マッチングアプリの男 大仏君編

２３． フレンチキス

それから２週間くらい経ち、
彼の家の近所にいく用事があったので、旅行のお土産を渡すついでに
駅前のカフェでお茶することになった。
バレンタインが過ぎたところだし、一応デパートに立ち寄ってチョコを買った。
質より量だろうが、その中間どころのものにした。

駅で待っていると、さらに大きくなった大仏が現れた。

「お待たせ～」
「久しぶり～」

今日もでかい体に分厚いフード付きパーカーにデニム姿であった。
笑いを堪えるのに必死であった。

駅前のカフェに入った。
お土産とチョコを渡して、お互いの近況など１時間ほど話した。

彼は髪色を明るくして若返った私を見てニヤニヤしていた。

「そろそろ仕事戻るわ。」
「うん。私はこの後の予定まであと３０分くらいあるから
ここで時間潰してから出るわ。」
「コーヒーおかわりする？これ冷めちゃったでしょ？
新しいの買ってきてあげる。」

彼は飲み残したカップを下げて新しいコーヒーを買ってきてくれた。

（ほんと大仏様なんだよね。ありがたや～ありがたや～）

「ありがとう。」
「こちらこそ、今日はありがとう。じゃあまた月末ね。」
「うん。お仕事頑張ってね。」

彼が席を立ったので、礼儀として立ち上がった。

「いいよ。座ってて。」
「うん。」

座ろうとすると
彼がこちらに近寄ってきて、マスクをずらして唇に軽いキスをしてきた。

窓際の席でなんとも絵になるドラマのようなフレンチキス。

（シチュエーションではキュンときたんだけど、
ただ相手が大仏なんだよなあ。。。）

「じゃあね。」

彼は笑顔で店を出て窓から軽く手を振りながら去っていった。

（大仏じゃなきゃ、ここでグッときてキューンが続くんだけどなあ。。。）