マッチングアプリの男 顔がタイプの男編

２４．願い

さちこは最近パワーウィッシュという満月と新月の日に願い事を
ノートに書いて宇宙にお願いするというワークを試していた。

ちょうど満月の日がきたので、
あれやこれやとテキストに則って宇宙にお願いごとを書いていた。

「自分にとって最高のパートナーに出会うこと。」
「私は愛し愛される人間と気づくことができました。」

相手を特定せずに、自分がなりたい感覚を得るための願いを書いた。

しかし、そのうちに本当の自分の望みはもっと具体的にあるのではないか、
ノートに書いていることの他に本当は今もっとすぐに叶えたい望みが
あるのではないか、とふと思った。

そう、なんとなく最近封印していた思い、「彼にもう一度会いたい。」
それに気づいているのに見ないようにしているのはよくないと思った。

だけど会ったところでどうなるんだろうか？
向こうがもう冷めているのなら会っても仕方ない。
そこから逆転できたとしても関係が続く可能性のある男なのか？
まあ、会ってみたらまた自分の気持ちがはっきりわかるかもしれない。

葛藤した上、とりあえず、自分に正直にならなければ
宇宙にお願いしても混乱するだけだろうと思い、
最後に一行、正直に願い事に付け加えた。

「たーくんにもう一度会います。」

ノートによると、宇宙へのお願いが叶いにくい人へのアドバイスとして、
「願い事を書いた後24時間以内に行動に移すこと。」とあった。

さちこはすぐに彼にラインした。
「たーくん、お仕事頑張ってますか？さっちゃんです。覚えてますか？笑」

しばらく待っても既読にならないので、風呂に入った。

風呂から出ると既読にはなっていたものの返信はなかった。
さちこは既読スルーでも不思議と心に余裕があった。
既読スルーでもそれが宇宙の答えなら受け入れよう。
そんな思いだった。