ツンデレの弓月先輩は「おあずけ」が出来ない後輩ワンコにお困り中

かぼす

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第1章 甘い地獄のはじまり

3. 満員電車で

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夕暮れが近づくラブホ街のまっただ中で、弓月と神矢は言葉を忘れたように、見つめ合ったまま立ち尽くしていた。
お互いを見つめるその視線には、恥じらいと不安、そして隠しきれない欲望がにじんでいた。
そして、緊張のあまり、弓月がごくりと喉を鳴らした瞬間……。

「おい、あれ、暁星国際の弓月涼馬じゃね?」
「えっ、マジで!?……うわ、かっこよ!私、めっちゃあの子の顔ファンなんだけど!」

少し離れた場所から、人の話し声が聞こえてきた。
声に気づいてふたりがはっと振り向くと、近くのホテルから出て来た若いカップルが、はしゃいだ様子でこちらを指さしている。
カップルの女性の方が、スマホを出して写真を撮ろうとしていた。

(……やばい!)

「……逃げるぞ」
「……はいっす!」

弓月と神矢は顔を見合わせ、あわててその場から逃げ出した。


200mほどをあっという間に駆け抜けると、ラブホ街は終わり、すぐににぎやかな大通りに出た。目当てのドラッグストアはもう目の前だった。
この程度の距離では全力疾走でも息を乱すことはないふたりだったが、神矢は別の理由で派手にため息をついた。

「……せっかくええムードやったのに」

心底残念そうに言う神矢を、弓月は呆れたようにじろりと見やった。

「ええムードもなにも、男子高校生ふたりでラブホになんか入られへんやろ」

弓月がそう言うと、神矢は赤くなって否定した。

「ラブホ入りたかったんちゃうすよ!キスさせてくれそうやな~思てたんす!」

自分の勘違いも神矢の直球な答えも恥ずかしく、弓月は怒ったように神矢の背をどついた。


無事ドラッグストアで買い物を終え、ふたりが店の外に出ると、あたりはもう夕焼けに包まれていた。
神矢は両腕に、弓月は片手に買い物袋を持っていた。

「お前の荷物、重すぎとちゃうか?もうちょいこっちの袋に品物移そか?」
「全然平気っす。これもトレーニングや思たらええす」
「ええ心がけやな。せやけど、あんまり無理はすんなよ」

そんなことを言いながら駅にたどり着き、ホームで電車を待っていると、到着した電車は、入り込む隙が見当たらないほどの混みようだった。
しかし、乗らざるを得ないので、神矢が馬鹿力を発揮して人ごみの中に弓月をねじこみ、自分も無理やり乗り込んだ。

冷房の効いているはずの車内も、ものすごい人いきれでムンムンとしていた。
慣れている客にとってはいつものことでも、慣れていないふたりにとっては、この押しくらまんじゅう状態はいつもの練習とはまた違った苦行に感じられた。

「……なんや、めっちゃ混んでるな」
「帰宅ラッシュの時間すもんね」

人に押されて苦しそうに顔をしかめる弓月を見て、神矢が声をかけた。

「俺、壁になるすから、弓月先輩、ドア側に立ってください」
「え?ええんか?なんや悪いな……」
「ええすよ。弓月先輩がもみくちゃにされんの、俺もいやっすから」

神矢は弓月を出入り口の前に無理やりねじこむと、客の圧から守るように弓月の背後に立った。
弓月は外に顔を向けてドアに体を押し付けられる形になったが、見知らぬ他人と押し合い圧し合いするよりはずっと気分が楽だった。
背中にぴったりと寄り添っている神矢の大きな体と体温を感じるのも、なんだか少しドキドキとしてうれしかった。
時折電車の揺れが来ると、重力に従って痛いくらいドアに押し付けられるが、神矢が壁となってほかの客の圧を緩和してくれているのか、最初ほどのしんどさは感じなかった。

(広太、めっちゃ頼りになるやん……!)

神矢のデカい体と馬鹿力に今さらながら惚れ直す気分でいた弓月は、ふと、自分の尻のあたりを誰かが触ったように感じて、ぎょっとした。

(……え?ちょ……なんや、これ……)

薄い生地のハーフパンツ越しに、弓月の尻の狭間をなぞるように、誰かの手のようなものが食い込んできているのを感じる。

(……いやや、なに……?)

すると同時に、弓月の耳元で、神矢が犬のような息遣いでハアハア言いはじめた。
弓月は思わず赤くなり、必死で小さく声を上げた。

「……お前!俺のケツ触ってるやろ!こんなとこで悪戯すんのやめろや!」

すると神矢は、苦しげにハアハア言いながら、紅潮した頬で否定した。

「触ってへんす!俺の両手、荷物でふさがってるす!」

ぎょっとして、弓月は顔が青ざめた。

(ほな、これ誰の手や……!?)

弓月は恐怖のあまり、自分の尻にさわっている手を掴もうと、空いている右の手をそこへ伸ばした。

「ウッ!」

弓月がそれを掴んだ瞬間、神矢は押し殺した声でうめいた。
弓月が思い切り掴んだのは、神矢の勃ち上がりかけたソレだった。

「弓月先輩が悪いっすっ!なんでこんなやらしいケツしてるんすかっ!こんなん密着しとったら、こっちかて頭おかしなるすよっ!」
「開き直んなや!なんぼなんでもここはあかんて!とにかくなんとかしてソレおさめろや!」
「無理すよ!俺、両手ふさがってるんすよ!どないしておさめたらええんすか!」
「知らんがな!!!」

必死で交わされる小さな叫びの応酬をよそに、神矢は耐えきれず、いい具合の弓月の尻の狭間で、ソレを激しく往復させはじめた。

「やめ……っ!あかん、てっ……!」
「ほかに方法ないすっ!擦るだけっすからっ!」
「……いやっ!……あっ、……やっ、ん……!」

(……お前がっ、動いたらっ、俺のもっ、ドアで擦れるやろっ、ちゅうねんっ……!)

ドアにぎゅうぎゅうに体を押し付けられた弓月の半勃ちのソレも、神矢の激しい上下運動に連動して擦られ続け、めまいに近い悦びをおぼえていた。

(……うそやろ……っ、こんなとこでっ……イキた、ないわっ……!)

漏れそうな喘ぎ声をおさえようと、弓月は無意識に空いている右手を口元にやったが、気持ち良すぎてはしたなくあふれ出た唾液が、指先を淫らに濡らすばかりだった。





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