イジュース・ファンタジー

辻 雄介

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緑の帝王編

第19話 VS緑の帝王!?

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「これよりーー!!!皆さん待ちに待ったであろう!!!
サンディル・ブランデーVS緑の帝王のワンマッチを行います!!!
最前列の人々は今日は全く眠そうにしていませんね!!何日起きたままなのかは分かりませんが、目の血走りが全てを物語っています!!
クマができてる人もいますね!!
しかし!今日は眠くなることはないでしょう!!!
さぁ!!選手の入場です!!!皆さん!!熱い声援をお願いします!!!」
今日はいつも以上に司会者が興奮してた。
「フォーーーーーー!!!」
「サンディル!!ブランデー!!!」
「緑の帝王の本物が見れるぞみんな!!!」
観客席はそれ以上に興奮していた。
そして、サンディルとオルトゥンスは別々の場所から入場してきた。
オルトゥンスはフード付きの着物の様なものを羽織っており、フードを深く被っていた。
観客からは「あれで前が見えるのか!?」という声が頻発した。
サンディルも同じ事を思っていた。
「赤コーナー!!身長157cm体重65kg!!
小柄のスーパースター!!サンディルーー!!ブランデー!!」
「青コーナー!!身長175cm体重不明!!
センピグネスの創始者!!緑のーー!!帝王ー!!」
緑の帝王の紹介でまたさらに観客が盛り上がった。
「緑の帝王ーー!!こっち向いてーー!!」
「フードとってみてよー!!!」
「サンディルーー俺はお前を応援するよーー!!」
ダンドルが観客の声援に紛れて大声でサンディルに応援を送った。
「聞こえたかな?」
「さぁ…。」
サンクチュアリはダンドルの肩の上で答えた。
そしてゴングは鳴らされた。
「カーーン」
サンディルは
「ポルテチオ!!」
と叫び、左側頭部を擦ってイジュースを出した。
オルトゥンスはというと、何もせずにただサンディルがどう出るか観察していた。
イジュースを右拳に流し込んだサンディル。
サンディルもオルトゥンスがどう出るか見ていた。
両者どちらとも動かず静かな時間が流れた。
しかし、そんな時間もつかの間。
サンディルが仕掛けた。
イジュースを流し込んだ右拳をオルトゥンスに放った。
が……、
右拳はオルトゥンスの左手で簡単に止められてしまった。
「イジュースとはどれほど恐ろしいものかと期待はしていたが……この程度だったか…。」
オルトゥンスが喋った。
サンディルは目を見開いてこの状況に絶望した。
「この程度なら喋りながらでもひねり潰せるな。」
今度はオルトゥンスが左拳で攻撃を仕掛け、サンディルの頭目掛けて拳を放った。
サンディルは急いでイジュースを左腕に流し頭を防いだが、吹っ飛ばされてしまいリングの端まで飛ばされてしまった。
観客がこの状況にざわつき始めた。
「なんだよこれ……。」
「いくら強いっていってもこれはやばいだろ…。」
「まるで子供と大人だ……。」
ダンドルがまた観客に紛れて呟いた。
「今の聞こえてたかな…聞こえてなきゃいいけど…。」
「聞いてる余裕なんてないと思うよ…。」
サンクチュアリがまた答えた。
サンディルは吹っ飛ばされてもなお、攻撃を続けた。
しかし、全て避けられ止められ、仕舞いにはサンディルが放った拳を避けると同時に伸びきった肘を叩き、ダメージを負わせた。
「痛っ!!」
肘は真っ青になって、痛みが増してきた。
「イジュース使いはここまで脆かったか。
それかお前自身が弱いのか。
どちらかは分からないがそんな事はどうでもいい。
お前はこれから残酷な死を体験することになる。
弱者に生きる価値はない。」
サンディルは下がっていた顔をあげた。
「あなた…強がっているのね…。
私には…分かるわ…。あなたは孤独で戦ってる…悲しい戦士なの…よ……。」
「なんだと?」
オルトゥンスはそう言い返した。
「私が……解放させてあげるわ……。あなたを…この呪いから!!」

「黙れ!!お前に俺の何が分かる!?」
オルトゥンスはサンディルに向かって拳を振り下ろした。
もうダメだ。サンディルはそう思った。
しかし…、
「ドンッ!!」
サンディルはオルトゥンスの拳を防いだ。
よく見てみるとサンディルのイジュースは左拳だけだったのが左肩甲骨から左拳にまで広がって光り輝いていた。
「こいつ…進化したのか?イジュースで輝いている部分が広くなったぞ。
でもだからなんだ。
この程度の攻撃しか防げないんなら意味は無い!!」
オルトゥンスは考察した。
その間にサンディルは立ち上がり、オルトゥンスに1発拳を叩き込んだ。
「うっ…!!」
オルトゥンスは思わずよろけてしまった。
「何!?強いぞ!これは侮れん!!」
そして、サンディルとオルトゥンスの死闘が始まった。
オルトゥンスは次から次に拳をサンディルに叩き込まんと放っていった。
サンディルはイジュースが流れている左腕1本を凄まじく振り回し、防御と攻撃をした。
「あなたを必ず母親の元へ返すわ!!」
「お前に母の何がわかる!?」
「あなたの母は言っていたわ!!もう一度やり直したいって!!」
「俺はもう後には引けないんだ!!」
「いいえ!!私があなたをやり直させるの!!!」
「黙れ黙れ黙れーー!!!!黙れーー!!!」
すると、オルトゥンスの足元に竜巻が起こり始めた。
竜巻は小さな石粒や、リングの周りにあるものを巻き込みながら大きくなっていった。
そして、フードは上にあがりオルトゥンスの顔が初めて見えた。
観客席は大パニックになった。
「逃げろ!!竜巻が起こったぞ!!!」
「竜巻だーー!!逃げろーー!!!」
「そこどけ!!早く逃げないと!!!」
観客席はたちまち人が消えていった。
「サンディルブランデー!!
お前は俺を本気にさせたな!
本気でお前を殺しにいくことにしよう!」
オルトゥンスはそう言うと、竜巻と一緒にサンディルを襲いにかかった。
「ダメよ!私!!絶対に諦めないんだから!!」
そう言うとサンディルはオルトゥンスのもとへ立ち向かった。
オルトゥンスは竜巻の回転とともに自分自身も回りながら攻撃をしてきた。
サンディルはその攻撃を左肩甲骨から左拳を使って戦い続けた。
「なかなか骨のあるやつだサンディル・ブランデー!!この猛攻を左手1本で立ち向かうなんてなぁ!!
だがいつか限界が来るだろう??
その限界まで俺は攻撃を続けてやる!」
サンディルはもう既に限界をむかえようとしていた。
序盤でやられた肘がひびいてしまったのであった。
「なんとでもいいなさい!!私は絶対に諦めないから!!例え左手1本が犠牲になっても!!」
すると、サンディルの右腕にイジュースが流れ光り始めた。
「こいつ!!イジュースで使える部位がまた増えたぞ!!
さらに力が増すのか!?
だがどんなに力がました所で俺にかなうことは無い!!
絶対は俺なんだ!!俺が絶対なんだ!!!」
サンディルは右腕も軽くなったことに気付き、使う腕を右にシフトした。
今サンディルの身体は、左肩甲骨から左手と右肩甲骨から右手までつかえるようになっている。
「よし、やっと右が使えるようになったわ。
感情的になればイジュースも強くなるのね。

サンディルは段々と強くなっていた。
「ありえないぞ!!
腕1本しか使えていないんだぞ!!
なんでここまで互角にたたかえるんだよ!!」
サンディルの目つきは最初に比べて格段に変わっていた。
オルトゥンスの竜巻もスピードと勢いが増していった。
2人の戦いはスピードが上がっていった。
「うぉぉーーーー!!!」
「うぁぁーーーー!!!」
2人は大きな雄叫びをあげた。
戦いのスピードは常人では目で追えない程の速さであった。

「なんて戦いなんだ…!!2人とも互角だぞ!!」
ダンドルとサンクチュアリは木の影に隠れて戦いを見守っていた。
「まずいわ……!!このままじゃ私の方が先に限界が来てしまう!! 
何とかしてイジュースで扱える身体の範囲を広げないと!!」
サンディルはこの戦いで自分が最初に限界が来てしまうということを察した。
そしてサンディルは一時的に戦いから身を引いた。
「もっと感情的に自分を鼓舞しなくちゃ!!

サンディルはそう結論を出した。
「どうした!!もう限界が来たか!!!
ならこっちから潰しに行くぞ!!!」
オルトゥンスはそう言うと竜巻の勢いを増してサンディルに向かってきた。
「うぉぉぉーーーー!!!!」
サンディルはまた雄叫びをあげ、右拳をオルトゥンスの胸へ放った。
「この程度の攻撃!!!もう見なれたぞ!!!投げやりになったか!!!」
オルトゥンスはそう言った。
しかし、「うっ!!」
オルトゥンスは血を吐いた。
「どういうことだ!!この程度の攻撃になぜこんなダメージが!!」
オルトゥンスはサンディルの方を見た。
すると…、
サンディルの全身は眩く光輝いていた。
「まさか!!イジュースが全身に流れたのか!!!」
サンディルはスっと立ち上がり、放った右拳を引いた。
「オルトゥンス、終わりにしましょう。」
サンディルはそう言うとオルトゥンスに静かに向かっていった。
「馬鹿が!!!勝つのはおれなんだーーーー!!!」
オルトゥンスはサンディルめがけて左拳を叩き込もうとした。
しかし、オルトゥンスの拳は弾き飛ばされ、同時に伸びきった腕にサンディルの拳が突き刺さった。
「痛っ!!!」
思わずオルトゥンスは叫んで、右蹴りをいれてきた。
が、その蹴りもサンディルの蹴りによって脚にダメージをおうこととなった。
「うわっ!!」
またオルトゥンスは叫んだ。
オルトゥンスは右脚と左拳に大ダメージを受けた。
「クソっ!!こんな所で……こんな所で…!!終わってたまるかぁー!!!!」
「あなたには生まれ変わるチャンスをあたえるわ!!必ず!!!」
サンディルとオルトゥンスは最後の猛攻をした。
今度はサンディルが全身でオルトゥンスが右腕、つまり立場が入れ替わった状態での猛攻になっていた。
「おぉぉぉぉーーーー!!!!絶対は俺だァーーーーーー!!!!」
「このままこの戦いを終わらせるわ!!!絶対に!!!!!」
2人の猛攻はまた目で追えない速度で続いた。
そして……、オルトゥンスは脚に力が入らなくなり、倒れかけた。
その隙にサンディルはオルトゥンスの心臓に拳を叩き込んだ。
「ガハァッ!!!」
心臓は破裂し、オルトゥンスは倒れてしまった。
竜巻で荒れ果てた場の空気の中、オルトゥンスは敗北した。
「……終わったのね。これで。」
「カハァッハァッハァッ…」
まだ少し息が残っていたオルトゥンス。
すると、オルトゥンスは最後の力を振り絞ってサンディルの目の前で竜巻を巻き起こした。
サンディルは竜巻の中にはいった。
竜巻の中心には…
が光り輝いていた。
サンディルは荒ぶる竜巻の中腕をのばし、その結晶を握りつぶした。
すると竜巻はたちまち消え、小爆発を起こした。
サンディルはハァ…ハァ…と息切れをしていた。
空を見上げると女の人と男の子が手を繋いで空に上っていくのが見えた。
「さよなら、オルトゥンス、壁の女神……。
次生れかわる時はどうか……幸せであって……。」
空に上っていく男の子と女の人は空の向こうへ消えていった。
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