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コドクナセカイ(眞邉樹里から見た世界)
蠱毒な世界
しおりを挟む私は冷蔵庫に行き、炭酸水を取り出し喉を潤し、残刻と向き合うようにソファーに荒々しく座る。
「樹里、気持ちは分かるけど、取り敢えず言うこと聞いたフリでもしとけ」
残刻がそう声かけてきて、私は顔をあげる。
「フリ?」
ニヤニヤと残刻は笑う。
「そもそもさ、見た目超仕事も出来てイケてる女の樹里が、渉夢に常に良い感じで寄り添っているだけでも、このブタにはかなりのダメージ与えてんだろ」
残刻は報告書を指でトントンと叩き、ニヤリと人の悪い顔をする。見た目という言い方は余計なので私は睨む。
「渉夢はここの教員という立場もあるから、政治的な配慮というのも必要なだけに色々難しい問題多くて大変そうなんだよな。
下手にAO入試で入れちまった学生で、それ選んだヤツの立場を気にしたりしないといけないし。
退学させんにも色々手順なり手続きが面倒ときている」
彼の言う通り、学校が学生一人を退学させるというのはかなり大変な事なのだ。
教育という場だけに退学を通告するのは最終手段。相応な理由づけが必要。
まず教育機関として矯正をはかり……という面倒な手順がいる。犯罪までおかしたならともかく、彼女のした事は奇行だけ。それなりの大義名分が必要。
「自主退学してくれると助かるけど、あの彼女の感じだと難しいのよね」
残刻は目を細める。
「退学させても学校来れなくなるだけで、こういう輩には大した意味はない。
だからトコトン潰して精神的にも追い詰めてボロボロにしておかないと、渉夢の平穏は取り戻せない。そう思わね?」
やはり残刻は共にあの里で育った人間。より友情が深まった気がした。私は共感の笑みを返す。
里の皆も、総力上げ貢門命架の排除に乗り出ている。
不死原家に手を出すという分不相応な事をしでかした愚かさを知らしめないといけない。あの馬鹿女に。
一番身近で渉夢を守っていると自負しているだけに、できることなら自分の手であの女を潰したい。他の人の力ではなく。
「煽るだけ煽って派手に自滅する方向で考えているんだけど……。
先ずはね、あの根拠のない自信と高いプライドをへし折ってやろうと思ってるの。
あの馬鹿の絵はネットで集めた絵のトレース、構図パクりばかり。
顔だけはそれなりに世間にウケる魅力があるように描けるけど、デッサン力もないから他はボロボロ。
ない画力をトレースとデジタルの力で誤魔化せているだけなの」
私は残刻にSHOUKA先生から入手した、彼女の才能とやらの秘密を明かす。
芸術家として生きている残刻はプロとしてあるまじき所業に嫌悪感を滲ませ顔を顰める。
「ホントクソだな。作家なんて名乗っている思うだけで反吐がでる。そこから潰すか。世のため人のためにも。
その罪が確定したら取り敢えず大学は追い出しやすくなるしな。そっちは俺に任せろネットとか使って掻き回してやる。
あのクソ女と近くで行動出来るお前は、できる限りアイツの異常行動の証拠を押さえてくれ。それが多ければ多いほど、攻撃力も増す。
著作権侵害に加えてストーカー、それにどこまでプラス罪を乗せられるかだな」
私は頷きながら考える。
著作権侵害行為を世間に公表すれば社会的には抹殺は出来る。しかしそれだけではせいぜい民事で落ち着き賠償等のお金で解決してしまうだけで不十分。刑務所にも入れられない。
完全な凶悪犯罪者になってもらって逮捕されるレベルまで持っていかないと安心出来ない。ストーカー行為にしてもそう。接近禁止令を出してそれを無視したとしても刑務所に入れても一年。そんなのじゃ生温い。
二度と渉夢の邪魔なんか出来ないように、人生自体も完全に壊さないとダメだ。
「樹里ちゃんが、と~おっても良い顔してるね~。
さすが眞邉家の人間。頼もしいよ」
残刻は嬉しそうに私を見て笑っている。
「俺も負けずに頑張らなきゃ♪
本家や真壁のヤツらにも負けられない。
俺達の方からも色々仕掛けてやろうぜ!
崇裕もウズウズしてんだろ? アイツにも色々動いてもらってさ!
俺達の渉夢に害にしかならないクソブタを地獄に堕とす。全力で徹底的にな!」
私達は見つめ合い頷き微笑みあった。同じ想いを抱く同士として……。
~~~END~~~
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