イジュース・ファンタジー

辻 雄介

文字の大きさ
23 / 36
冬の戦士編

第3話 ミゲル!?

しおりを挟む
19:45…
「シンディ!!私肩持つから足持って!!せーのっ!!」
「よいしょっ!!このままソファーまで運ぶのよね!?」
「そうよ!!なるべくどこにもぶつけずに運ぶわよ!!」
サンディルとシンディはあれから家に戻った。
しかし、家の前にはなんと緑色の身体をした見覚えのある人間が倒れていたのであった。
「ソファーまで来たわ!!おろすわよ!!
せーのっ!!」
サンディルとシンディはその緑色の身体をした人間が倒れているのを見てしばらく言葉を失った。
約30秒…いや50秒…いや1分近く黙り込んでいた。
「身体なんかヌメヌメしてなかった!?ちょっと気持ち悪いんだけど!!足を持ったからかなぁ!!」
シンディはこのヌメヌメを何とかしたく、サンディルから洗面所を借りた。
「どういう訳で来たのかしら…。
やっぱりこの植物の人間は私か私達に警告か何かをしに来たのかしら…。
それか助けを求めに来たのか…。」
サンディルは色々と考察をしたが、やはり本人に直接聞く意外に方法は無いと察した。
「もしかして、イジュースに関することなのかしら!!」
サンディルはイジュースを出せば答えが分かるかもしれないと感じた。
そして、6年前に簡単に出せた時のことを思い出してイジュースを出そうとした。
数分粘ったが、一瞬頭の付近に雷のような光が出ただけだった。
「ダメね。6年間もブランクがあれば出るものも出なくなるわ。」
「何してるの?」
シンディが洗面所から戻ってきた。
「あぁ…いや、考え事をしてたのよ。
この植物の人間が何を考えてここに来たのかっていうのをね。」
サンディルはイジュースの事でシンディを巻き込むのはマズいと思い、イジュースを出そうとしたという事実に対して咄嗟に嘘をついた。
「まぁ、何でもいいけどサンディル、タブレットかパソコンどっちでもいいから貸してくんない?」
「タブレットならいいけど…どうして??」
「この植物くんの正体や隠された情報を見つけ出そうと思って!
情報収集の腕がなるわ!!」
サンディルはシンディの腕を信じてこの植物の人間の正体を知るのは名案かもしれないと思い
「分かったわ私は隣で残った仕事片ずけるから、情報収集よろしく。」
「おまかせあれ~~!!」
そして、サンディルとシンディはそれぞれの仕事に取り掛かった。
そして、5分経過した頃、
サンディルはチラッとシンディの顔を見てみると「まだ」いきいきとした顔をしていた。
それから1時間経過した頃、
サンディルはまたチラッとシンディの顔を見てみると「まだ」笑顔が少し消えたくらいの顔をしていた。
さらに1時間した頃、
サンディルは仕事を終え、伸びをした。
「シンディ、様子はどう??」
シンディの表情は不思議そうに曇っていた。
「これは魔法というか呪いというかそういう類みたいかしら…。
こんなの初めて。」

「ま…魔法との…呪い?」
サンディルはその話について詳細を求めた。
その時、
「がぁはっ!!」
「どうしたの!?シンディ!!」
「私じゃないわ!!まさか!!」
ソファーを見ると植物の人間は目をまん丸に開き、上体を起こしていた。
「わぁーーー!!!」
2人は声を上げて驚いた。
植物の人間はソファーからおりた。
そして、話し始めた。
「ここは…一体どこなの?
どうして僕は今人の家のソファに寝ていたの??」
2人は呼吸を整え、質問に答えることにした。
「君は私の家の前で倒れていたの。
だから、私の家に入れて寝かしておいたのよ。」
サンディルはそう答えた。
そして、物陰の見えないところでシンディにコソッと
「身体に触れても問題ない?」
と聞いた。
「私が調べた感じだと触ること自体に問題は無いみたい。」
シンディはそう返事した。
そして、サンディルは植物の人間に手を貸して立たせた。
「あなた、名前はなんて言うの?」
サンディルは尋ねた。
「僕は…ミゲル。
ミゲル・フューゲ。」
「ミゲルね。これからそう呼ぶわ。
私はサンディルよ。
サンディル・ブランデー。」
するとミゲルは目をまた丸くした。
「ブランデー!?君まさか、ブランデー族の人間なの!?」
サンディルはなにかまずいことでも言ったかなと思いながら、
「えぇ。そうよ。何か問題でもあった??」
と返した。
すると横からシンディが質問モードに入った。
「ねぇ、植物くん改めミゲルくん??
1つというか色々質問したいんだけどいいかな?
スウェーデンの5箇所にミステリーサークルのようなものが出現したらしいんだけど何か見に覚えがあるんじゃない??」
「ミステリーサークルって何?」
ミゲルはミステリーサークルを知らなかった。
「なんて言うかあれよあれ、地面に謎の巨大な円が現れる現象よ。
どう?なにか身に覚えは…。」
「無いね。」
シンディは手応え無しで少しガッカリだったが、まだ質問の引き出しはあった。
「それじゃあ質問を変えるわ。
あなたさっきミゲル・って言ったわよね?
辛いことを思い出させるようだけど、あなた1996年に殺されたりしなかった?しかも兄弟みんな。」
ミゲルは震え出した。
「あぁ、覚えてるよ…未だに忘れない。
兄さんたちと弟を失ったんだ。
車の中だった!!みんなでお母さんに内緒で映画を観に行こうとしたんだ!!」
「ビンゴ」
シンディは思わず口に出した。
「すごいシンディ。どうやって調べたの?」
サンディルは感心した。
「企業秘密よ。サンディルにも教えられないわ。
検索のワードやルーツはすべて削除してる。
まぁそんなのどうでもいいわ。」
シンディは話を続けた。
「この事件はリンダリン・リアル事件として一時期テレビやメディアの話題をかっさらっていったんだけど今年時効が来て犯人の捜索は中止されたの。
このリンダリン・リアルっていう名前に聞き覚えは無い?」
ミゲルは少し考えた。
「ごめん…。
検討もつかないよ…。」
そしてミゲルはそう答えた。

「まぁ知らなくて当然よね…。
自分を殺した相手なんて分かるはずないよ。」
サンディルは横からミゲルをフォローした。
シンディはため息を一度つくと、連絡先の書いてある紙の切れ端をミゲルに渡した。
「もし詳しいことが知りたくなったら、この男の人に連絡してみて。
この人はリンダリン・リアル事件についてずっと調査してる刑事さんなの。
きっとあの日の真相が分かるはずよ。」
ミゲルはその紙の切れ端をみつめた。
「この人は誰なの?」
サンディルは尋ねた。
「リンダリン・リアル事件について深く調査してる刑事さんなの。
名前はカー・リッカー。」
「時効が来ても調査し続けているって一体どうなの…?」
「さぁ、クビにでもなるんじゃない?」
「えぇ、なんか不憫。」
サンディルはその人が少し気になった。
「ねぇ、ミゲルあなたの判断次第では私も一緒に同行してもいいけど。
どうしたい?」
ミゲルはしばらく黙った。
そして、
「僕は僕と愛しい兄弟達がどうして死ぬことになったのかが知りたい。
リンダリン・リアルっていう人がどう関係してるかも気になるな。
僕、カー・リッカーという人に会いたい。」
サンディルは静かに頷き、
「分かったわ。
急ぎ足じゃなくてもいいから、ゆっくりと真実に近づきましょう。」
と言った。
「うん。」
ミゲルも頷いた。
「それでねミゲルくん、他にも聞きたいことが沢山あるの!」
シンディはまだ質問を終えていなかった。
「フューゲ家の真相に迫りたいんだけど…」
シンディがフューゲ家の真相について聞こうとした、その時だった。
「ドガーーン!!!」
突然、壁が破壊されたような音が部屋中に響いた。
「なんの音!?」
サンディルは急いで音の方へ駆けつけた。
するとそこには、ミゲルと同じ植物の体をした人間が膝と拳をついて構えていた。
シンディは悲鳴をあげて膝を抱えて怯えていた。
「あなた何者!?」
サンディルはそう尋ねた。
すると、植物の人間は白目を剥いたまま立ち上がり、
「これはこれは…ブランデー族のお嬢さん…。
今宵はいい夜でございますね…。
あなたの血が吹き出るにはピッタリの日和だぁ…。」
サンディルは当然不気味がりながら、
「あなたは何者!」
と勇敢に質問をした。
「俺の名前を知ったところで……今更どうにもならないだろう……。
あなたは……ここで死ぬからなぁ……。」
サンディルは咄嗟に何か武装出来るものを探したが、辺りには何も無かった。
するとサンディルは無意識に左側頭部を擦り、
「ポルテチオ」
と唱えた。
黄色いイジュースが飛び出た。
「やはり……あなたは立派なイジュース使いだ……。
だが…俺のイジュースの相手になるかな……??」
植物の人間も左側頭部を擦り、イジュースを出した。
「まさかっ!!あなたもイジュース使いなの!?」
サンディルは驚いた。
その間に植物の人間は拳にイジュースを流し込み、飛びかかってきた。
「さぁ、ブランデー族!!お前らのイジュースで立ち向かってみろ!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。 ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。 別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら? ー全50話ー

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...