です。聞いたことがありましょう?」
「!」
その単語を口にすると男は驚いた表情をする。
「わかりますか?そんな化け物相手です。あなた方ではただ被害を増やすだけ。見たところ持っている武器も大したことはないように思えます。それでは、あなた方の被害を増やすだけ。ここは一つ私たちに任せてくれませんか?」
「……あなた方は何者だ?」
「デスアモル。いや。その母たるデストヒュヌスを倒すために組織された人間ですよ。言うなれば奴らを倒すプロと思っていただければ結構です。既にこちらの勢力を向かわせています。クレアそうよね?」
「もちろんでございます。レイラ様。既に二人向かわせています。エレノアも後ろで待機していますから、あり得ないでしょうが、炙れたやつもしっかり対処できるでしょう」
「二人だと!我々は数十人規模で―――」
「ただの人間であればその結果になるでしょう。なんでも言いますが、私たちは奴らを倒すプロです。その集団が、まさか人数に頼るとでも。私たちは、人数にはせいぜい十数人ほど。しかし一人一人一騎当千の戦力。そして今向かわせている二人。特に一人に関して言えば、奴らの母を倒すかもしれない人間ですよ?」
―――
「さてここだ。ここに敵はいる。と言っても気をつけるべきは一匹。それ以外は特に問題なさそうだ。どうする?俺が行くかそれともあんたが行くかい?ええ救世主さんよ?」
タバコを蒸しながら、隣にいる男に話しかける。
「そうだな。そうしようか。俺一人で倒すとしよう。ベアテル。ここで休んでいていいぞ?」
「こんな何もない森の中で?それもちらほら死体が見える場所でか?さすがリク。救世主さんは言うことが違う。レイラ様に対する優しさが俺に向けられることはないとは。悲しい悲しい」
「全く思っていないことを口にするな。それなら適当に逃げたやつを倒してくれ。エレノアが後ろで睨んでいる気がする」
「相変わらず、仲が良いこと。まぁいいだろ。ほらさっさと行ってこい」
そう言われ、リクという男は、手を振りながら森の奥深くへと入っていく。
―――
「弱い。話にならんほど弱い。警察が何人も束になり俺に、俺たちデスアモルに銃を向けてきた。それなのに結果はこのざま。俺たちが軽くあしらうだけですぐにこいつらは死んでしまう。まるで話にならん。つまらん。そして収まらん!俺の、デスアモルの衝動。破壊の衝動が!こんな雑魚ではまるで収まらない!」
「おさめてやろうか?俺ならその衝動を治める方法を知っている。教えてやろうか?簡単なことだ。死ねばいい。死ねばその欲求もなくなる。死はいつだって何もかも無に帰させる」
「何者だ?」
「お前たちデスアモルを殺しにきた人間だが?」
「ほう?一人で?どうやって?警察が束になっても敵わない俺にどうやって?」
「普通に倒す。別に戦闘に特化した生き物だからと言って不死ではないだろ。強力な攻撃を受けたら死ぬ」
「確かにその通り。だが、俺たちは銃では死なん。それに貴様。殺しに来たにしては随分悠長だな。既にお前の後ろから猛獣が襲いかかってきているぞ!」
「!」
リクが振り返った時には既に、一匹の獰猛な獣が襲い掛かり、そしてリクの腕を噛みちぎった。そのためリクは恐ろしいほど大量の出血を余儀なくされる。
「これは致命傷だな。こんな傷を受けては助かるまい。どうだ?さっさと殺してやろうか?頭を地面に擦り付けて懇願すれば考えてやるぞ?さっきは偉そうに言ってくれたんだ。それくらいやらねば殺してやらん」
「……いや。それはいい。そんなことは必要ない。それにこの程度で致命傷?俺にとってはかすり傷なんだよな~」
リクがニヤリと笑うと、先ほどまで滝のように流れ出た血が戻っていく。いや、それだけでなく、噛みちぎられた腕までもが戻っていき、そして再び繋がっていた。
「何!」
「さぁ。いくぜ?化け物ども」
リクはそういうと、懐から黒い物体を取り出す。男はそれを何かすぐに悟る。
「拳銃だと。そんなおもちゃで俺たちを倒す気か!」
「もちろんだ」
自信満々に答えたリクは引き金をひき、そしてたった一発で、警察たちの銃弾を耐えたデスアモルを一匹仕留め手見せた。
「……ただの拳銃ではない」
「ご名答。こいつは魔力を媒介に造られた銃弾。魔弾とでもいうものを発射する魔導兵器。俺の魔力を込めれば、威力に特化したわけでもないが、貴様ら如きであれば一撃であの世に送れるというわけだ。……さぁ行くぞ!」
「お前らやれ!」
男は猛獣に指示をし、リクを襲わせる。それをリクは笑いながら一匹一匹丁寧に仕留めていく。だが、男はその隙にリクの頭上に移動し、攻撃する。
だが、リクはわかっていたように男に銃口を剥け、撃ち抜く。男は寸前でかろうじて避けたため、耳を抉られることですんだ。ミスをしたら頭を撃ち抜かれて即死だっただろう。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「いい声で泣く。だが、日も暮れて辺りも静かなところにその声は響くな……。それに俺も早く帰って寝たい。なのでこれで終わらせてもらうぞ」
リクがそういうと、彼の周りの空間が歪んだように見えた。そして白い煙と共に現れたは巨大な狼。その狼がこちらを睨みつけ、その鋭利な牙でデスアモルたちを襲い掛かる。
決着は一瞬であった。デスアモルたちは、反撃の隙もなくそして跡形もなくこの世から姿を強制的に消されてしまったのだ。
「よしこれで終わり。さて帰るか」
仕事が終わった解放感からかルンルン気分でその場をさろうとすると目の前に立ち塞がる影が二つ。
一つは先ほど一緒に行動していた男ベアテル。そしてもう一つの影はメイド。後ろで待機していたはずのエレノアという女性だ。
ベアテルは知らん顔をしながらタバコに火をつける。一方のエレノアは眉間に皺を寄せながらリクを睨んでいた。
「終わったぜ」
「すごいな。エレノアの表情を見ながらその態度は流石に俺でも驚くよ」
「終わったぜ?終わってないのよ。いや、正確にはあんたはそうかもしれないというわね」
「?何が言いたい」
「ん」
エレノアは指を差すほうへ視線を向けると、そこには木々が破壊され山火事が始まろうとしている状況であった。
「どうすんの」
「しらん。だいたい緊急事態なんだからその辺は多少過失があっても見逃されるもんじゃないのか?ここはしっかりとした法治国家なんだから、後は国に任せれば?」
「それにしたとしても、事務処理的なことは結局やる必要があるでしょ!誰がやると思っているの!最近レイラ様も忙しいからとか言って私に振ってきているのだから、結局今回の剣も私がやる羽目になるのよ!メイドなのに!メイドなのに!」
「よっ!万能メイド。といえば機嫌治る?」
「殺意しか生まれないわ」
「仲がいいのはいいが、さっさとレイラ様のところへ戻ろうぜ?」
「その前にお前はタバコを吸うのをやめろ。レイラさんにタバコの匂いをつける気か?」
「全くよ。気遣いというものがないわよねあなた」
「いきなり攻撃対象を変えるのやめてくれ」
3人は言い合いながら、レイラの元へ向かっていく。
彼らは、この世界の危機に立ち向かう者。
レイラ。そして彼女によって呼び出された別の世界からの救世主。
彼らの戦いの話である。
「クソ!一体どうなっている。突入した部隊はどうなっている!何も連絡はないのか!」
「……第1部隊、第2部隊。いえ。第4部隊まで突入した全員すでに連絡が途絶えています」
「クソ。相手は人間と少しばかりの動物。なのになぜこうも手こずる!」
その部隊のリーダーらしき人間は、苛立ちを隠せずに机を叩く。
「失礼」
そこにこの場には不釣り合いなほど美しい女性とメイドが有無を言わさぬ雰囲気で話に入り込んできた。
「何者だ?今君たちみたいな輩を相手している暇がないんだ!」
「それはこちらのセリフです。速やかに退避なさってください」
「何を言っている。今ここは私たちが―――」
「あなた方は『ただの』人間、動物を想定していますが違います。あなた方が相手している相手は、そんな生やさしい相手ではない。相手は『デスアモル』です。聞いたことがありましょう?」
「!」
その単語を口にすると男は驚いた表情をする。
「わかりますか?そんな化け物相手です。あなた方ではただ被害を増やすだけ。見たところ持っている武器も大したことはないように思えます。それでは、あなた方の被害を増やすだけ。ここは一つ私たちに任せてくれませんか?」
「……あなた方は何者だ?」
「デスアモル。いや。その母たるデストヒュヌスを倒すために組織された人間ですよ。言うなれば奴らを倒すプロと思っていただければ結構です。既にこちらの勢力を向かわせています。クレアそうよね?」
「もちろんでございます。レイラ様。既に二人向かわせています。エレノアも後ろで待機していますから、あり得ないでしょうが、炙れたやつもしっかり対処できるでしょう」
「二人だと!我々は数十人規模で―――」
「ただの人間であればその結果になるでしょう。なんでも言いますが、私たちは奴らを倒すプロです。その集団が、まさか人数に頼るとでも。私たちは、人数にはせいぜい十数人ほど。しかし一人一人一騎当千の戦力。そして今向かわせている二人。特に一人に関して言えば、奴らの母を倒すかもしれない人間ですよ?」
―――
「さてここだ。ここに敵はいる。と言っても気をつけるべきは一匹。それ以外は特に問題なさそうだ。どうする?俺が行くかそれともあんたが行くかい?ええ救世主さんよ?」
タバコを蒸しながら、隣にいる男に話しかける。
「そうだな。そうしようか。俺一人で倒すとしよう。ベアテル。ここで休んでいていいぞ?」
「こんな何もない森の中で?それもちらほら死体が見える場所でか?さすがリク。救世主さんは言うことが違う。レイラ様に対する優しさが俺に向けられることはないとは。悲しい悲しい」
「全く思っていないことを口にするな。それなら適当に逃げたやつを倒してくれ。エレノアが後ろで睨んでいる気がする」
「相変わらず、仲が良いこと。まぁいいだろ。ほらさっさと行ってこい」
そう言われ、リクという男は、手を振りながら森の奥深くへと入っていく。
―――
「弱い。話にならんほど弱い。警察が何人も束になり俺に、俺たちデスアモルに銃を向けてきた。それなのに結果はこのざま。俺たちが軽くあしらうだけですぐにこいつらは死んでしまう。まるで話にならん。つまらん。そして収まらん!俺の、デスアモルの衝動。破壊の衝動が!こんな雑魚ではまるで収まらない!」
「おさめてやろうか?俺ならその衝動を治める方法を知っている。教えてやろうか?簡単なことだ。死ねばいい。死ねばその欲求もなくなる。死はいつだって何もかも無に帰させる」
「何者だ?」
「お前たちデスアモルを殺しにきた人間だが?」
「ほう?一人で?どうやって?警察が束になっても敵わない俺にどうやって?」
「普通に倒す。別に戦闘に特化した生き物だからと言って不死ではないだろ。強力な攻撃を受けたら死ぬ」
「確かにその通り。だが、俺たちは銃では死なん。それに貴様。殺しに来たにしては随分悠長だな。既にお前の後ろから猛獣が襲いかかってきているぞ!」
「!」
リクが振り返った時には既に、一匹の獰猛な獣が襲い掛かり、そしてリクの腕を噛みちぎった。そのためリクは恐ろしいほど大量の出血を余儀なくされる。
「これは致命傷だな。こんな傷を受けては助かるまい。どうだ?さっさと殺してやろうか?頭を地面に擦り付けて懇願すれば考えてやるぞ?さっきは偉そうに言ってくれたんだ。それくらいやらねば殺してやらん」
「……いや。それはいい。そんなことは必要ない。それにこの程度で致命傷?俺にとってはかすり傷なんだよな~」
リクがニヤリと笑うと、先ほどまで滝のように流れ出た血が戻っていく。いや、それだけでなく、噛みちぎられた腕までもが戻っていき、そして再び繋がっていた。
「何!」
「さぁ。いくぜ?化け物ども」
リクはそういうと、懐から黒い物体を取り出す。男はそれを何かすぐに悟る。
「拳銃だと。そんなおもちゃで俺たちを倒す気か!」
「もちろんだ」
自信満々に答えたリクは引き金をひき、そしてたった一発で、警察たちの銃弾を耐えたデスアモルを一匹仕留め手見せた。
「……ただの拳銃ではない」
「ご名答。こいつは魔力を媒介に造られた銃弾。魔弾とでもいうものを発射する魔導兵器。俺の魔力を込めれば、威力に特化したわけでもないが、貴様ら如きであれば一撃であの世に送れるというわけだ。……さぁ行くぞ!」
「お前らやれ!」
男は猛獣に指示をし、リクを襲わせる。それをリクは笑いながら一匹一匹丁寧に仕留めていく。だが、男はその隙にリクの頭上に移動し、攻撃する。
だが、リクはわかっていたように男に銃口を剥け、撃ち抜く。男は寸前でかろうじて避けたため、耳を抉られることですんだ。ミスをしたら頭を撃ち抜かれて即死だっただろう。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「いい声で泣く。だが、日も暮れて辺りも静かなところにその声は響くな……。それに俺も早く帰って寝たい。なのでこれで終わらせてもらうぞ」
リクがそういうと、彼の周りの空間が歪んだように見えた。そして白い煙と共に現れたは巨大な狼。その狼がこちらを睨みつけ、その鋭利な牙でデスアモルたちを襲い掛かる。
決着は一瞬であった。デスアモルたちは、反撃の隙もなくそして跡形もなくこの世から姿を強制的に消されてしまったのだ。
「よしこれで終わり。さて帰るか」
仕事が終わった解放感からかルンルン気分でその場をさろうとすると目の前に立ち塞がる影が二つ。
一つは先ほど一緒に行動していた男ベアテル。そしてもう一つの影はメイド。後ろで待機していたはずのエレノアという女性だ。
ベアテルは知らん顔をしながらタバコに火をつける。一方のエレノアは眉間に皺を寄せながらリクを睨んでいた。
「終わったぜ」
「すごいな。エレノアの表情を見ながらその態度は流石に俺でも驚くよ」
「終わったぜ?終わってないのよ。いや、正確にはあんたはそうかもしれないというわね」
「?何が言いたい」
「ん」
エレノアは指を差すほうへ視線を向けると、そこには木々が破壊され山火事が始まろうとしている状況であった。
「どうすんの」
「しらん。だいたい緊急事態なんだからその辺は多少過失があっても見逃されるもんじゃないのか?ここはしっかりとした法治国家なんだから、後は国に任せれば?」
「それにしたとしても、事務処理的なことは結局やる必要があるでしょ!誰がやると思っているの!最近レイラ様も忙しいからとか言って私に振ってきているのだから、結局今回の剣も私がやる羽目になるのよ!メイドなのに!メイドなのに!」
「よっ!万能メイド。といえば機嫌治る?」
「殺意しか生まれないわ」
「仲がいいのはいいが、さっさとレイラ様のところへ戻ろうぜ?」
「その前にお前はタバコを吸うのをやめろ。レイラさんにタバコの匂いをつける気か?」
「全くよ。気遣いというものがないわよねあなた」
「いきなり攻撃対象を変えるのやめてくれ」
3人は言い合いながら、レイラの元へ向かっていく。
彼らは、この世界の危機に立ち向かう者。
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