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第十六エナジー 「竜牙と良太の修行」
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7月に入って3周間が経ち、竜牙の通っている小学校は夏休みを迎えた。
夏休みの午後、竜牙と良太はいつもの公園で約束していた。
「おっ。竜牙。今日もいるな~。けんすいしてんの?」
「おう。良太。いちおう。俺はエナジー使えないけど、やっぱり俺自身も強くなりたいから筋トレはしてるよ。俺のアバター出さなきゃ愛や良太に強さで到底及ばないもん。」
「努力してんのか。いい傾向だな。じゃあ竜牙のアバター出してくれよ。」
「おう。」
ギュン。
竜牙はもう一人の自分アバターを出した。
「さあやろうぜ。」
「なあ竜牙。いつもは格闘の訓練してるけど、俺、武器出していいか?」
「ん?別にいいぜ。」
「サンキュー。『クハンディー』(エナジーで創られた斧)!!」
良太は生成した斧で竜牙のアバターに振りおろす。
ガキン!!
「おっ。やっぱ良太の拳より攻撃力があるな~。エナジーパワー上げなきゃ。」
竜牙は右腕で斧を受け止めたが、さらに強力なエナジーパワーで斧を弾き返す。
バキっ。
「っ。これならどうだ!!『ジャラン・ラケン・クハンディー』(斧の連続攻撃)!!」
良太は瞬時に五つの持ち手が短い手斧を生成し、全て竜牙目掛けて投げた。
「おもしれぇ!!フン!!」
一発目、二発目は竜牙の打撃で防いだ。
三発目、四発目、五発目は。
「あーもう面倒だ!!おりゃー!!」
竜牙は渾身のエナジーパワーをシールドに集中させた。
三つの手斧は、竜牙のシールドに阻まれ、シールドの手前で地面に落下した。
「どうだ!!」
その瞬間、良太は竜牙の後ろにいた。
「あっ。」
「どりゃ!!」
良太は両手で斧を持ち、竜牙のシールドごと破壊しようと振り下ろした。
ガギガギガキ。
「う~。やべっ。」
竜牙はたまらず、後ろに下がった。
「はあはあ。今回はいい線いってたのに。」
「今のはちょっとやばかった。なんか良太って斧使ってる方が調子いいんじゃね?」
「だって俺、『シリンティ』(物質創造化)派の『エナジープラン』だもん。」
「『シリンティ』?どっかで聞いたような・・・。あっ。さこかな?さこが前、エナジー無効化するリボンを作っていたとき、言ってた気がする。」
「さこ様クラスだとなんでもできちゃうだろうな。最近、さこ様もまよ様もまこ様もどこに行ったの?」
「あいつら、俺の家にいないぜ。まこは数週間前からいない。地球のどこかにいるのか、もしかしたらいないのかも。さことまよは、地球旅行中みたい。北極とか南極に行くって行ってた。」
「俺もエナジープランだけど、そう簡単に外国に行けないからな~。」
「飛んでいったら、楽勝じゃん?よく考えたら、俺も外国行ったことない。」
「外国には国ごとに別のエナジー部隊があるんだよ。だから、簡単に行けないの。エナジープラン同士の戦争になっちゃうから禁止されてんだよ。正式にエナジー部隊に入隊すると、海外遠征や共同訓練とかあったりするんだけど、外国との関係はいろいろ面倒くさいみたいだよ。」
「ニュースでやってる日本と外国と一緒なんだな。あっ。話それちゃったけど、良太はなんで今まで俺との修行で斧使わなかったの?」
「やっぱ素手と武器ってなんか反則かなって思ってたんだけど、俺とおまえのエナジーパワーの差を考えたら、もういいかなって思ったんだ。斧があると調子いいな。」
「俺からしたら、斧とか物質をエナジーで作って戦うのってエナジーの無駄遣いっぽくて疲れるんじゃないかな~って思うんだけど。」
「普段生成しない物を作るんだったら少し面倒だけど、一度つくってしまえれば、自転車の運転みたいに簡単にできるよ。まあ俺がシリンティ得意だからなんだけど。」
「俺にもできるかな。やってみよ。」
「いや~。竜牙には無理と思う。器用そうじゃないし。エナジー操作あんまりできなさそうだし。」
ブワン。
竜牙の掌に光が集まり、物質が形成されていく。
「ウソ。」
竜牙は斧ではなく、大鎌を作った。
柄の部分は、竜牙の身長くらいの長さ150cmほど。
刃の部分も1mほどの長さがある。
「あっ。簡単にできた。」
良太は考えた。
竜牙はおかしい。
シリンティ・・・物質創造化はその物質の素材を理解していないと作れない。
柄の部分、刃の部分、それぞれ様々な物質の素材が必要になる。
刃物を普段から俺のように生成しているんだったら話は別だけど、今回竜牙は初めて作ったんだろ?
ありえない。
「ちょっと竜牙。その大鎌、俺に触らせてくれないか。」
「いいよ。さては良太、俺がシリンティってやつ簡単にできたからひがんでるな。」
「ちょっとびっくりしただけだよ。」
良太は大鎌を手に取った。
なんだこれ?
ただの大鎌じゃない。
たしかに刃の部分の強度とかは通常の刃物と大差ない強さなんだけど、素材が鉄とか金属じゃない。
表面的に大鎌っぽいものを生成させているだけ。
ただエナジーでつくった見せかけだ。
想像しただけでこんなものが作れるなんて。
竜牙の能力は計り知れない。
「まあ普通の大鎌だな。なんで大鎌を作ったの?」
「良太の斧より強そうだと思って。」
「なんだよそれ。俺は斧でいいんだよ。田舎に住んでいるじいちゃんが林業の仕事やってて、そのとき斧見せてもらったんだ。それでカッケェーって思ってから斧を武器にしようって思ったんだ。」
「俺は良太の斧みてたら、大きな鎌の方が強いんじゃねって思ったから作った。もう愛なんて良太からしたら楽勝に倒せるよな?」
「いや~。愛のやつ、高等部行ったから手強くなると思うぜ。」
「そうかな~?俺、愛のこと思い出すといつも弱ってるところしかイメージにないぜ。良太はエナジーの学校でなんか技の練習してるんだっけ?愛と一緒に高等部に行かなかったって言ってたから。」
「ああそうだ。さすがの竜牙もびっくりの大技だ。『ワールド』。新たな世界を作り出す能力。または新たな別の空間を生み出す。最強の能力だと俺は思ってる。もともと日本人のエナジープランはワールドプラン(ワールド使い)が多かったらしいんだ。2000年前ほどは。だけど今は使える能力者がごく僅かになってしまったんだ。初等部でワールドが使えるのは俺だけ。俺がワールドを教わっているのは、エナジー部隊の山本総隊長。前に竜牙も会っただろ?」
「俺にエナジー部隊入れって誘ってきたおっちゃんだろ?そのおっちゃんもワールドっていうなんかすごいの使えんのか?まこやさこもその能力知ってんのかな~?」
「それは俺に聞かれてもわかんないけど、日本人特有の特殊能力って学校で習ったけどな。昔襲ってきたヤマタノオロチもワールドで撃退したらしいし。」
「ヤマタノオロチって八首のヘビ!?俺、そのヘビすげー好きなんだけど。でもワールドってやつ負けたんだ。しょぼいな。」
「そのヤマタノオロチが近々復活すると言われているんだ。そのためにも俺はワールドを極めて、強くならなきゃならないんだ。愛が強くなりたい理由はちょっと違うと思うけど。」
「やっぱ良太いいな。斧以外にもいろんな必殺技あるじゃん。」
「俺からしたら竜牙の方が反則だと思ってるけど。」
「今の俺なんて全然だよ。まこやさこに相手にされないもん。このままじゃダメだよな。俺も夏休み中に大きな必殺技を編み出さなきゃ。」
竜牙、良太、愛、それぞれの夏休みの過ごし方。
エナジーの修行に没頭する。
夏休み中に得た能力で次の戦いで活躍する。
次のバトル。
恐竜たちとの戦い。
血反吐を吐く小学生たちの死闘が始まる。
つづく。
夏休みの午後、竜牙と良太はいつもの公園で約束していた。
「おっ。竜牙。今日もいるな~。けんすいしてんの?」
「おう。良太。いちおう。俺はエナジー使えないけど、やっぱり俺自身も強くなりたいから筋トレはしてるよ。俺のアバター出さなきゃ愛や良太に強さで到底及ばないもん。」
「努力してんのか。いい傾向だな。じゃあ竜牙のアバター出してくれよ。」
「おう。」
ギュン。
竜牙はもう一人の自分アバターを出した。
「さあやろうぜ。」
「なあ竜牙。いつもは格闘の訓練してるけど、俺、武器出していいか?」
「ん?別にいいぜ。」
「サンキュー。『クハンディー』(エナジーで創られた斧)!!」
良太は生成した斧で竜牙のアバターに振りおろす。
ガキン!!
「おっ。やっぱ良太の拳より攻撃力があるな~。エナジーパワー上げなきゃ。」
竜牙は右腕で斧を受け止めたが、さらに強力なエナジーパワーで斧を弾き返す。
バキっ。
「っ。これならどうだ!!『ジャラン・ラケン・クハンディー』(斧の連続攻撃)!!」
良太は瞬時に五つの持ち手が短い手斧を生成し、全て竜牙目掛けて投げた。
「おもしれぇ!!フン!!」
一発目、二発目は竜牙の打撃で防いだ。
三発目、四発目、五発目は。
「あーもう面倒だ!!おりゃー!!」
竜牙は渾身のエナジーパワーをシールドに集中させた。
三つの手斧は、竜牙のシールドに阻まれ、シールドの手前で地面に落下した。
「どうだ!!」
その瞬間、良太は竜牙の後ろにいた。
「あっ。」
「どりゃ!!」
良太は両手で斧を持ち、竜牙のシールドごと破壊しようと振り下ろした。
ガギガギガキ。
「う~。やべっ。」
竜牙はたまらず、後ろに下がった。
「はあはあ。今回はいい線いってたのに。」
「今のはちょっとやばかった。なんか良太って斧使ってる方が調子いいんじゃね?」
「だって俺、『シリンティ』(物質創造化)派の『エナジープラン』だもん。」
「『シリンティ』?どっかで聞いたような・・・。あっ。さこかな?さこが前、エナジー無効化するリボンを作っていたとき、言ってた気がする。」
「さこ様クラスだとなんでもできちゃうだろうな。最近、さこ様もまよ様もまこ様もどこに行ったの?」
「あいつら、俺の家にいないぜ。まこは数週間前からいない。地球のどこかにいるのか、もしかしたらいないのかも。さことまよは、地球旅行中みたい。北極とか南極に行くって行ってた。」
「俺もエナジープランだけど、そう簡単に外国に行けないからな~。」
「飛んでいったら、楽勝じゃん?よく考えたら、俺も外国行ったことない。」
「外国には国ごとに別のエナジー部隊があるんだよ。だから、簡単に行けないの。エナジープラン同士の戦争になっちゃうから禁止されてんだよ。正式にエナジー部隊に入隊すると、海外遠征や共同訓練とかあったりするんだけど、外国との関係はいろいろ面倒くさいみたいだよ。」
「ニュースでやってる日本と外国と一緒なんだな。あっ。話それちゃったけど、良太はなんで今まで俺との修行で斧使わなかったの?」
「やっぱ素手と武器ってなんか反則かなって思ってたんだけど、俺とおまえのエナジーパワーの差を考えたら、もういいかなって思ったんだ。斧があると調子いいな。」
「俺からしたら、斧とか物質をエナジーで作って戦うのってエナジーの無駄遣いっぽくて疲れるんじゃないかな~って思うんだけど。」
「普段生成しない物を作るんだったら少し面倒だけど、一度つくってしまえれば、自転車の運転みたいに簡単にできるよ。まあ俺がシリンティ得意だからなんだけど。」
「俺にもできるかな。やってみよ。」
「いや~。竜牙には無理と思う。器用そうじゃないし。エナジー操作あんまりできなさそうだし。」
ブワン。
竜牙の掌に光が集まり、物質が形成されていく。
「ウソ。」
竜牙は斧ではなく、大鎌を作った。
柄の部分は、竜牙の身長くらいの長さ150cmほど。
刃の部分も1mほどの長さがある。
「あっ。簡単にできた。」
良太は考えた。
竜牙はおかしい。
シリンティ・・・物質創造化はその物質の素材を理解していないと作れない。
柄の部分、刃の部分、それぞれ様々な物質の素材が必要になる。
刃物を普段から俺のように生成しているんだったら話は別だけど、今回竜牙は初めて作ったんだろ?
ありえない。
「ちょっと竜牙。その大鎌、俺に触らせてくれないか。」
「いいよ。さては良太、俺がシリンティってやつ簡単にできたからひがんでるな。」
「ちょっとびっくりしただけだよ。」
良太は大鎌を手に取った。
なんだこれ?
ただの大鎌じゃない。
たしかに刃の部分の強度とかは通常の刃物と大差ない強さなんだけど、素材が鉄とか金属じゃない。
表面的に大鎌っぽいものを生成させているだけ。
ただエナジーでつくった見せかけだ。
想像しただけでこんなものが作れるなんて。
竜牙の能力は計り知れない。
「まあ普通の大鎌だな。なんで大鎌を作ったの?」
「良太の斧より強そうだと思って。」
「なんだよそれ。俺は斧でいいんだよ。田舎に住んでいるじいちゃんが林業の仕事やってて、そのとき斧見せてもらったんだ。それでカッケェーって思ってから斧を武器にしようって思ったんだ。」
「俺は良太の斧みてたら、大きな鎌の方が強いんじゃねって思ったから作った。もう愛なんて良太からしたら楽勝に倒せるよな?」
「いや~。愛のやつ、高等部行ったから手強くなると思うぜ。」
「そうかな~?俺、愛のこと思い出すといつも弱ってるところしかイメージにないぜ。良太はエナジーの学校でなんか技の練習してるんだっけ?愛と一緒に高等部に行かなかったって言ってたから。」
「ああそうだ。さすがの竜牙もびっくりの大技だ。『ワールド』。新たな世界を作り出す能力。または新たな別の空間を生み出す。最強の能力だと俺は思ってる。もともと日本人のエナジープランはワールドプラン(ワールド使い)が多かったらしいんだ。2000年前ほどは。だけど今は使える能力者がごく僅かになってしまったんだ。初等部でワールドが使えるのは俺だけ。俺がワールドを教わっているのは、エナジー部隊の山本総隊長。前に竜牙も会っただろ?」
「俺にエナジー部隊入れって誘ってきたおっちゃんだろ?そのおっちゃんもワールドっていうなんかすごいの使えんのか?まこやさこもその能力知ってんのかな~?」
「それは俺に聞かれてもわかんないけど、日本人特有の特殊能力って学校で習ったけどな。昔襲ってきたヤマタノオロチもワールドで撃退したらしいし。」
「ヤマタノオロチって八首のヘビ!?俺、そのヘビすげー好きなんだけど。でもワールドってやつ負けたんだ。しょぼいな。」
「そのヤマタノオロチが近々復活すると言われているんだ。そのためにも俺はワールドを極めて、強くならなきゃならないんだ。愛が強くなりたい理由はちょっと違うと思うけど。」
「やっぱ良太いいな。斧以外にもいろんな必殺技あるじゃん。」
「俺からしたら竜牙の方が反則だと思ってるけど。」
「今の俺なんて全然だよ。まこやさこに相手にされないもん。このままじゃダメだよな。俺も夏休み中に大きな必殺技を編み出さなきゃ。」
竜牙、良太、愛、それぞれの夏休みの過ごし方。
エナジーの修行に没頭する。
夏休み中に得た能力で次の戦いで活躍する。
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血反吐を吐く小学生たちの死闘が始まる。
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