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合同合宿会 7
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池の周りは遊歩道になっており、その道に差し掛かったところで海老ヶ池についての説明看板があった。そこには、この池がどうやってできたとか、伝説的な話と共に一周は四キロもあることが書かれていた。
流石にその文字を見て相澤さんは嫌がっていた。
「待って歌恋ちゃん。四キロもあるのに一周も歩いたら私死んじゃうよ?」
「大丈夫ですよ。もし死んでしまったら、遺骨は海にばら撒きますので」
「冗談じゃなくてマジで」
「でも、海はこの先にあるのでどちらにしても歩くのには変わりありませんよ?」
「ええー。じゃあ海もういい……」
「ダメですよ! 海に行かなければ何のために新しい水着を買ったのですか!」
「私だけは買わされたにして欲しいかな」
ふと岡澤君に視線を向けるとニヤけながらガッツポーズをしていた。
気持ちはわかるが、その感情を表に出しても碌なことがないから僕は我慢。
「では海老ヶ池一周は諦めて、直で海に行きますか?」
男子三人、それと相澤さんが賛成し海老ヶ池の遊歩道は回らず、直で海に行くことになった。が、その海もまあまあ遠かった。海老ヶ池を横目に如月さんの言う海への一番の近道を進むが、見えて来たのは住宅街で海は見えなかった。その住宅街を超えると今度は林が見えた。その林を抜けると、ようやく今度は本物の海が現れた。
「海にやって来ましたよ! 早速ですが何をして遊びましょうか?」
如月さんは一人テンションが高かった。山河内さんも堺さんも平然としていたが、他のメンバーはへとへとで遊ぶなんて言葉が頭に浮かばないくらいに疲れ切っていた。
「如月さん……それよりも休ませて……」
「男子ですのにだらしないですね。このくらい簡単に歩けるようになってもらわないと困りますよ」
「『簡単に歩ける』って、僕らに登山でもさせるつもり?」
「ええ、将来的には」
如月さんは鬼だ。間違いなく鬼だ。
第一、僕らに登山なんかさせて何がしたいのだ。今体力をつけたところで将来的に体力仕事をするかなんてわからないし、動くよりもスマホを使ってゴロゴロしている方が現代的に合っていると思う。
単に運動をしたくないだけの言い訳だがこんなにもすらすらと出てくるとは自分でも思っていなかった。
「歌恋? ここの海岸も牟呂戸亜難海岸国定公園に指定されているんだよね?」
こんな時でも山河内さんは真面目だ。
ここの海岸を含めてこの県に国定公園があったなんて十数年生きてきて初めて知った。
「そうですよ。この辺は断崖と岩石じゃなかったですか?」
「うーん……見えないね……」
「そうですね。一面青々とした海しか見えませんね」
「断崖となれば南粟サンラインじゃないと見えなかったかな?」
「そうですね。あそこでしたらどちらも見えていましたね」
「まあ、車なかったら行けないもんね。今回は仕方ないよ。それにしても岩石ないな。これじゃあただ海に来ただけみたい」
「それでもいいんじゃないですか? 旅行も研究も楽しめたもん勝ちですよ」
「そうだね。じゃあ精一杯遊ばなくちゃ」
なぜだか妙に嫌な予感がした僕は、立ちあがろうとしていたのをやめて、相澤さんのように張り付いたように地面に座った。
「そうなると思って、ビーチボールを持って来ましたよ。これでビーチバレー対決なんてどうですか?」
「いいね! よし決まり!」
「ペアは、前回行った合同親睦会の肝試しのメンバーってことでいいですか?」
「今から決めるのも面倒だしそれでいいよ」
と言うことで反対意見を全く聞かない如月さんと山河内さんにより、ビーチバレー対決が行われることになった。
流石にその文字を見て相澤さんは嫌がっていた。
「待って歌恋ちゃん。四キロもあるのに一周も歩いたら私死んじゃうよ?」
「大丈夫ですよ。もし死んでしまったら、遺骨は海にばら撒きますので」
「冗談じゃなくてマジで」
「でも、海はこの先にあるのでどちらにしても歩くのには変わりありませんよ?」
「ええー。じゃあ海もういい……」
「ダメですよ! 海に行かなければ何のために新しい水着を買ったのですか!」
「私だけは買わされたにして欲しいかな」
ふと岡澤君に視線を向けるとニヤけながらガッツポーズをしていた。
気持ちはわかるが、その感情を表に出しても碌なことがないから僕は我慢。
「では海老ヶ池一周は諦めて、直で海に行きますか?」
男子三人、それと相澤さんが賛成し海老ヶ池の遊歩道は回らず、直で海に行くことになった。が、その海もまあまあ遠かった。海老ヶ池を横目に如月さんの言う海への一番の近道を進むが、見えて来たのは住宅街で海は見えなかった。その住宅街を超えると今度は林が見えた。その林を抜けると、ようやく今度は本物の海が現れた。
「海にやって来ましたよ! 早速ですが何をして遊びましょうか?」
如月さんは一人テンションが高かった。山河内さんも堺さんも平然としていたが、他のメンバーはへとへとで遊ぶなんて言葉が頭に浮かばないくらいに疲れ切っていた。
「如月さん……それよりも休ませて……」
「男子ですのにだらしないですね。このくらい簡単に歩けるようになってもらわないと困りますよ」
「『簡単に歩ける』って、僕らに登山でもさせるつもり?」
「ええ、将来的には」
如月さんは鬼だ。間違いなく鬼だ。
第一、僕らに登山なんかさせて何がしたいのだ。今体力をつけたところで将来的に体力仕事をするかなんてわからないし、動くよりもスマホを使ってゴロゴロしている方が現代的に合っていると思う。
単に運動をしたくないだけの言い訳だがこんなにもすらすらと出てくるとは自分でも思っていなかった。
「歌恋? ここの海岸も牟呂戸亜難海岸国定公園に指定されているんだよね?」
こんな時でも山河内さんは真面目だ。
ここの海岸を含めてこの県に国定公園があったなんて十数年生きてきて初めて知った。
「そうですよ。この辺は断崖と岩石じゃなかったですか?」
「うーん……見えないね……」
「そうですね。一面青々とした海しか見えませんね」
「断崖となれば南粟サンラインじゃないと見えなかったかな?」
「そうですね。あそこでしたらどちらも見えていましたね」
「まあ、車なかったら行けないもんね。今回は仕方ないよ。それにしても岩石ないな。これじゃあただ海に来ただけみたい」
「それでもいいんじゃないですか? 旅行も研究も楽しめたもん勝ちですよ」
「そうだね。じゃあ精一杯遊ばなくちゃ」
なぜだか妙に嫌な予感がした僕は、立ちあがろうとしていたのをやめて、相澤さんのように張り付いたように地面に座った。
「そうなると思って、ビーチボールを持って来ましたよ。これでビーチバレー対決なんてどうですか?」
「いいね! よし決まり!」
「ペアは、前回行った合同親睦会の肝試しのメンバーってことでいいですか?」
「今から決めるのも面倒だしそれでいいよ」
と言うことで反対意見を全く聞かない如月さんと山河内さんにより、ビーチバレー対決が行われることになった。
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