フェイタリズム

倉木元貴

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合同親睦会 26

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 如月さんが「恥ずかしい」と言うから、どんなものかと拝見をしたかったが、さすが如月さんだ。遠くからは見えないように鏡面の保護シールをスマホの画面に貼っていた。
 
「うっ……ごめんなさい。歌恋、それでけは勘弁して……」
 
 山河内さんがここまで屈するその写真に、僕は興味しか湧かなかった。
 
「“買い足し”ね。確かにそう言うのが正しいね。ねえ歌恋ちゃん」
 
 相澤さんは如月さんに向かってそう言った。
 僕にはその言葉の意味がよくわからなかった。だがそれは僕だけではなく、男子の全員が軽く首を傾げていた。堺さんも何のことやらと言いたそうな顔をしていた。
 
「一花ちゃん。君も同じですよ」
 
「私は碧ちゃんと違って恥ずかしい写真なんてないよ」
 
 如月さんは、今度は相澤さんにスマホの画面を見せていた。さっきの場所より少し如月さんよりに移動をしていたが、今度は光の反射に拒まれて写真を見ることはできなかった。
 と、ここで一つ弁明したい。僕は、山河内さんの写真も相澤さんの写真も、本気で見ようとはしていない。間接的に見えたらいいなと考えているだけで、断じて変態などではない。
 と、そんなことは置いといて、相澤さんの顔はみるみるうちに険しくなっていき、この後の言葉は誰もが予想できたものだった。
 
「如月様、申し訳ございませんでした」
 
 相澤さんは土下座をていた。
 
「分かればいいのですよ。分かれば」
 
「ははー。二度と申しません」
 
 相澤さんはまだ土下座をしていた。
 
「もういいですから。みなさんで夕飯の準備でもしましょう。班分けはお昼と同じでよろしいですか?」
 
 まだ十七時になったばかりだと言うのに、如月さんは夕飯の準備だと言った。
 
「さすがに早すぎん?」
 
 岡澤君のその意見には僕も賛成だ。割とさっき食べたような感覚で、お腹が空いていないのは事実。
 
「今回は、お昼と違って準備や調理に時間がかかるので早めにするのが最適だと思いますよ。それと、この辺は山なので夜行生物が動き出す前に食べ終わるのがいいのですよ。虫もたくさん出てきますし」
 
 如月さんの最後に一言に、僕と女子全員が賛成し、夕飯の準備が始まった。
 まずはバーベキューコンロの組み立て。如月さんの助力が欲しいけど、「男子だけで頑張ってください」と言われ、三人で取扱説明書をじっくり見ながら、コテージを出てすぐのところで組み立てた。その間女子は何をしていたのかと言うと、コテージの台所で、四人で肉や野菜を切って準備をしていた。バーベキューコンロを立て終えると、ここからは僕の出番。炭と書かれた箱から小さな炭を取り出して、新聞紙で包みコンロの中へ並べた。
 如月さんに言われた通りに並べ終えると、如月さんに声を掛けた。
 
「如月さん。こんな感じで大丈夫?」
 
「ええ。それで大丈夫ですよ。よく一日で覚えられましたね。でも、今回のコンロは向こうで使ったのとは少し違うのでこのように、右半分には炭は多めに、その隣の左半分のその半分には少し減らして、さらにその隣のスペースには少なめに炭を用意すると、強火、中火、弱火が完成します。ここまでできたら百点満点でした」
 
 口では「へー。そうなんだ」と言いながら、心の中では、そんなことできるか。と叫んでいた。
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