マッチングアプリの男 大仏君編

椋のひかり~むくのひかり~

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15.大人のおもちゃ屋

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いよいよ当日、
予定が早く終わったので、彼に連絡し、
早めに上野に着くから駅のカフェで待ってると伝えた。

彼は待ち合わせ場所に来る前にゴムとローションを買う予定を変更し、
先に待ち合わせ場所にやってきた。

いきやすくなるように朝から大好きなコーヒーは我慢して、
カフェでもオレンジジュースを飲んでいた。
しばらくするとフード付きのトレーナーにデニム姿の彼が現れた。
ファッションセンスは悪くないが、デブが着るファッションではない。
身長もあるし、分厚い素材で膨張色のライトグレーのトレーナーは
ゴーストバスターズを思わせる。
先日のスーツ姿よりより一層デカく見えた。

「何飲んでるの?」
「オレンジジュース。笑」
「やる気満々だね。笑
じゃあ僕もオレンジジュースにする。笑」

一人席のエリアで横並びに座りながら少し話した。

「実は今日待ち合わせの前に大人のおもちゃのお店で買おうと思ってて。
早く着くって言うから、後で一緒に行こうと思って、先にこっちに来たの。」
「あら、そうだったの?」
「だからこの後一緒にお店行ってもいい?」
「うん、まあ行ったことないから興味あるけど。
女の人も入れるの?」
「うん、普通にカップルとかいっぱいいるよ。」
「へえ。」

カフェを出てから商店街を一駅分歩き、大人のおもちゃに屋に入った。

未体験なので好奇心で一緒に店内に入ってみたものの、
身動きの取れない狭い通路で、
入り口付近のレジ前で巨大な大仏が通路をふさいでゴムを吟味していたので
店内をうろうろできなくて退屈だった。

レジの前には男性店員が立っていて、大仏は背中を向けてゴムを吟味しているが、
ただ横でぼーっと待っているのがやけに恥ずかしかった。

しばらくするとそこに4人グループの若い男性客が入ってきた。
通路がふさがっているので奥に入れず、入り口でにぎやかに話しながら
こっちを向いて立っていた。

店の客で女は私一人っぽかった。
なんかもう恥ずかしくて早く立ち去りたくなったので、思わず大仏に言った。

「まだ?早くして。」

彼はゴム選びに夢中になっていた自分にハッとした。

「あ、ごめん。」

慌ててゴムはどれにするか決断したものの、
次はその横にあるローションコーナーに一歩ずれて、ローションを選び始めた。

「ローションはいらないよ。私肌弱いし塗りたくない。」
「ローション気持ちいいよ。」
「でも何入ってるかわからないから、肌荒れするかもしれないし。」

こちらの言うことは無視して、振り返ってレジにゴムとローションを差し出した。

(こんなに吟味しなきゃいけないなら会う前に買いに行けよ。
しかもローション嫌がってるのに無視して買うし。)

少しイラついた。
店を出るとき入り口付近に立っていた4人組の若い男たちにチラッと顔を見られた。
なんとなく屈辱的な気分になった。

「ごめんね。嫌だった?」
「うん、入ったことなかったから興味本位で入ってみたものの、
男性客がいっぱい入ってきて恥ずかしかったから。」
「そうだね。ごめんね。あんなに店狭いと思わなかったから。
女性客いなかったもんね。
前はカップルの客とかいっぱいいたから大丈夫かと思って。」

(お前が入り口で通路塞いでるからうろうろできなかったしな。)

「あんな入り口でゴム吟味してるとこで待ってるのは嫌だよ。」
「一人で買いに来ようと思ってたんだけど、早く着くって言うから、
一緒に行こうと思ったの。」

(私はこんなに歩かされた上に恥ずかしい思いまでするなら
カフェでゆっくりオレンジジュース飲んで待ってる方が断然よかった。)

また上野駅まで歩いて戻り電車で鶯谷まで行った。
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