84 / 131
合宿の予定を 4
しおりを挟む
このメンバーで集まるのは、なんだかんだ合同親睦会が行われた4月以来だ。集合がかけられたということは夏休み中に何かをするということなのだろうか。合同親睦会は割と楽しかったから、そんな風なことをするのならありだ。
図書室に入ると如月さんと相澤さんがもうすでに席に座っていた。如月さんは、席から立ち上がり僕らを出迎えた。
「部活、お疲れ様です。さあさあ座ってください」
如月さんに誘導されながら僕は相澤さんの前の席に座った。
「みなさん揃いましたね。それでは早速ですが、夏休みの合宿について話し合いたいと思います」
如月さんは一人で拍手をしていた。
今さっき地学部でも合宿について話し合ってきたばかりだというのに、こっちもその話だとは思いもしなかった。
「今回は地学部・恋愛科学研究会合同合宿会という名前にしようと思います。前回同様、候補地を出してもらってみなさんで投票して決めたいと思います。まず一番手。誰が行きますか?」
相変わらずネーミングセンスのない如月さんだった。もっとマシな言い方はなかったのかと言いたいけど、戦争の火種はできるだけ生まないようにしなければならない。
そんな中、前回同様山河内さんが手を挙げた。
「私は不本意ながら大浜の丘オートキャンプ場を推薦します」
その予想外の発言に、男子は三人とも開いた口が塞がらなかった。あの堺さんでさえも驚いた顔を浮かべていた。
「なるほど。大浜の丘オートキャンプ場ですか。広くて近くに公園もあって、海老ヶ池という天然池があるところですね。そう言えば近くの海岸線は国定公園でしたね。地学部としては興味しか湧かないですね」
なぜ如月さんはそんなに詳しいのだ。
もしかして、僕らの会話を盗聴でもしていたのだろうか。そんな疑いが出るくらいに如月さんは今話して来た会話と同じ様なことを言っていた。
「他に候補地はありませんか?」
こんな状態で美里キャンプ場がいいなんて、言えるわけがない。
男子は全員黙り込んだ。
そんな中何も知らない相澤さんが手を挙げた。
「合同合宿会は……」
相澤さんはまだそれだけしか言っていなかったのに、如月さんは言葉を被せた。
「却下です」
「まだ何も言ってないのに……」
「他はありませんか? ないのでしたら大浜の丘オートキャンプ場に決定しますよ」
発言権を取り上げられた相澤さん以外、この場で手を挙げることができず、僕らの行き先は大浜の丘オートキャンプ場に決まった。
「珍しいですね。碧ちゃんが美里キャンプ場以外の名前を出すなんて。それにしても、さっき言っていた『不本意ながら』とはどういうことですか? 話したくなければ結構ですが、話せるなら理由を訊いてもいいですか?」
さすが如月さんだ。皆が気になっていることをずけずけと最も簡単に山河内さんに訊いていた。
図書室に入ると如月さんと相澤さんがもうすでに席に座っていた。如月さんは、席から立ち上がり僕らを出迎えた。
「部活、お疲れ様です。さあさあ座ってください」
如月さんに誘導されながら僕は相澤さんの前の席に座った。
「みなさん揃いましたね。それでは早速ですが、夏休みの合宿について話し合いたいと思います」
如月さんは一人で拍手をしていた。
今さっき地学部でも合宿について話し合ってきたばかりだというのに、こっちもその話だとは思いもしなかった。
「今回は地学部・恋愛科学研究会合同合宿会という名前にしようと思います。前回同様、候補地を出してもらってみなさんで投票して決めたいと思います。まず一番手。誰が行きますか?」
相変わらずネーミングセンスのない如月さんだった。もっとマシな言い方はなかったのかと言いたいけど、戦争の火種はできるだけ生まないようにしなければならない。
そんな中、前回同様山河内さんが手を挙げた。
「私は不本意ながら大浜の丘オートキャンプ場を推薦します」
その予想外の発言に、男子は三人とも開いた口が塞がらなかった。あの堺さんでさえも驚いた顔を浮かべていた。
「なるほど。大浜の丘オートキャンプ場ですか。広くて近くに公園もあって、海老ヶ池という天然池があるところですね。そう言えば近くの海岸線は国定公園でしたね。地学部としては興味しか湧かないですね」
なぜ如月さんはそんなに詳しいのだ。
もしかして、僕らの会話を盗聴でもしていたのだろうか。そんな疑いが出るくらいに如月さんは今話して来た会話と同じ様なことを言っていた。
「他に候補地はありませんか?」
こんな状態で美里キャンプ場がいいなんて、言えるわけがない。
男子は全員黙り込んだ。
そんな中何も知らない相澤さんが手を挙げた。
「合同合宿会は……」
相澤さんはまだそれだけしか言っていなかったのに、如月さんは言葉を被せた。
「却下です」
「まだ何も言ってないのに……」
「他はありませんか? ないのでしたら大浜の丘オートキャンプ場に決定しますよ」
発言権を取り上げられた相澤さん以外、この場で手を挙げることができず、僕らの行き先は大浜の丘オートキャンプ場に決まった。
「珍しいですね。碧ちゃんが美里キャンプ場以外の名前を出すなんて。それにしても、さっき言っていた『不本意ながら』とはどういうことですか? 話したくなければ結構ですが、話せるなら理由を訊いてもいいですか?」
さすが如月さんだ。皆が気になっていることをずけずけと最も簡単に山河内さんに訊いていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる