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コドクナセカイ(眞邉樹里から見た世界)
幼馴染
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退部により一年の貢門命架が履修している講義に一歳関係ないアートラボでの行動を封じた筈なのに、彼女は渉夢に会いに来たと言って何度も突入してきた。
何故、あそこまでの怒りを買ったのに、そんなことなかったように近付いてくるのか? 私の中では貢門命架の存在は最高警戒対処となり、出来る限り渉夢と行動を共にして守る事にした。
今日もアートラボに来たので会議中と追い返した。
私は十一番アトリエの横にある研究室に戻りため息をつく。
研究室という名だが、アトリエに併設された個室で、事務作業が出来るデスクとチェア。それにソファーセットがある部屋。
苦笑して見ている幼馴染の十一残刻と、顔を顰めた渉夢が私に視線を向けてくる。
残刻は彫刻家で彫刻コースの講師をしている作家とのコラボイベントの打ち合わせに大学に来ていた。渉夢の知り合いのギャラリーでそれ行うことで会議をしていたというのは、嘘でもない。打ち合わせは終わったようで、残刻はソファーで寛いでいる。
「実際見てみたけど、強烈な女だな」
残刻の言葉に、またため息が出てくる。
「前ラウンジで、渉夢に私が作った弁当を食べさせていたのを見てから、食べ物を差し入れしようとする事も増えて」
私はため息をつく。
「へえ、樹里の手作り弁当か」
残刻がニヤニヤ笑う。
「美味しかったよ。房恵さんの味を受け継いでいて」
それにニコニコそう答えてくる渉夢に顔が赤くなるの感じ睨む。
子供の頃から付き合いの幼馴染だけに、いろいろ裏の事情が見えてしまうのがこの三人での会話に困ったところ。
私の作った弁当が恋人で婚約者である眞光崇裕の家の味である事をからかってきている。
「俺も食べてみたいな! 樹里の料理。今度、崇裕の家で飲み会するか!
……それにしても、あの女の持ってきた食いもんは怖いな。怪しげなモノ入ってそうだ」
私の睨みの視線で残刻は顔を真顔にし、話を戻す。
手元に貢門命架について不死原本家お抱えの調査会社が調べた報告書を持っている。
渉夢が依頼していたものを婚約者の崇裕が朝一で届けてくれたもの。
「私がそんな危ないモノ、渉夢に食べさせるわけないでしょ! それどころか近くに置くつもりもないわよ!」
「そちゃそうだ。その点も頼りにしてるよ樹里」
離れてコーヒー飲んでいる渉夢は私達の会話を聞きながら何や考え込んでいるような顔をしている。
真面目で責任感の強い彼だけに、何とか自分の力で穏便に事を済ませようと思っているのだろう。
渉夢が私の方を真っ直ぐ見て口を開く。
「樹里、君はあの学生にもうこれ以上関わるな。
大学の問題だしね。
アレは話とか常識が通じるような相手ではない」
「だからこそ!」
私は代々不死原家に仕え守ってきた眞邉の人間として、危ない人間から渉夢の盾となり護る為に生きている。
「君は俺の大切なビジネスパートナーであって警護や護衛では無い」
私は不満からつい顔を顰めてしまう。大切なビジネスパートナーと言われた事は嬉しいが、眞邉の人間としての意味を否定されたのは悲しい。
「もし君の身に何かあってからでは遅い。
房枝さんや崇裕を心配させない為にも危険は避けてくれ」
一応武術も嗜んでいるし、あえて渉夢にではなくコチラにヘイト溜まるように行動していた。
渉夢の優しさが、やや面倒な形で出てしまったようだ。
「そうでなくても、樹里は渉夢の気儘さにふりまわされてんから、荒事関連は野蛮担当に任せたら?
眞壁の所がもう動いてるし。樹里にしか出来ない仕事もあるだろ」
残刻までがそんな事言ってきて私は大きく息を吐く。
不死原家の人間だけでなく、十一家の人間にまで言われてしまうと従うしかない。
納得いっていない私の表情を気にしつつ、講義の時間が来たので渉夢はアトリエの方へと移動していった。
何故、あそこまでの怒りを買ったのに、そんなことなかったように近付いてくるのか? 私の中では貢門命架の存在は最高警戒対処となり、出来る限り渉夢と行動を共にして守る事にした。
今日もアートラボに来たので会議中と追い返した。
私は十一番アトリエの横にある研究室に戻りため息をつく。
研究室という名だが、アトリエに併設された個室で、事務作業が出来るデスクとチェア。それにソファーセットがある部屋。
苦笑して見ている幼馴染の十一残刻と、顔を顰めた渉夢が私に視線を向けてくる。
残刻は彫刻家で彫刻コースの講師をしている作家とのコラボイベントの打ち合わせに大学に来ていた。渉夢の知り合いのギャラリーでそれ行うことで会議をしていたというのは、嘘でもない。打ち合わせは終わったようで、残刻はソファーで寛いでいる。
「実際見てみたけど、強烈な女だな」
残刻の言葉に、またため息が出てくる。
「前ラウンジで、渉夢に私が作った弁当を食べさせていたのを見てから、食べ物を差し入れしようとする事も増えて」
私はため息をつく。
「へえ、樹里の手作り弁当か」
残刻がニヤニヤ笑う。
「美味しかったよ。房恵さんの味を受け継いでいて」
それにニコニコそう答えてくる渉夢に顔が赤くなるの感じ睨む。
子供の頃から付き合いの幼馴染だけに、いろいろ裏の事情が見えてしまうのがこの三人での会話に困ったところ。
私の作った弁当が恋人で婚約者である眞光崇裕の家の味である事をからかってきている。
「俺も食べてみたいな! 樹里の料理。今度、崇裕の家で飲み会するか!
……それにしても、あの女の持ってきた食いもんは怖いな。怪しげなモノ入ってそうだ」
私の睨みの視線で残刻は顔を真顔にし、話を戻す。
手元に貢門命架について不死原本家お抱えの調査会社が調べた報告書を持っている。
渉夢が依頼していたものを婚約者の崇裕が朝一で届けてくれたもの。
「私がそんな危ないモノ、渉夢に食べさせるわけないでしょ! それどころか近くに置くつもりもないわよ!」
「そちゃそうだ。その点も頼りにしてるよ樹里」
離れてコーヒー飲んでいる渉夢は私達の会話を聞きながら何や考え込んでいるような顔をしている。
真面目で責任感の強い彼だけに、何とか自分の力で穏便に事を済ませようと思っているのだろう。
渉夢が私の方を真っ直ぐ見て口を開く。
「樹里、君はあの学生にもうこれ以上関わるな。
大学の問題だしね。
アレは話とか常識が通じるような相手ではない」
「だからこそ!」
私は代々不死原家に仕え守ってきた眞邉の人間として、危ない人間から渉夢の盾となり護る為に生きている。
「君は俺の大切なビジネスパートナーであって警護や護衛では無い」
私は不満からつい顔を顰めてしまう。大切なビジネスパートナーと言われた事は嬉しいが、眞邉の人間としての意味を否定されたのは悲しい。
「もし君の身に何かあってからでは遅い。
房枝さんや崇裕を心配させない為にも危険は避けてくれ」
一応武術も嗜んでいるし、あえて渉夢にではなくコチラにヘイト溜まるように行動していた。
渉夢の優しさが、やや面倒な形で出てしまったようだ。
「そうでなくても、樹里は渉夢の気儘さにふりまわされてんから、荒事関連は野蛮担当に任せたら?
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残刻までがそんな事言ってきて私は大きく息を吐く。
不死原家の人間だけでなく、十一家の人間にまで言われてしまうと従うしかない。
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